2.紫色と赤い糸、そして、青い糸……‐時子side
永雅と離れ、歩き出した時子は自身の左手を見た。その人差し指には紫色の糸が、小指には赤い糸と青い糸があるのが見えている。
永雅とは最初、紫色の糸で繋がっていたが、話をしている内に、自然と赤い糸が繋がるのが見えた。だか、時子の小指には青い糸も繋がっている。この糸の先にいる相手と添い遂げなければと思うと気が重いが、時子は今にとどまろうとした。
(今は、私一人。周りには誰もいない。そして、さっきまでは永雅さんと一緒にいた)
確かに、永雅と一緒の時間を過ごしていた。その時間は時子にとって宝物だ。時子の事を思い、様々な事を言ってくれた。出逢って直ぐに心を惹かれるのは初めてで、永雅は時子の心の中に今でもいる。
(ありがとう、永雅さん……)
時子は左手の小指にある赤い糸にキスをする。そして、同時に、こうも感じていた。
(糸が見えなければ、こんなにも永雅さんに心が惹かれることはなかったかもしれない……)
そう思うと、悲しい気持ちになる。そして、時子の中には2つの感情が渦巻いていた。
(せめて、この青い糸と繋がっている人が、糸が見えない人でありますように……)
時子は大きな屋敷の前に着くと、勝手に門が開いていく。そして、時子がその門を通ると直ぐに門がしまってしまった。
それはまるで、時子の感情を表しているようだった。




