十二話
Non NAMEとして本格的に活動する覚悟を決めた拓、凛、御坂は戦闘など実務的な基礎訓練を行う前に、まずはNon NAMEを名乗るに相応しい知識を身につけた。教示してくれたのはNon NAMEの実行部隊メンバーだった。それぞれの得意な分野を基礎的な事から毎日講義してくれた。一カ月ほど経った時には、三人とも十分な知識を身につけていた。それからは興味を持った分野を更に深くまで学びながら、遂に実務的な基礎訓練である戦闘訓練、作文練習、歌唱レッスン、兵学が始まった。運動や作文なんてほとんどした事がなく、歌に関しては全く触れた事がなかった。三人は訓練開始初日に挫折した。頭で理解していても身体がついていかない。何か書こうにも何も浮かばない。歌とはとても呼べない、ただの雑音でしかない。何ひとつまともに出来なかった。今までの生活では、出来ない事はやってこなかった。そもそもやる必要がなかったので、『挫折』という概念がなかった。
「最初から出来る人なんていないから、最初はこんなもの。すぐに出来るようになる。」
と、教えてくれていた兼憲、桜井、遥の三人は口を揃えて励ますが、拓たち三人のショックは相当のものだった。その傷心を癒してくれたのが兵学だった。講師は友理奈で、その内容は、過去のNon NAMEとエレクトの戦闘記録を分析して、ある局面の時にどのように対応するのが良いか考え、実際にNon NAMEはどのように乗り越えたのか学ぶというものだ。兵学は戦闘戦略と一緒にNon NAMEの歴史を学んでいるに等しい。記録を基に議論すろのは三人の得意分野だ。友理奈から提示された戦闘状況において、こうしたら良い、ああしたら良いと議論しながら、かつてNon NAMEと出会う前に御坂の家であれこれ議論し合っていた事を思い出したりもした。あの頃と同じように訓練の日々は一喜一憂しながらあっという間に過ぎていった。




