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大戦の遺物

Sherman Fireflyを受領した4人は、大規模戦闘でピンチなようです

Sherman Fireflyがいかに素晴らしい戦車かを広く知ってもらうために書いています

つまらない上時代・兵器考証も詰めが甘いですが予めご了承ください

反射的にエリックが車両を後退させる

そして、旋回し村の方へ全速力で走る

教会の脇に来たあたりで停車の指示がきた

再び車体を旋回させて敵がいるであろう方角に正面を向ける



数分前―

グレアムが2両の進行方向に目をやると、パンターが4両こちらに向かってきていた

おそらく、増援と合流するつもりだったのだろう

ここで射撃すれば1両は撃破できるだろう

しかし、5対1の戦いになれば速力や装甲、

何よりも数を伴う火力で圧倒され確実に撃破される

それよりは障害物が多く、弾丸も避けやすい村の中で戦うことにした


村に到達するまで、何発かの弾丸が飛んできたが、被弾はしなかった

家の窓は木戸でがっちりと閉ざされ、通りに人の気配はない

しかし、村がある以上人々がそこに住んでいるのだ

ここで戦えば、村の中を砲弾が飛び交う

家屋が破壊され、村人の命までも危険にさらすかもしれない

グレアムは住民らに心の中で謝った

「守るべき国土を、人々を盾に戦うことになる…許してくれ」


6両は正面から4両、3時の方向から2両の2手に別れた

「正面の4両に攻撃を集中」

グレアムは別働部隊への対処は割り切った

火力の大きい方から潰していくのが戦場の鉄則だ

テリーが弾丸を装填し、ジョンが照準器を覗き込む

「第12射、発砲!」

第12射は先頭のパンターの砲塔を捉えたが、防盾部分に当たり非貫通

その間にもどんどん距離が詰まっていく

敵車両は射撃はせず、淡々と進んでくる

圧倒的な装甲と砲の壁が迫ってくる


「装填完了!」

「第13射…発砲!」

またもや砲塔正面に防がれる

貫通の気配すらなく、地形に阻まれ車体正面を狙うのも難しい


第14射は車体を狙って撃ったが、敵戦車の前方に着弾した

撃破できないことに焦りが出る

ジョンは集中しようと試みるが、状況が状況なだけに難しい


第15射目の弾丸が装填され、ジョンが狙いをつける

「第15射…発砲!」

弾丸は正面装甲に命中したが、

傾斜により貫通力が殺されまたもや貫通しなかった

「焦るなジョン。まだ時間はある」

グレアムも心底焦っていたが、せめて形だけはと口に出した


「第16射目…発砲!」

その弾丸はまたもや砲塔正面に命中した

今回もダメかとジョンは悔しがった


しかし今度は、弾丸は装甲を貫いた

これまでの射撃で強度が下がっていたのだろう

「敵戦車撃破!残り正面に3両!」

正面の3両は怯んだのか、前進をやめその場で射撃を始める

車両付近の建物の壁が吹き飛び、石畳がえぐれる

何発もの弾丸が近くをかすめていった


「第17射目…発砲」

ジョンが17発目の弾丸を送り出すため引き金を引く

発砲と同時にものすごい金属音がし、車体が大きく揺れる

車体側面に浅い角度で敵弾が命中したようだ

「車長、ハッチを閉めて中に入ったらどうです?」

グレアムは敵弾が命中してきているこの期に及んで、

まだハッチから身を乗り出している

見かねたエリックが提案したが、グレアムにその気はないようだ


間髪入れずもう1発が命中する

今度は砲塔正面に命中し、ものすごい音と振動が響き渡る

「敵の精度も上がってきた…貫通弾がないのは奇跡だな」

ジョンが照準器を覗きながら言う

被弾による揺れのためなかなか狙いが定まらないが、18射目を撃った

弾丸は命中したが、またもや弾かれた

「畜生!なんであんなに硬いんだ!」

ジョンが叫ぶ

距離と装甲の厚さと角度で、貫通が困難な状況であった


18発目を装填するためテリーが屈むと、側方から別働隊が現れた

別働隊の2両は一斉に発砲した

そのうちどちらかの放った砲弾が自車の装甲を貫く

エンジン付近から炎が上がった

「この戦車?ここに来た時は見たことないほど酷かったよ?

弾丸の跡がものすごかった。自走も難しかったね。

いや、あれで撃破されてないってのは奇跡だよ。信じられなかった。

…いや、目玉展示では決してないんだけどね、お客さんの印象に残るらしいね

みんな口を揃えて言うんだ。これが1番興味深かったってね」

ロンドン郊外 戦争博物館 館長談

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