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自死代行  作者: 久保谷充
第二章
33/34

式日

電車が揺れる。窓から見える景色が流れていって、俺が育った町はすぐに見えなくなった。


俺は呆然とドアの前に立ち尽くして、先程の光景を思い出していた。


……笑っていた。見たことのない顔で。

幼い頃の無邪気な笑顔でも、すべてを諦めたような寂しげな微笑みでもない。

俺の知らない涼平が、そこにいた。


「……………」


震える手で口を覆う。床に座り込んでしまいそうになるのを、必死に耐えた。


あんなに優しい告白を、俺は知らない。


またいつか誰かを好きになって、誰かに愛されても。

きっとあの瞬間以上に想われることはないと、わかってしまった。


そう、思わされた。


涙がこぼれる。綾を亡くして、涙なんてとうに枯れ果てたはずなのに。

どうしても、あふれてとまらない。


「……っ」


覚悟がなかったのは、手放せなかったのは、あのときも俺だった。

小学校の卒業式。垂れ桜の下で、あの日も涼平は、俺を祝福してくれていたのに。


それに気づかない振りをして、俺はずっと。


「……涼、平…」


……さよなら、俺の少年。


電車に揺られながら、俺はいつまでも泣き続けた。


完結です。

最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

本編はこれで終わりますが、そのうち後日談を何話か投稿します。


気になる方は、もう少しだけお付き合いいただけたら幸いです。

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