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追憶の天使  作者: 小河 太郎
【一章】『みゆり≒天使』
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21.「虚実と事実」


「俺たちが三途の川(ここ)にいる別の理由ってのは何なんだよ?生と死の間に見るようなこんな場所に。」


「人は死ぬと、死神によって魂が霊界に送られることになっててね、生きていた頃に良い行いをした人には、そこで魂の記憶が残されたまま、その上にある天界に行くことが許されるの。一般的な天使の類だね。——もしくは新しい命としてまた、新しい人間に生まれ変わるのだけれど、大半はこっちかな。前世がどうのこうのって人が希にいるのはここの()()で魂の記憶が完全にリセットされなかった人のこと。」


天使になれるのも、一握りではあるのか。それと


「完全にリセットされないことなんかあるのか?」


「もちろんだよ!一応生まれ変わりの作業は分かりやすく言うと第三階級、正社員みたいな天使がやってくれているのだけど、洗剤とかのコマーシャルでも百パーセント除菌!なんて言わないでしょ?この世に百パーセントなんか存在しないんだよ。神様だって完璧じゃないもの……!」


なるほど、すごくわかりやすい。


「それじゃあ、もしも悪い行いをした(かた)だったら?」


「地獄行き。だね」


あっさり云ったな。


「やっぱりあるんだな。地獄。」


「死神の力でも霊界に送られないほど重たい魂がそのまま下に沈んで行って行き着くのが地獄。好翔やきぃちゃんがいる世界のことを、私達天使は『肉体世界』なんて言ったりもするけれど、その世界を建物で言う一階だとして、二階にあるのが今、この現状に居る場所である幽界(ゆうかい)。三階がさっき説明した霊界(れいかい)。四階が主に色んな位の天使がいるような天界(てんかい)。天国って捉えて貰えればいいのかな?その上の五階が神様や私達、第八階級の大天使聖がいる神界(しんかい)。そして地獄は、そのずっと下の地下にあるって感じかな」


「そんでもって、地獄に堕ちるよりも重い罰が、存在の消滅。地獄って言ってもこの世界の何処かに存在していて、その魂を更生させ、再び人間として生まれ変わらそうとするための物なんだけれど、それすら許される事なく、問答無用でこの世界のあらゆる可能性から一切消滅するの。——まぁ、普通の人間がそんな罰を与えられることなんか前例は全くって言っていいほどないんだけどね。せいぜい堕天した天使くらいかな?」


堕天使か。死神も言ってたな、悪魔に魅せられた天使、か。


「にしても地獄っつっても、死んだ後の行き場所は、ちゃんとあるもんなんだな。」


死後の世界の存在を思わぬ形で知ることになった。こうなると、生と死後の境界線というのも、わからなくなってくる話ではあるような気もした。


「それでも地獄もかなりのものだよ。私も実際に地獄に近状調査しに行ったことあったけど、もうそれはそれは……、癒しを司る私としたら見てられなかったもの……」


成る程な。ぶっちゃけ、生まれ変われる保証もないんだし地獄に行くんなら、消された方がマシな気もしなくはないな。


「でも、二人はこうして幽界に来られる程の魂の重さだから、地獄には到底行かなそうだね!」


「先輩、目つきや口が悪いから、もしかしたら死んでしまったら、地獄に堕ちてしまうんじゃないかと思ってましたよ」


そんなんで、地獄に堕ちるか……。

いや、確証はないけれど。


「心優莉、お前、そんな能天気でも、実はすんげーお偉いさんなんだな。話し聞いた感じ、天使の頃とそんな性格も変わらなかったみたいだけど。」


「えっへん!そうだね。性格は確かに変わらなかったみたい。でも天使の本望を思い出した今は、人間の頃よりはずっと頭も良いよ!何であんな勉強出来なかったんだろって」


確かに。何でだ?本人が分からないなら、俺たち凡人にはもっと分かるまい。俺が()()かこそ疑わしいがな。


「それで、お姉ちゃん……!私と好翔先輩がここにいる理由って?」


「あ〜!そうだったそうだった……! ゴメンゴメン」


さっきから本題を忘れすぎだろ。 やっぱり根本的な面はやっぱり馬鹿なのか?神に仕えるほどの大天使なのに。


「幽界って言うのが、死んだ魂がまず、来る所、迷い込む所なんだ。他にも、死んでも死にきれていないような人の魂が迷いこんだりもする、そんな世界。幽体離脱(ゆうたいりだつ)で迷いこむ魂も稀に見たりするね。」


