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三十八話

 ニチノ条約締結からーヶ月。

双方、元より期待はしていなかったが、Non NAMEとエレクトの戦いに何ら変わった事は無い。

そもそも、Non NAMEが要求して今だ守られているNon NAME実行部隊以外への武力行為の禁止はNon NAME実行部隊以外の人がいない限り、守るもなにもない。

もう一つの要求、作戦の事前通告もNon NAMEの情報網によって、エレクトが作戦を立案している段階でNon NAMEは察知出来てしまう。

その通告で多少情報が多くなるが、いつ、何人が何を目標として出撃していようと、Non NAMEのやることはほとんど変わらない。

撤退勧告、無視するようならNon NAMEの力で転送。

条約に意味があったのか甚だ疑問である。

 条約が締結したあの日。無事に帰ってきた兼憲が分かる事は全てNon NAMEに報告した。

報告を聞いた者は誰しも多少は衝撃を受けた。

そんな中でもしばらく寝込んでしまうほどシュックを受けた者もいた。

皇国神皇となったNon NAME元リーダー守に育てられた悠とミサだ。

当然といえば当然だ。自分が信じていたものが問違いだったのだがら。

かつての仲間だった桜井と友理奈のショックも大きかった。

二人の感情は驚きよりも怒りが勝っているように思えた。

守との戦闘で大ケがを負った遥も驚くべき回復力で完治し、すっかり実践に参加している。

十氏家の七瀬と九鬼は肩書き的にはNon NAME職員となったが、時々実務と共に戦闘に出たりしている。

これからもNon NAMEとエレクトの関係に大きな変化はない。そう思われた。

しかし、いつの世でも諸行無常の鐘は響く。

 Non NAME本部にすっかり聞き慣れてしまった警報が響く。

「Non NAME諸君。任務だ。」

Non NAME完行部隊が作戦司令室に集合すると桜井が任務の説明を始めた。

「日本政府側から事前通告があった。民衆指導の為に首都圏内五が所にエレクトが出動する。各地十人から二十人の小隊規模だと考えられる。

全員出るのは控えたいな。各地二人組で対応してもらう。遥とミサ、仁と悠、結衣と凛、拓と御坂、あと私。本部には染やんが残ってくれ。決して油断はするな。分かったな。」

兼憲の指示で二人組になって名地へと出動した。

 遥とミサ組。事前情報通り十人ほどのエレクト隊員が行軍していた。

「情報通り。油断せず、ちゃっちゃと片付けちゃおう。行くよ、ミタ。」

「はい。」

 仁と悠組。ニ人が出現した時にはまだエレクトの姿は見えなかった。

「見た当らないないな……。下に降りて待ってろ。上から見ておくから、指示したらすぐ戦えるようにしとけよ。」

「はい、了解しました。」

 結衣と凛組。中堅二人は今回の任務実施地の中で一番エレクト本部に近く、非常に栄えている地の上空に出現した。

既にエレクトは民衆指導を開始していたが、エレクト本部の程近く故、日本政府に従順な者だらけ。

二十人程のエレクトの隊列の傍で人々は跪き、当のエレクトは民を見下しながら歩いている。

「見てて辛いわ。」

「ええ。早く終わらせましょう。」

 拓と御坂組。同期二人も中心街上空にいた。

この地はエレクト本部の近くにも関わらずNon NAMEファンが多くいて、何度もライブをしたことのある地だ。

敵側の人間が多くいるということをエレクトも把握しているので、今回の作戦で一番規模の大きな小隊か担当している。

「やっぱりここは街もエレクトも賑わっているね。」

「さらにファンの心と掴んでいこうじゃないか」

 兼憲。首都圏の端の上空をただよっていた。

この地にはエレクトの支部があるので既にエレクトは作戦行動を開始している。

しかし、何を感じたのか、兼憲はエレクト小隊のいる方とは全く異なる方向へと向かっていった。

そこはエレクト支部。

門番を一瞬で倒し、出入口の扉を蹴破る。

大きな支部ではないので、扉すぐの部屋が司令室だった。

中のエレクト隊員が一斉に振り返る。

その表情は予想していたものとは全く逆。

彼らは笑みを浮かべていた。

「お客さんだ。丁重にもてなしてやれ。」

一番高い位だと思われる男が隊員に指示するが、言われて銃をかまえた隊員は既に兼憲に斬り捨てられていた。

数人残された司令官はそれでも全く表情を変えなかった。

