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11話-3
昔の俺が今の俺を見ていた
俺は耐え切れず
俯いて…
でも、"俺"はずっと俺を見つめていた
"俺"は何かを俺に無言で語りかけているようだった
『………そういう……
………事…かよ…』
俺はナイフを強く握りしめた
偶然…かも知れない
だけど、昔の俺が選んだ物が
俺に対する
俺なりの
ある一つの答えを示していた
俺は目を閉じた
ナイフは右手にあった
ナイフの刃の上にそっと人差し指を添える
ナイフは両刃
どちらからでも切れる
そして、俺は刃を左の手首に下ろすと
俺は深呼吸をし
そのまま静止した
目を閉じる
これまでの出来事が走馬灯のように駆け巡る
そして、目を開いた数刹那後
俺は勢いよくナイフを引いた
当たり前かも知れないがこんな事は初めてだった
だから、こんなやり方でいいのかわからなかった
手首から血が出て来るが勢いが足りない気がした
もう一度やるべきか
そう思った時
血を直視した時
俺の中にある何かがはじけるようにして
俺の意識を飲み込んだ




