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史上最強の龍鬼仙人-花咲・酒丸の異世界転生珍道中ー  作者: 九蓮 開花
第二章 酒丸の剣 超絶仕事人・休庵宗修篇
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第二章 第九話 史上最強のジジイ、断罪。

 何だか文章的に納得できないんですけど、とりあえず上げておきます。

 二章が終った後に大幅改稿するつもりです。


「もう、お互い御託は結構だろう。龍族の奥の手を出したんだ。これ以上は何かを語る必要はねえだろう?いいからとっととかかって来いよ」


 次の瞬間、ジジイの言葉に触発された二人は、この日初めて共闘した。


 お袋は天に向けて巨大な炎の玉を作り出して撃ち放ち、親父はその玉に向けて腹の中で雷電に変えた吐息を吹きかけ、それは紅蓮と金色に輝く巨大な閃光となって休庵のジジイに向けて襲い掛かった。


 そうしてジジイに向けて繰り出された、この二人の間違いなく最強で最大の一撃は。




 ジジイの元に届くことなく、二刀によって四分された。




 そして、龍の息をあっさりと防ぎきって見せた休庵のジジイは、不意に足元に力を込めてその場で跳ねあがった。

 ただそれだけで空に浮く竜の姿になった親父の頭まで飛び上がり、手にした刀で十文字に親父の額を叩き切って巨大な竜を地に落した。



 凄すぎた。

 

 余りにも凄すぎて、凄まじすぎて、最早、バカみたいに凄いしか出てこない。




 お袋はもはや力を使い尽くしてその場にへたり込み、その場で漏らして放心することしかできないでいる。

 親父は最後の最後の奥の手であったらしい天化とやらでさえも、一切通じることなくジジイに地面に叩き落され、徐々に人の姿に戻ってその場で腰を抜かしていた。


 そうして、二人は手も足も出ずに一方的に叩きのめされて初めて、目の前に立つジジイの姿に恐怖を露にした。


 そして。


「くっ……うお、おおおおおおおおおお」


「ひっ、ひええええ」


 親父は情けなく雄たけびを上げながら、そのまま後ろを振り返ることもなく一目散に逃げだし、お袋は恐怖で我を失い頭を抱えてその場にうずくまった。


 そんな情けない両親の姿を目にした俺は。





 この世界に生まれて初めて、二人を家族だと思った。





 脇目も降らずに一心不乱になってその場を逃げ出した親父のその後ろ姿は、情けない以上に納得のいくものだった。

 身も世もなく恐怖で震えるお袋の姿は、呆れを通り越して憐れみを感じてしまう。

 そりゃ、そうだ。あそこまで圧倒的な力の差でねじ伏せられて、恐怖を一切感じないとか、イカレ野郎を通り越して生物として終わっている。


 むしろ、魂的には親ではないとはいえ、肉体的に血の繋がった親父のこの醜態を見て、ほっとした。


 今まで何も怖いものなど無く、全てを力で捩じ伏せてきたこの二人にも。


 ただただ怯える事しか出来なかったこいつらにも。


 俺と同じく恐怖を感じる心があり、いざと言う時に情け無い姿を晒す人間だった。


 そう思うと、今まで完全に自分と違う存在だと思っていたこの現世の両親に、初めて人として共感し、そして同時に、初めてこの世界で出来た肉親として血の繋がりを感じてしまっていた。

 俺は、そのただのチンピラみたいにその場を逃げる親父の後ろ姿を見れただけで、何んだか今までの親父の所業の全てを許しても良いと思い、ただぼんやりとその場を後にする親父の後ろ姿を眺めていた。