いつもなら絶望の表情で助けを乞うのに何故。

まさか。兼憲の疑問は自己解決したと同時に衝撃として解消した。

切り倒したはずのエレクト隊員がまるでゾンビのように再び立ち上がり、兼憲へ銃を乱射した。

 各地で戦うNon NAMEたちはここ最近の戦いと比較すると信じられないほど苦戦していた。

その理由は戦っている本人はもちろん、司会である桜井や友理奈でさえ分からなかった。

 再び遥とミサ組。行軍しているエレクトの進行方向に着地すると、いつも通り撤退勧告を行なった。いつも通り従う様子はない。

「毎度、毎度。勝てないと知りながら。」

「勝てない?それはどうかな。」

遥とミサはエレクトの戯言を無視して、いつも通り攻撃されるのを待った。いつも通りエレクトは銃を向け、いつも通り発砲した。いつも通り加護で弾かれる。

そう思っていた二人だった。しかし、銃弾はミサの肩を貫通し、絶叫と共に鮮血が飛び散った。

 仁と悠組。しばらく待っても敵の姿は見えない。

「桜井さん。本当に場所合ってますか。」

「間違いない。……というか交戦中じゃないのか?」

「え……?」

仁は嫌な予感がして背後を見た。

少し離れたそこには先程まではいなかったエレクトの小隊が民泉を蹂躙していた。

「うそ………だろ……。」

この地に到着した時に周囲は確認した。

絶対にエレクトはいなかった。二人とも断言出来る。

しかし、事実、工レクトはそこにいる。

「どういうことだ。」

二人は大急ぎでエレクトの元へと向かった。

 結衣と凛組。二人は戦聞の真っ最中。

たったニ十人を相手にしているだけなのに、感覚的には何百ものエレクトと戦っている気分だった。

「一体……はぁ、何か起きてるんでしょうか……。」

「分からない……。ーつ言えるのは、今までのエレクトと全く違うという事だけ……。」

加護で守られているはずの二人の身体に、ちらほら切り傷や擦り傷が目立ち始める。

軍服も砂や血で華麗さを失っている。

「何度斬り倒してもまた起き上がってくる……。どうしたらいいの……」

結衣の苦しみの呟きは戦場の喧騒にかき消された。

 拓と御坂組。二人も結衣と凛同様、蘇るエレクトと対峙していた。

「おかしい。少なくとも半日は気絶するくらいの強さで斬っているのに……」

「ということは、効いていない?」

二人は早々に異変に気付いて、理由を考察していた。

しかし、情報が少な過ぎて仮説を立てる事すら困難だった。

「いいや。十分に効いてないだけで効果はある。」

「そうか。それなら良い考えがある。準備が出来たらインカムで合図する。しばらくー人で持ちこたえられるか?」

「任せとけ。」

御坂は拓にその場を任せると上空へ飛び出した。

この地は大通りもあれば、大通りと大通りを繋ぐ小道、そして建物と建物の間の人ひとり通るのがやっとのような道もある。

御坂は自分の作戦に使えそうな通を探した。

 拓にやや疲れが見えてきた頃、インカムから御坂の声が聞こえた。

「拓、よく持ちこたえてくれた。今か作戦を伝える。ーーー」

御坂から作戦の概要を聞き終わると、拓は武器をペンに戻し、的に背を向けて走って逃げだした。

当然エレクトは総出で追ってくる。

近くの住人から時々掛けられる声援に応えながら、拓はエレクトと追いていかないように、追いつかれないように走って逃げ続けた。

しかし、遂に行き止まりに当たってしまった。

背様にはエレクトの隊列が出来ている。

「もう逃げ場はない。諦めろ」

先頭のエレクトは立ち尽くす拓に銃を向ける。

しかし、拓は余裕気に微笑んだ。

「逃げ場がないのはそっちだよ。終わりだ。」

いつの間にか拓の右手に握られたペンは剣へと姿を変えていいた。

「一突!」

人ひとりやっと通れるような道に綺麗に整列していたエレクトは一人残らず貫いて串刺しのままにした。

全員がほぼ同時に気絶すると、膝を折って地面に座り込んだ。

ずっと上から見ていえ御坂が拓の隣に着地する。

「成功みたいだね。」

拓は御坂から予備のペンを受け取って警戒する。

しかし、起き上がる気配はない。

「それにしても何だったんだ……。ひとまず本部に連絡を……」

拓がインカムで本部に進絡しようとした瞬間、インカムから怒鳴り声が関こえてきた。


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