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9話-7
「だから……
だから…せめて…
あたしの傍に居て…ずっと……」
『………』
俺は答える事が出来ない
自分を失った俺には出来ない事だった
「……お願い」
『………』
「……あたしが…言いたいのは、それだけ」
『……そう………か…』
「……一つ、お願いしていい?」
『なんだ?』
「…答えられないなら…今、抱きしめて欲しい」
『……ああ』
俺がそう言うと璃乃は俺の胸に顔を埋めた
両手は俺の肩を持つ
足を俺の両足の間に置いていた
俺は右膝を曲げた状態で居て
右手で璃乃の頭を撫でた
抱きしめてと言われたので左手は璃乃の左肩を抱いた
「…ずるいよね…あたし…」
『いや……』
人形を愛して、どうするんだ?
そう聞きたい気分だった
これは人形を使った恋愛ごっこなのだと
俺はそう思っていた
第9話 人形




