6.家族
吉崇と結婚し、直ぐに赤ちゃん──朔之あきらが出来た。そして、それから5年が経とうとしていた。
あきらが大きくなるに連れて、様々な事があったが、大抵の事は、家族と共に乗り越えてきた。ふと、自身の親指を見ると、あきらと繋がる藍色の糸が増えていた。これでひとみの親指に繋がる藍色の糸は6本。実の両親、SAKURAのヤドリギの桜木朔真、ひとみの養父母である藍川隆史と藍川春子と自分の息子と繋がっている。
人よりも多くの藍色の糸と繋がっている。きっと、以前なら、すごくイヤに感じていたかもしれない。でも、今はそんなにイヤに感じなくなってきていた。
でも、時折、ひとみの心の奥にしまいこまれた思いが顔を覗かせる。
“親なんて、大キライ……!”
そう思っていた矢先にあきらに言われた言葉がひとみの心をえぐった。
“ママなんて大ッキライ!”
今ではなんでそう言われたのかは覚えていない。でも、言われた言葉だけはハッキリと覚えている。だからなのか、もう0時を過ぎているのにも関わらず、寝付けずにいた。
「……眠れないの?」
吉崇の眠たそうな声で聞かれ、ひとみは起こしてしまった事を悪く思いながら「うん……」と肯定する。
「昼間の事?」
きっと暗闇中、頷いても吉崇にはわからない。でも、ひとみは声を出さずに頷き、吉崇の背中から抱きついた。
「大丈夫だよ、あきらも勢いで言っちゃっただけだから」
「でも……」
ひとみ自身、隆史と春子に言ってしまったことを今でも後悔している。
「オレなんか、結構言ってきたよ。里親に。でも、毎回許してくれた。本心じゃないのはお互いにわかってるから」
「わたしは──」
「それじゃあ、あきらの事──」
「キライなわけない!」
そこまで言って、ひとみは起き上がっていた。そして、こう続けていた。
「大好きだし、一番愛してる……。あっ……!」
そこまで言って気が付いた。きっとあの時の隆史と春子もきっと、今のひとみと同じ気持ちだったのが、今、わかった。だから、隆史と春子にあの時言ってしまった言葉をキチンともう一度謝りたい。そして、感謝を伝えたくなっていた。
「それじゃあ、朝になったら、藍川さん家に行こう、あきらを連れて」
「吉崇くん、ありがとう……」
ひとみは身体を起こしかけていた吉崇に抱きつき、ベッドに吉崇を押し倒しながらそう言った。
「それじゃあ、おやすみ。ひとみ」
「うん、おやすみ……。吉崇くん」
ひとみは吉崇に抱きしめられながら、眠りに就いていた。




