36/220
6話-7
掴まれた頬を持ち上げるようにして俺は無理矢理上を向かされた
そして、すぐ近くに璃優の顔があった
しかし、俺が最初に思った事は
(……誰…だよ…お前は…)
だった
眼が俺の知っている璃優のモノには見えなかった
その俺の思いを知ってか知らずか
彼女の指に力が入る
頬に指が食い込む
俺の目の下にある親指はまるで、俺の眼球をえぐろうとしているようだった
俺は身体が動かなかった
神経が何処か途中で途切れてるんじゃないかと思った
脳は璃優を突き飛ばせと命令しているはずなのに、腕はだらんとして、動かない
これじゃ、まるで蛇に睨まれた蛙だ
「…琥烏」
『…り、璃……優…』
「琥烏が何を言おうと…私達は切っても切れない関係なの」
『……』
「だから、私達は…ずっと一緒なのよ」
そういうと璃優は手を肩に回し俺を抱きしめた
俺はでくのぼうに成り下がっていた
俺はただ成すがままに…放心していた
彼女を肯定する事も否定する事も出来ないままに…
第6話 逃れられぬ幸福




