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二十七話

拓たち五人を守るようにそこに立っていたのはNon NAMEの兼憲、遥、染やん、結衣だった。

「拓!凛!御坂!大丈夫?ケガはない?」

ずっとノイズがかっていたインカムから慌てた友理奈の声がはっきりと聞こえた。

「さすが嶺上りんしゃん白百合しらゆり。前線から退いてもその強さは健在ですね。エレクトの最上級武器が一瞬で鉄クズと化しましたよ。おかげでみんな無事です。後は任せて下さい。」

「や…やめてよ、その呼び方…。任せたわ。」

呆然としていた拓たちに代わって返答した兼憲は一瞬穏やかな表情になって返事をしたが、すぐに殺気が蘇る。

「これはこれは。裏切り者の法務事務次官の八重さんではないですか。お久しぶりですね。最近十氏家会議に出てくれないからなかなか会えなくて寂しかったですよ。」

皮肉を言って余裕を装う六義だが、その声音から兼憲の事を恐れていると誰もが分かった。対して、兼憲は表情一つ変えず、口を開く気配もなく六義を見据えていた。

「じ…じゃあ、我々は退くとしようか。」

沈黙に耐えられなくなった六義はさっさと逃げようとした。刹那。インカムから兼憲の怒りが込められた声が聞こえた。

「本部。許可を。」

「許可する。」

それは決して迫力のあるものではない。しかし、その声を耳元で聞いた拓たち三人は危うく気絶するところだった。なんとか意識を保った三人が気付いた時にはNon NAME四人によってエレクトは六義を除いた全員掃討されていた。あまりの恐怖に敵に背を向けたまま立っていることが出来なくなった六義は地面に座り込んで、化物を見るような目でNon NAMEを見つめた。

「後はお前だけだが、倒されることもなく逃げて帰ってきたという扱いを受けたいか。それとも、倒されて帰ってきたという扱いを受けたいか。どちらが良い。」

六義に歩み寄りながら兼憲が淡々と告げる。その表情は先ほどまでと打って変わって微笑んでいた。しかし、相手から見れば、その微笑みすら鬼面に見える。六義は必死に口を動かしながら何か言おうとしていたが、それは言葉にならず、ただパクパクと音を立てるだけだった。

「なるほど、お任せか。…拓、凛、御坂。」

三人とも僅かではあるが可能性を考えていたので、三人ともすぐに兼憲の意図を察した。手にした剣を握り直し、地に座す六義へと驀進ばくしんする。三人一列に並ぶと、ほぼ同時に六義を斬り捨てた。苦しみの表情でゆっくりと地面に倒れていく。

「御苦労。これでこいつは『Non NAMEに負けた』ってだけじゃなく、『Non NAMEの新人に負けた』事になる。信用ガタ落ちだなぁ、六義さん。」

そう言って、兼憲は六義の懐を漁り始めた。他遥たち三人も隊員の懐を漁ったり、地面に散らばる鉄クズを集めたりしている。いつもは倒した後のエレクトは放置またはエレクト本部に送り返してやるだけで、持ち物を漁ったりしない。何故そんな事をしているのか拓たちは疑問に思った。

「あのぉ…何やってるんですか?」

「あぁ。この部隊は六義家直属近衛隊だから装備とか持ち物の質が違う。エレクトの最先端技術によって作られたものなんだ。だからサンプルとして持ち帰らない訳にはいかない。」

「なるほど…。」

理由は分かった拓たちだったが、この行為を自分の中で正当化する事は出来なかったので、手伝う事なく少し離れた所で様子を見ていた。しばらくして目ぼしい物を手に入れたNon NAMEは一か所に集まった。

「拓、保護した二人を連れてきてもらえるか。我々が行くより、多少知ってる人が言った方が良い。」

兼憲の指示で二人を連れてこようと振り返った瞬間、そこに実彩と悠輝が立っていた。

「わっ!ビックリした?」

微笑んで驚かしてきた実彩に拓は驚いた。

「ビックリしたよ。気づかなかった。二人とも大丈夫?ケガとかしてない?気分は悪くない?」

拓の質問責めにきょとんとしたが、すぐに微笑んだ。

「Non NAMEの皆さんが守ってくれたじゃないですか。かっこ良かったですよ。」

「ケガもないですし、元気です。元気すぎるくらいに。」

その様子を見て、拓は安心した。兼憲たちの助けもあって、どうにか二人の命は助けられたが、心までは助けられた自信がなかったからだ。

「それでは我々Non NAMEは衛藤実彩さん、衛藤悠輝さんを保護して本部へと帰還します。ついて来ていただけますか?」

「もちろん!」「喜んで。」

拓たちは三人を待つNon NAMEの元へと足を向けた。

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