三十話
Non NAMEの活動は同じようなことの繰り返しである。
エレクトは全国規模の組織で、至る所に支部があるが、実際に活動するのは首都圏が多い。近場に現れたエレクトを撃退する毎日。
たまにライブを開催したりするが、ライブ後の人々の負担を考えると、やたら滅多にはできない。いくらNon NAMEがやりたいと思っても、人々が望んでも。
ライブ後は開催地一帯の反政府感情は当然高まる。士気の上がった人々をエレクトは容赦なく殺傷しようとする。そうなってしまったらNon NAMEとエレクトの戦闘は、無関係な人々を巻き込みかねないほど拡大してしまう。
今、Non NAMEに出来る最善のことはエレクトから人々を守ることだけ。終わりの見えないイタチごっこを最善としてずっと続けてきた。
だからNon NAMEは忘れていた。自分たちは戦争をしているのだという事を。
日本のある場所。円卓の部屋に八人の老若男女とそれぞれの従者あり。そこに一と六義の姿はない。
「これより十氏家円卓会議を開催する。今回はエレクト開発の新兵器、実戦実験を行います。皇国神皇は御都合により欠席です。六義家はエレクトを率いて出撃しています。それではご覧下さい。」
二三の開会の辞が終わると同時に、円卓の部屋に映像が映し出される。そこに映っているのはエレクトが行進している姿だった。
Non NAME本部で訓練中だったNon NAMEのインカムから声が流れる。
「訓練中失礼。諸君、任務だ。」
服装を整えると、Non NAMEは作戦司令室に集結した。
「今回の任務は久々の遠出だ。ミサと悠が仲間になってから初の首都圏外、人口過疎地だ。普通なら地方の政府管理強化と考えるが、出撃人数が異常なんだ。間違いなく何か企んでいる。警戒してくれ。」
櫻井の任務説明に、隣に座っていた友理奈が言い加える。
「あくまでも私の直感だけど、嫌な予感がする。このままだと人がたくさん死んでしまうような。いつも以上に十分気をつけて。」
ナビゲーター二人の任務説明が終わると、リーダー兼憲が任務を行うメンバーを選定した。
「今回は私、遥、結衣、拓、凛の五人で行う。桜井さんの読みと友理奈さんの直感は頼りになる。念には念を入れて任務を遂行する。仁、染やん、御坂。君たちなら何があっても本部を守りきれる。何かあったらよろしく頼む。ミサと悠はまだ無理しないでくれ。……行くぞ。」
一同返事をすると、任務組の姿が一瞬にして消えた。