 だが、そんな俺の心境とは裏腹に、親父のその醜態を誰よりも許せない人間がいた。





 ほかならぬ、休庵宗修だった。





「……悪名、悪行、悪徳積んで、豪傑の異名を取った悪党が、」


 不意に、今までの軽口とは違う。深く、深く、息を吐く様にそこまで呟いた休庵のジジイの言葉


 それは、腹の底が底冷えするほどに冷たく、重く。そして。


「尻尾振って背を見せて、無様晒して逃げてんじゃねえええええええええ!!!!」


 一拍置いて吐き出されたその怒号は、まるでその場の重力を二倍にしたかの様に空間そのものを圧し潰した。 


 怒号の威圧だけでその場に縫い付けられた親父は、逃げることもできずにゆっくりと近づく休庵のジジイに捕まり、そのまま盛大に顔面を殴られて俺の元まで吹き飛ばされた。


 あまりの衝撃と痛みにその場でのたうち回る親父の姿を見た俺は、思わずその手を伸ばして親父の背中に触れていた。


 正直、何故その時に親父に向けてそんなことをしたのか、それは後から振り返ってもわからない。

 ただ、何故かその時の親父の姿に、その場でじっとしていられない何かを感じてしまい、咄嗟に動いてしまった。


「……だ、だいじょ、うぶか?」


「……ひ、うるせ、うるせえええええ!!!大丈夫なわけねえだろ…。何とかしろ、あいつを何とかしろよおおおおお!」


 親父の背中に手を置きながら、当たり障りない言葉しかかけられない俺に、親父はただ錯乱しながらわめき散らしながら俺にすがり付いた。と言うよりも、それしか出来ない様だった。


 だが、そこに二刀を納刀した休庵のジジイがやって来て、今までのどこか小ばかにしたような軽い笑いではない、俺に縋り着く親父を見下ろしながら、冷徹で冷酷な笑みを親父に投げつけた。


「……あきれ果てた野郎だな。青柳の大蛇丸。その腐りはてた根性もそこまで行くと見上げたものだがな」


 一瞬、ひぃ、と喉の奥が張り付いたような悲鳴をあげる親父を冷たく吐き捨てた休庵のジジイは、舌打ちをしながら親父の胸倉を掴んで無理矢理立たせる。


「ああ?情けねえと思わねえのか?大蛇丸よ。今まで自分よりも弱い奴相手に暴力振るって暴言吐いて、いつ殺されてもおかしくねえような生き方をしていたのに、いざ清算となったら一目散に逃げやがる。挙句の果てに、てめえが一番見下していたてめえのガキに同情されて、そこで自分のガキに対して情のある言葉一つもかけやしねえ。どこまで行っても無力なやつにしか力を振るえねえとか、何処まで行ってもクズじゃねえか」


 親父の顔面を冷たく睨みながらそう言ったジジイは、そのまま投げ捨てる様に親父の胸倉を放すと、次に近くで顔を抱えて蹲っているお袋の髪を掴んで引き上げる。


「お前もだ。炎髪鬼の紅葉。俺に一撃当てる為だけに自分が腹を痛めて産んだ子供を盾にして、それでも勝てぬと知ると分かるや、泣き叫びながら頭を抱えることしかしねえ!そんなまともな態度が許されるほど、てめえはまともな人間かよ!ああ?」


 ごめんなさい。と、か細い言葉を口にするお袋にそう吐き捨てたジジイは、鼻を鳴らしてその手を放すと、地面に打ち捨てられた二人を見下ろしながら言う。


「別に俺は、テメェらが人間のクズである事に怒ってる訳でも、親としてゴミである事に怒っている訳でもねぇ。誰が誰を憎むかは心の問題。俺が他人に心に踏み入れられたくないように、テメェらにも踏み入れられたくない何かがあって、それで自分のガキに当たってるんだろう。そこに踏み入る術を俺は持たん。

 だがなぁ、仮にも強者として、悪逆のともがらとして、惨虐非道を働いた馬鹿野郎が、情け無ぇ死に様見せてんじゃねえよ!親として何もしてやらねぇなら、せめてにはガキには死んでも恨まれ続けろ!!恨まれて憎まれて、役立たずのゴミだったと!テメェらの血が流れている事が疎ましいと!死んだ後に、そう言われてろ!!死んでも償いきれん罪ってのは、そうやって贖うもんだろうが!!!」


 ジジイはそう一喝して二人を睨みつけると、震えながらジジイの顔色を伺う俺の両親に心底失望した様に溜息をついた。


「……呆れたもんだぜ。こんなチンピラ風情にただやられていたばかりの用心棒も、その程度の奴らを相手にして調子に乗っていたお前らも、どいつもこいつも情け無くて涙が出る。この程度のアホを相手に俺が今頭を悩まさされてるかと思うと、もうばかばかしくて仕方がねぇよ」


 そうして、何できずにその場にへたり込んだ二人を見て、休庵のジジイはもう一度溜息をつくと、今まで背負っていた長刀を抜きながら、言う。


「奥の手も尽きたようだしな。そろそろその首、斬り落とさせてもらう」


 ジジイのその言葉に、親父の顔が絶望に染まり、お袋の顔が恐怖で引き攣ったのがわかった。


 そして。





 その瞬間、俺の身体は咄嗟に動いていた。





「――――――――――――――――――――――――まッ!待、待てえ」



 


 

 俺はその言葉と共に、手にした木刀を構えて休庵のジジイの前に躍り出ていた。



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