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追憶の天使  作者: 小河 太郎
【二章】『よしと≒死神』
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39.「アダムとイブ」


「そうか、お前、まだ一歳にも満たねぇんだな。それでその容姿、語学力なら十分か。」


一生、となると話は変わってくるのだろうけれど。


俺がシワシワの爺さんになっても、絆愛がよぼよぼの婆さんになっても、イヴはイヴであり、今日、出会ったこの日の容姿そのまま。


裏を返せば歳を取らないわけだから、羨ましくもあるよな。


ガキの姿というのは嫌だが、はっきり言って、今、この歳でストップしてくれる分には全然構わないのが本音だ。寧ろ俺の場合、大人にはなりたくないタイプなわけで。

花の青春時代、らしいからな。

花……ね。

かく言う、俺の横にいるちっこいのこそ、そうは思わないだろうけど。


「好翔先輩、今、心の中で私のこと小さいと言いました?」


「言ってねぇよ。横目に顔合わせただけで、被害妄想だ。」


少なくとも遠回しで、比喩的であるため、嘘は付いていない。付いてはいない。

ちっこい、とは言ったが、ちっこいだから。

()()()とは言っていない。

屁理屈。


「容姿なんて、さっきも言ったように、単なる器でしかないからね。私としては少なくとも、生物の形をしていれば、何でもいいのよ。」


「カエルとかトカゲでもいいと?」


「死神の仕事が出来るのなら、問題ない。」


「カサカサと床の間に、茶の間に突如として現れては、一家団欒に大混乱を巻き起こす、あの黒光りした生き物でもですか……?」


「仕事が出来るのなら、問題ない。」


いや、出来るわけないだろう。

忌々しい、虫ケラが、そんな大層なこと出来るか!


「……ある意味で、本当の死神だろ。」


「好翔、お上手」


どこがだよ。無表情で手を叩かれた所で、だ。


良かったな、可愛い見た目で。


「ところで、三番目は日本に来たということは、元々は外国の死神だった、ということでしょうか?」


「死神にはそれぞれに、担当地域があるの。一から十が其々にね。」


イヴは、説明する。


「この世界、地球は南極、北極を除いて、五大陸あるでしょ?その分、死神も分散しているの」


「ユーラシア大陸なんか馬鹿みたいに広いが、五大陸に対して、十の死神ってことは何人かが、まとまって担当しているってことか?」


「先代の言っていた通り、好翔は理解するのも、把握するのも早いようだね。」


絆愛と心優莉に比べたら多少は、なのかもな。


「アジア担当は、死神の七番目から十番目が分散している。

イヴや先代はアジアの東部を担当していたわ。」


アジア東部には、日本も含まれていたっけか。だから赤芽は、この日本で、母さんと出会った、と。


「アメリカ大陸も一人じゃ中々大変な面積だから、北米が二手に、そして南米に一人と、計三人でアメリカ大陸はまわしていたのだけれど、そのうちの北米担当が死神三番目なわけで、現在は行方不明。

だからその日、暇な地域の死神が応援に行って補っている、という感じかな。」


「なるほどな。

そう考えると、十人ってやっぱ少ねぇよな。」


十五年前からイヴが生まれる一年前までは、たったの八人で回していたわけだし、現役でしっかりと役目を遂行している死神にとっては、かなりの労力だったのではないだろうか。


「死神の数を増やそうとはしなかったのですか?」


「イヴを創ることさえ、神様は渋っておられたからね。実際、先代が役目を放棄してから十九年も経っているわけだし、そもそも新しい死神なんて、死神という概念が生まれて以来、イヴが初めてだったしね」


「なんで、渋らなきゃなんねぇんだよ」


「死神っていうのは、神様や天使様とは、造りが全く違う。文字通り、死を司る神なのだけれど、故に在り方も違うの」


「俺に理解力があるとは言え、それじゃあ絶対にわからねぇよ。」


「神様がこの世界、人間を生み出した想像主、その神様に仕える八の階級に分かれるのが天使様。

この二つは同じ気の種類をしているのだけれど、肉体を持たず、位が高いほどに魂はより強く、人間にも視認出来て、触れられるほどの者となり、勿論、自意識によって視認されないようにも出来るのが、神様と天使。」


イヴは、語る。


「そしてその天使様の下にいるのが、貴方達、人間。

人間には天使様達にはない、肉体が備わっている。それは、魂の気がとても小さく、弱く、脆いために、器なくしては存在していられないから。だから神様は肉体と魂をセットとして、人間を創造した。」


「そもそも、人間を創った意味ってなんなんだ?人間なんて、神が創るに値するほどの存在じゃねぇだろ」


環境破壊、環境汚染、自らの私利私欲の為に同種の犠牲をも厭わない、欲深く、戦争に溺れ、挙句は滅び行く存在。

そんな概念でしかないだろうに。


「神様はたった一人、地球が誕生し、一番初めにこの世界に存在し、この世界をずっと見据えて来たようで、創造と同時にその数、滅ぼしても来たの。」


「創造と破壊、ですか?」


「そう。一番分かりやすいのは恐竜かな。アレも神様が結局は滅ぼしたのよ。飽きたって」


飽きた。恐竜が滅んだ理由が神の気まぐれ、

飽きた。だと……?

巨大隕石でもなければ、寒冷化でもなく、地磁気消滅でもなければ、海の酸性化でもなく、どの説でもなく、飽きた?


