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  作者: 知美
緑色の糸と赤い糸
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5.告白の答え‐彩葉side

 龍緒の顔はとても真剣な表情をしている。キチンと入学式の時の彩葉の言葉に今、返事をくれた。それが嬉しくて、彩葉の瞳から涙が零れそうになる。しかも、龍緒に言われた言葉は「オレの奥さんになってください」だ。それを聞いて、頬が赤く染まるのを自覚してた。

 でも、本当は逃げ出したい。嬉しいのに逃げ出したくなってる。

 でも、扉は龍緒の後ろにある。逃げられないのはわかってる。だから、彩葉も覚悟を決めて、龍緒に返事をする。


「私……、龍緒、君と家族に、なりたい……」


 恥ずかしくて、「奥さんにしてください」とは言えない。でも、自分の気持ちにウソはついていない。龍緒と家族になりたいのは本当だから。


「ありがとう、彩葉」


 龍緒に名前を呼ばれただけで、ドキドキする。


「あのさ、彩葉の気持ち、聞かせてくれる?」

「……龍緒君は、言ってないのに?」


 龍緒は苦笑いをしながら、こう言ってきた。


「オレは伝えた。オレの奥さんになってくださいって」


 確かに、奥さんになるということは結婚する。一緒に暮らす。つまり、彩葉と一緒に居たいと思ってくれているということだ。間接的に、告白しているようなものだ。


「そうだけど……、ちゃんとはっきり、龍緒君の口からちゃんと言葉で聞きたい」


 そういうと、龍緒は彩葉に近づいてきた。龍緒と彩葉の距離は拳、1つ分。すごく近い。


「彩葉の事が好き。本当は、入学式のあと付近から好きだって気がついてた。でも、彩葉になんて言っていいかわからなくて、それにオレにはちょっと簡単には告白できない事情があるんだ」


 そう言って、龍緒が彩葉の小指をいじりながら、彩葉にキスをしてきた。すると、彩葉には見えていないはずの赤い糸が一瞬見えた。


「えっ……──」


 彩葉が「赤い糸」と言おうとしたら、龍緒に唇を唇で塞がれた。そして、手を顔の高さまで持ち上げられ、視線だけで小指を見るように言ってくる。こんなにも長く、唇を重ねていることが恥ずかしいけど、、小指を見るとそこには赤い糸が見えていた。そして、唇が離れると、見えていた赤い糸が見えなくなった。そして、また、龍緒の唇が彩葉の唇に触れると、また赤い糸が見える。


「オレにはこれが彩葉と会った時──入学式の時からずっと見えてる。だけど、これは誰にも言えないんだ。オレは彩葉にそれの事をうまく()()()()。だから、こうして()()()()()()しかなくて……。いきなりゴメン……」


 そういう龍緒との距離はとても近い。喋れば、唇が触れる距離にある。そして、その赤い糸が見たいと思ってしまう、彩葉もいる。


「私はずっと、小さい頃から、左の薬指に繋がってる、緑色の糸が見えてるの。だけど、この糸の事はおばあちゃん以外に言えたことはないの。龍緒君に初めて……、言えた……」

「そうだったのか。さっき気がついたんだけど、彩葉とキスしてると、薬指に白い糸みたいのが見える、オレには」

「そうなの!?」


 その言葉に驚きながらも、龍緒は数回、彩葉にキスをしてくる。そして、薬指にある緑色の糸を見て、結び目を弄ってくる。


「くすぐったい」

「なんか、……すごく嬉しい。オレの夢みたいなのがこうして叶ってるんだ」

「夢?」


 その問いかけに龍緒が夢を教えてくれた。


「そう、オレの夢。糸が見えるヤツと友達になること」

「よかったね、夢が叶って。そう言うんなら、私も叶ったよ。私だけの家族が欲しいっていう願い」


 彩葉の言葉を聞き、龍緒がこう言う。


「彩葉、お前の気持ち、オレに教えて……。オレは言ったから」

「……好きだよ。キスされてもイヤじゃない……、それに……」


 その先の言葉を言うにはまだ恥ずかしい。だから、それ以上はなにも言えなかった。それをわかっているのか龍緒も無理に言わせようとはしてこなかった。


「それじゃあ、オレの家、行こうぜ」

「家……」

「家族に紹介したい……、オレの奥さんになる人って」


 その言葉に頬を染めながらも頷く、彩葉。もう夕日が沈みそうで、より肌寒いはずなのに、心は暖かく感じていた。

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