……某、双子のアジの開きのお笑い芸人が真っ先に浮かんでしまった。


「そういや、幽体離脱で魂が肉体に帰って来られなくて死んじまうなんてこともあるみたいだな。」


「そう、正に幽体離脱して、この世界に来て、帰れなくなっちゃった魂のことだね。それともう一つは、今、私達がずっと立ってるこの線路なんだけどね」


「線路、そうだ、この線路は一体何なんだよ?ずっと気になっていたんだ。こんな場所にたったの一本だけあって」


俺と絆愛がずっと辿ってきた、一本の赤茶けた線路。


「『魂送列車(こんそうれっしゃ)』って言って十二時間に一回のペースで運行しているだけど」


「運行って軽々しく言いやがんな……」


「ここに辿り着いた、迷い込んだ魂を、魂送列車という名前の通り、霊界に送るための列車なんだけどもね。 あと一時間くらいで来るかな。駅とかはなくて、迷子を見つけ次第、その場で止まるんだけれど、もし、幽体離脱かなんかで迷いこんだ迷子だったとしたならば、『ここから出られるかも』なんて思ってつい、乗ってしまったりするものだから、死ななくても良い魂なのに、そのままポックリと……」


「大天使様ならもう少し言葉選べよ……」


逆に、幽体離脱でなければ自分が死んだことを認識しているため、これまたすんなりと、受け入れ、乗車するのだとか。


「私達もお姉ちゃんが来る前に列車が来ていたら、つい乗ってたかもしれませんね」


「だから私が迎えに来たの!列車に乗られたら私の権限でも地上に返すのは難しいからね。それに乗らなかったとしても長期間、肉体から魂が抜けてたりなんかしたら、それこそ肉体に二度と戻れなくなっちゃうからね。」


なるほどな。確かに列車が来ていたら確実に乗っていた。こんな何にもない場所に現れれば、不安な気持ちも相まって救済船だなんて思っちまう。ノアの箱船だな。


「ようやく本題なんだけれど。二人がここに迷い込んだ理由としては、二人はまだ()()()()()ってこと、どうしてだか分からないけど、肉体こそ大きなダメージを受けているようだけど、二人して『仮死状態』そのものみたいなんだ。仮死状態なんて、そう誰でもなる訳じゃないし、それも二人同時にとなれば、それは恐らく人為的なものだと思うのだけど」


「人為的な仮死状態……?」


一体誰が?何のために?それにそんなことが出来るような奴に心当たりなんか……。



いや、ある。



——— 死神……?



親父……が?何故?何のために?


「殺さなかったのか……?アイツは、俺と絆愛を。」


「ん?」


「先輩、何かわかったんですか?」


それしか考えられないじゃないか。だとしても死神が俺たちを生かさず、殺さないなんてことをする理由なんて。


「もし、本当に仮死状態で死んでないってんなら……。俺らは、生きて帰れるのか……?」



一つの希望。



「———ふふ、まぁね!」


《天使達の世界》


神界しんかい……主に神と、それに仕える四大天使聖の住まう場所。時々第七階級の天使も行き来する。


天界てんかい……第一階級から第七階級の全ての天使達の住む世界。(第八は例外)その広さは地球とほぼ等しく広がっている。


霊界れいかい……死んだ人間の魂が最終的にたどり着く場所。ここを起点に生まれ変わるか否かが決まる。主に閻魔様と死神達が居る。


幽界ゆうかい……死んだ魂がまず、たどり着く場所であり、死神が魂送列車と共に、魂を霊界に送るための起点になる。


•肉体世界 ……我々、人間達が住む世界。唯一、肉体と言う概念が存在し、同時に寿命が存在する。


•地獄(冥界) ……天使になることを許されず、生まれ変わることも出来なかった魂の行き着く果て。終わらない罰を受けることになる。


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