「衝撃の事実なんだが。」


学会に発表した所で、絶対に鵜呑みにされることなんかないだろうが、これが事実らしい。

あってたまるかよ。


「弱肉強食みたいな世界に飽き飽きだったのだと、だから二億年近く、繁栄し栄えた恐竜は、滅ぼされた。」


「な、なんて身勝手な神よ。」


「そこで、神様は次にこの世界の支配者となる存在に対して、自身、神様と似た容姿と、知恵や言語を身につけさせた。」


「それが人類、ですか?」


「そう。

神様が、自分と同じような姿で、同じように言葉を発し、知恵を絞り、考えられるような生命体を創った。それが貴方達人類。」


「もし、恐竜に知恵を付けてたならば、ぞっとする話だな。」


「そうでもないよ。

あんの気持ち悪かったしどのみち滅ぼしてたって神様仰っていたもの。」


……差別だ。

したら、なんで進化の過程で恐竜の姿になるように仕向けたんだよ。


「話を戻すと、貴方達人間や、恐竜の類は神様からしてみれば、単に暇つぶしに創られたジオラマの中の一景でしかないのよ。」


「……暇つぶしで創られた身分なのかよ。」


「天使の場合は、単に神様が楽をするために、身体の疲労とかを癒して貰うために創り出した存在、だから別に天使は神様の気まぐれで消えることは、まずないとは思う。」


それと、話し相手が欲しかったみたいだね。と。


なるほど? 天使の優遇具合よ。

そんで、気づいたら天使もかなりの数になったと。


「今の世界のルールが定まったのも、神様が人間を創り出してからだしね。

死んだ人間、——つまりは魂が抜け、肉体が空になると、それは人間の死であり、死後の世界、霊界に辿り着き、再び新しい人間として生まれ変わるか、

余程、使い回すに値しない魂は、悪い意味でならば文字通りの消滅、良い意味でならば、天使として、記憶を保有したままで、この世界に在り続けることが出来る。」


恐竜時代、その時にはまだ、魂に知恵なんかがなかった為か、恐竜同士の間では魂が使い回されてはいたらしいが、天使に転生するには、やはり、使われなかったらしい。


——前に心優莉が、天使には二種類あって、最初から天使として生まれるものと、そうではないもの、

要するに、最初から天使としての叡智を持って生まれてきたものとで別れると言っていた。

最近は、百パーセントナチュラルな天使は随分と創られてないとも言っていた。

イヴの言述と照らし合わせれば、恐竜時代からいた天使が、その純粋な天使であり、人間が生まれて以降の天使が人類間で魂を廻らせ、そうして、天使になるに値する魂となった時に、天使としての存在となる。そういうことなのだろう。


「事実なだけに、辻褄が合うんだもんな。

……恐竜の絶滅については知りたくもなかったけど。」


「貴方達もいつ滅ぼされてもおかしくはないからね。気を付けないとだよ。」


一個人として、それなりに振舞っても、人間の数だけ、それぞれに知恵や知識や思考があり、言語も様々である。

俺たちには、どうにも出来ないことだろうがな。


触らぬ神に祟りなし。と、ばかりには行かないのかもしれないな。


「天使とか人間の容姿が神をモデルだとしたならば、そもそも論として、神はどうやって生まれたんだ?人間は猿から進化したんだろ?けど、神に祖先なんか」


「気づいた時にはこの世界にいたと、おっしゃっていた。

猿から進化した、なんていうのはあくまでも学説でしょ。そんな概念、今更通用するわけがない。神様がまず、自分に似るようにと、アダムとイブをお造りになった。そして神様の意向通りに人類として、繁栄していった。あ、ちにみに、イブはイヴのことじゃないよ。」


一人称がそれだから確かに紛らわしかったけれど、アダムの名が出た時点でイブがイヴじゃないことくらいわかるわ。

と、いうか、アダムとイブか。なるほど……。


「禁断の果実の伝承も、勿論事実だよ。神様は人間に死という概念こそ与えるおつもりはなかったみたいなの。二人が約束を守っていれば、ね。」


「だとしたら、もしかしたら、人間は神様とか天使様みたく永遠に死なない概念だったんですか?」


「そう。

まぁ、永遠に死なないのならば、そのうち果実の一つや二つくらい食べてしまう日が来るのは、当然ではあったのだけれど、神様は何故か食べないだろう、みたいな自身で溢れてたみたいでね。案の定、ブチ切れたご様子で。」


「もう、わからねぇよ。神のことが……。

そんな神の上に成り立つ世界に俺達はいるのか……。」


いや、もう、突っ込むのやめよ。

キリがないような気もするし、結局は神の適当な世界観で済まされるのだろう。


「神様がいて、天使様がいて、私達がいて。

仕組みは分かりましたけれど、死神については、結局はどういうことなのですか?」


結局的には、神が死の概念を動物やら恐竜やら同様に人間にも与えたと。死の概念を与えない選択肢としては今後どういうプランだったかはさて置くか。

話が進まない。


「そうだ、死神についてが、そもそも話の本筋はそれだったろ」


「教えるから、急かさないで。

イヴだって整理しながらお話しているから。」


「はい、失礼しました。」


死神十柱 担当地域


一番目……、ヨーロッパ


二番目……、アフリカ


三番目……、北アメリカ(北部)


四番目……、北アメリカ(南部)


五番目……、南アメリカ


六番目……、オセアニア


七番目……、アジア(北部)


八番目……、アジア(中央部、西部)


九番目……、アジア(東部)


十番目……、アジア(南部、東南部)


九番目二代目……、アジア(東部)


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