第二話 ファスト・ガノン
そういうと、近くに置いてあった少し古い車に乗せてもらった、
近くでは、この人の仲間がトラップウィードと戦っていた、けれども左胸にはなにもついていなかった。
「あのすいません、名前を教えてもらえませんか?」と聞くと、
「名前ですか、ファスト・ガノンです」と答えてくれた。
「ところで、トラップウィードを攻撃したあの光はなんなんですか?」
「あれは紫オーラの応用ですね、使えない人も結構いますけど」
と言うと一度丘の上で車をとめた。
「車に積んでいる銃をとってくれませんか?」と言われたので車の荷台からセミダブルベッドほどの大きさのスナイパーを取り出した。
「誰か来たらこれでおいはらってください」とひとノートPCほどの重さのピストルと弾を十発渡された。
そうすると、じめんにはいつくばってスナイパーを覗き込んだ。
「システム稼働開始」というと、スコープの部分から、モニターが複数枚姿を見せた。
「半径百三十メートル以内に、原生生物の生命反応を確認しました。
生物排除モードに切り替えますか?」と聞かれるとその場で、「はい」と答えた。
「それでは、マガジンにオーラを入れて、ロードしてください」
そうすると、おもむろにズボンのポケットから、はがきほどの大きさのものを取り出し、下の部分にある丸い部分に指をあてた。
「貴方の中の生命活動オーラを使ってエネルギー抽出を行うので、頭痛、めまい、眠気などの症状を引き起こす可能性がありますが、よろしいですか?」と聞かれると躊躇せずに、「問題ない」と答えた。
「わかりました、では抽出作業を開始します」
五%、十%、とあっという間に百%までたまっていった。
「次に、狙撃対象の設定を開始します」
「いやいい、自分でやらせてくれ」と少し腹が立ったような表情で言った。
「わかりました、AI制御モードを解除します」
「おいチビ、名前は」
人生で初めてチビと言われた、今まで小学校では後ろから3番目ぐらいだったので、自分では身長は大きいほうだと思っていたのだが、すこし残念だった。
「パーシーです、セミダイル・パーシーです」と返事をした。
「そうか、車の荷台に積んであるゴーグルをとってくれ」
なんで名前を聞かれたのか俺にはさっぱりわからなかった、名前で呼ばないなら聞かなければいいのに。
「わかりました、これですか?」と荷台に置いてあったゴーグルを指さした。
サイレンのような音とともに、スナイパー下部にあるレバーを引き下げた。
「それだ、近くに置いておいてくれ」と少しそっけない返事をされた。
「なんでここで狙撃をしようとしてるんですか?」と質問を投げかけると、「すこし静かにしてもらえないか」と怒られた。
「半径百三十メートル以内に百六十、いや百六十二体はいるな」と優れた観察力で推測をしていた。
弾の空撃ちをするために一度空を見上げると「おいまてよ、あれはまさか」
そこにあったものはシロナガスクジラ三頭ほどの大きな飛行機だった。
そこには擦れてよく見えないが魚のマークがしるしてあった。
「だが今は狙撃に集中だ、余計なことは考えるな」と自分に言い聞かしていた。
「一体一体処理していたら日が暮れてしまうから少し雑でも一度に片付けようか」と後ろの部分を破壊して安全装置を取り出した。
すると「警告 安全装置が破壊されました。生命活動オーラの最大最大抽出量が無制限になるので、最悪の場合死亡、またはそれに近い症状が現れる可能性ありますそれでも実行しますか」と聞かれた。
「勿論だ」
「エネルギー放出方法をシングルからトリプルに変更」とか言いながらモニターを触っていた。
なぜなら、安全装置を破壊されるとAIは操作権を失うからだ。
「狙撃開始」というとスナイパー上部が円形に開きだした。
新幹線が通ったような音とともに、光を置き去りにして、弾道が黒くなった。
そして、トラップウィード三体全員に命中し、倒れていった。
だが予想外のことが発生した、それはトラップウィードが共食いをしてどんどん大きくなっていることだ。
「また【覚醒】か」と呆れた表情でつぶやいていた。
「おいチビ、お前も戦え」と無茶を言われた、無理に決まってる。
「そのスナイパーで援護でもしておけ」と言われた。「いやでもオーラが…」と困った様子で返事をすると、「マガジンにためてある、あと二十発は撃てるから安心しておけ」と勢いよく坂を下りて行った。
離れていて聞こえなかったのだが大丈夫か?みたいなことを無線で誰かと話していた。
使い勝手がよくわからないまま、スコープを覗き込んだ、安全装置を壊したせいで案内も何もない。
一方こっちでは、覚醒途中のトラップウィードと戦っていた。
「久しぶりに骨のあるやつと戦える」と楽しそうにつぶやいた。
近くにあった小石にオーラを乗せ、トラップウィードに投げた。
そうすると、一秒にもみたない速さで家二十八個分の距離をまた家トラップウィードに当って一撃で倒れこんだ。
「もう倒れたのかよ、もっと楽しませてくれよ」とつぶやいた。