二十話
圧倒的有利の戦闘を日々繰り返していると、自らの実力の上昇を実感しにくい。
事実、拓たちはいくら訓練を重ねても成長した実感がない。
それでもNon NAMEでの扱いが徐々に新人からメンバーのひとりとしての扱いに変わってきているのは感じられた。
任務は基本先輩メンバーと二人一組で、先輩のサポートをするか、先輩にサポートしてもらって自らが戦うかのどちらかだったが、段々単独で戦闘をする事、もしくは拓、凛、御坂の中で二人組を組んだり、三人だけで戦う事も増えてきた。
そんなある日。エレクトが大規模な再教育を実施しようとした。
「作戦概要を説明する。今回は首都圏に相当な人数で出撃している。しかも一か所に向かってる訳ではないようだ。大規模かつ広域の再教育であるのは間違いないだろう。こちらも相応の人数で当たる必要がある。Non NAMEは広域攻撃に弱いからな。仕方がないが、全員出撃くらいでも良いかもな。」
全員出撃。その言葉に作戦司令室に緊張感が漂う。
Non NAME実行部隊が一人も本部に残る事なく、全員任務に向かう全員出撃は、拓たちがNon NAMEに入ってからライブを除いて一度も行われていない。
正確に言うと、エレクトによってNon NAME本部が襲撃されたあの「悲劇の日」以降、必ず誰かしら本部に残る。
「いや。全員出撃はしません。遥、本部は頼んだ。残り全員出撃だ。」
兼憲は迷う事なく決断した。悲劇の日を体験した兼憲は全員出撃を決して指示しない。
そんな兼憲の下した決断が、本部に残すのは一人。
これからの任務の困難さが想像出来た。
いつもより緊張する拓だったが、したところで物事が良い方向に変わるわけではない。
ゆっくりと息を吐き出して気持ちを整えた。
「今回は二班に分かれて、別々に任務を行う。一つは私、拓、凛、御坂。もう一つは仁、染やん、結衣。一か所片付けたら次の箇所に移動して片付ける。桜井さんと友理奈さんの指示で動いてくれ。分かったな。あぁ、そうだ、御坂は私も一緒に飛ばしてくれ。行くぞ。」
『はい!』
気合の入った返事を残して、Non NAMEは一瞬で姿を消した。




