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インテリの装填手兼通信手

Sherman Fireflyを受領した4人は、パトロールで奮闘するようです

Sherman Fireflyがいかに素晴らしい戦車かを広く知ってもらうために書いています

つまらない上時代・兵器考証も詰めが甘いですが予めご了承ください

3日後―

「上からの情報によると、敵の活動もおとなしくなっているらしい

みんな、今のうちにしっかり休んでおけよ

と、言うことで今日から5日、当直以外は自由行動!」

大隊長が朝礼でそう話していた

クルーたちは初日が当直になったが、久しぶりにゆっくりできることを喜んだ

しかも、当直と言ってもパトロールをするだけである

先日の強襲偵察により敵戦車もだいぶ減り、ほとんど見かけなくなっていた

パトロールも何も変わったことなく終わりそうだ


「明日から何をして遊びましょうか」

ジョンは街に行きひさびさの休暇を満喫しようと予定を立てていた

「おいおい、まだ今日のパトロール任務が残ってるぞ」

エリックはそう言いながらも浮かれているようだ

「ひさびさにゆっくり出来ます」

テリーも何か予定があるのだろうか

クルーたちは休暇を楽しみに待っていた


パトロールでは、シャーマンファイアフライ1両と通常のM4戦車2両で小隊を組む

小隊の指揮はグレアムが執ることになった

パトロールのルートはあらかじめ決まっており、

比較的楽な作戦となるはずであった

小隊の他の車長とミーティングをし、大まかな経路や敵の位置を確認する

その後各車のクルー達に伝達し、出撃となる


「こういう何ともないような簡単な任務の時に限って敵は来るんだ。

しっかり警戒しておけよ」

出撃前、グレアムはクルー達に釘を刺しておいた

いかなる時も油断は命取りだ

そして、私は今小隊のメンバー全員の命を預かっているのだ

重い責任に、緊張を覚えながらもリラックスするよう心がける

過度な緊張もまた良くない

グレアムは長年の経験から思い知っていた


パトロールの往路は、何事もなく終わった

周囲を警戒し敵がいないことを確認してから昼食をとる

「サンドウィッチにキュウリが入っているのはいまだに納得できませんね…」

「テリー、キュウリが嫌いなのか?キュウリあってのサンドウィッチだろう」

どんなものでも美味しく食べられるグレアムは不思議そうに言った

皆で紅茶を飲み、しばし談笑する


「行きは良い良い帰りはなんとやら、と言うからな。

基地に帰るまでがパトロールだ。

気持ちを引き締めていけよ」

グレアムが小隊の雰囲気を引き締め、帰路につく

数分ほど走った時、突然空気が震え、車両前方に土煙が上がる

「9時の方角、敵戦車!」

後方の車両から報告が上がる

敵に装甲の薄い側面を晒すのはは良くない

グレアムの指示で車体を旋回させ、昼飯の角度をとる

小隊の各車両もそれに習った


グレアムが双眼鏡で敵の姿を捉え、ジョンに伝達する

「前方の丘の上に対戦車砲が2門、その少し下に3号突撃砲が1両

突撃砲を優先して撃破しろ」

他の車両には、榴弾で対戦車砲に射撃させる


テリーが装填完了を告げ、ジョンが狙いをつける

「当たれ…当たれ…発砲!」

閃光や轟音と共に砲弾が飛び出す

しかし、弾丸は大きく逸れ3号突撃砲の右後方に着弾した

「次弾装填急げ!」

ジョンが排莢し、テリーに再装填を告げる

その間にも、敵弾が砲塔近くをかすめていく

後方に着弾したものの、わずか数センチしか離れていなかった

しかしそんなことに構っている暇はない

テリーが砲弾を持ち上げ、装填し、尾栓を閉鎖する

「第2射…当たれ!発砲!」

しかし、当たらずに右に大きく逸れた

「再装填!」

再装填を告げる

それと同時に、ジョンが照準器を覗いて狙いを定める


いつの間にか味方の2両は対戦車砲の1両目を仕留め、2両目に対して射撃していた

しかし、1両目が炎上し煙が上がっているせいで視界が悪く、

なかなか狙いが定まらない


と、轟音と物凄い衝撃が車体を揺らした

金属と金属がぶつかり合うような音と物凄い衝撃だ

「被弾した!砲弾は非貫通!」

エリックが報告し、クルーが胸をなでおろす

どうやら正面の1番装甲が厚い場所に当たったようだ


しかし、2発目も当たった

砲塔の正面に当たり、車体が大きく揺れる

幸い厚い防盾のおかげで貫通はしなかった

しかし、ジョンがその衝撃の反動で、砲塔内部の壁に頭をぶつける

脳震盪を起こしてフラフラし、照準器も覗けない様子だ


「ジョン、席を代われ!俺がやる!」

ジョンが退くと同時に、グレアムが砲手席に着く

照準器を覗き、突撃砲に狙いを定める

「装填完了です!」

砲弾を装填し尾栓を閉めたテリーが告げる

「発砲!」


砲弾は敵戦車の正面に着弾した

砲弾が貫通したようで、敵戦車が沈黙する

間も無く対戦車砲も撃破され、攻撃がやんだ

「被害はないか?」

グレアムが小隊の2車両に問いかけると、

敵弾はファイアフライに集中していたため、被弾はしなかったとのことだった

周囲の警戒をしながら、基地へと帰る

その間、ジョンはずっとうわごとのように何かをつぶやいていた

「彼はなかなか面白い技師ですよ。レーダーが艦艇に配備された後も、

ちょくちょく様子を見にくるんですよ。

『娘みたいなものだからやはり気になる』って言ってましたね。

この新型レーダーですか?初期は不具合もありましたがかなりいいもんですよ。

間違いなくね、海の戦いは変わりますよ。これからはレーダーが主役になりますよ。

彼の作ったレーダーが時代を変えたんです」

王立海軍 駆逐艦長 某中佐談

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