七話
青々とした木々が風に揺れて音を立てている。
暖かい太陽の光がシグナルたち五人を照らす。
いつの間にか移動していたのだ。
「Non NAME本部前にようこそ!もう少し奥にリーダーがいるからついて来て。」
三人は突然瞬間移動した事に驚きながらも齋藤遥香に連れられ、自然に囲まれた道を進む。
「はるちゃーん。仁ー。お帰りー。」
「今日もエレクトをコテンパンにしてやったかぁ?」
「後ろの子たちは新人さん?」
この自然を管理している人たちなのか、齋藤遥香と宇野仁は初老のおじさんたちに遠くから声をかけられ、それに手を振りながら返事をする。
この自然は人の想いが込められている自然なんだ。
一生見れないと思っていた自然が目の前に広がっている。シグナルは喜びを感じた。
しばらく歩くと木造の平屋が見えてきた。その前には人の10倍以上ありそうな鳥居が建っていた。
「すごい・・・・・・。」
ワニの口から自然と感嘆の声が漏れる。
「驚くのはまだ早い。鳥居をくぐったらもっと驚くぞ。」
宇野仁が言うのとほぼ同時に鳥居をくぐった。
そこは木造の平屋の前ではなく、広々とした機械的空間が広がっていた。
見渡すと、明らかに最新鋭の設備だと分かる機械がたくさんあり、壁の上部には大きな画面が三つ。
その下で二人、機械と向き合ってる人がいる。
シグナルたち三人がこの光景に見とれていると、高い天井から三人の若者がゆっくりと降りてきた。
ゆっくりと着地すると、先頭に立っていた一人がシグナルたち三人に右手を胸に当て会釈をした。
「Non NAME本部へようこそ。古賀くん。川後くん。御坂くん。私はNon NAMEリーダーの八重兼憲だ。これからよろしく。」
元から緊張していた三人だったが、Non NAMEリーダーの名前を聞いた瞬間、気絶しそうになった。
「せ…せ…せ…選民の…十氏家一角、八重家……」