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DEAD MAN´S EVOLUTION  作者: 江上 那智
異世界冒険編
7/22

お約束って大事―1

少し間が開いてしまいました。

申し訳ございません、今回長くなりそうだったので二部構成になってます。

アーティスに地上まで転送してもらった至人は、これまたアーティスによって盛大に疲弊した精神をゴブリンいじめで癒していた。

ダンジョンにどれだけいたかは不明だが、体感で半月は経ってるんじゃないかと推測する。


「短期間でいろいろありすぎた、ここいらじゃもうピンチにもならないな」

軽く小突いた程度の感覚でゴブリンの頭を爆散させながらつぶやく。


「少し気分もすっきりした。日が落ちるまでまだまだあるし、街を探しに行きますかね」

この場に長居は既に無用とさっさと森を抜けて平原に出る。


(うーん、目の届く範囲に街道とかは見えないなぁ……)

鷹の目などの遠見スキルでもあればよかったのにと軽く舌打ちをする。


(鷹の目、か……鷹、鳥……空……良いこと思いついた!)


ニシシと含み笑いをしてマントをアイテムボックスに突っ込み、至人は芸術創造『混ざり合う芸術(モザイクアート)』を発動させる。


全身を魔力の霧が覆い、身体全体が溶けたような感覚に包み込まれ、細胞の一つ一つが別の形を再構築していく。

それはまるで、蛹の中で別の形に生まれ変わる昆虫のようだった。

身体の再構築が終わり、至人は自分の身体を確認する。


「成功だ……」


両の手は翼と化し、腰から下は羽毛で覆われていて、足首から下は鉤爪のような形に変わっている。

そう、至人はハーピーをイメージしてモザイクを使ったのだ。


(……イメージしたのが女性型だったからって、ちゃんと胸もあるのはどうなんだろう……)


イメージに忠実なのは良いことだが、忠実すぎるのもどうかと至人は唸る。


(さて、あとはちゃんと飛べるかだな)


至人は力づよく羽ばたくと大空へと飛び立った。


――――――――――――――――――――――


「うわぁ、サラマンダーよりはやーい」


サラマンダーがどれくらい速いのかは知らないがとりあえず言ってみたかったらしい。

風が読めるというのかなんなのか理屈は不明だが、疲れもせず風の抵抗を感じることがない至人はそんな余裕を見せながら快適な空の旅を楽しむ。


「街道発見! ん、あれは?」


街道が見えてくるとともに、その街道上でなにやら集団が馬車を中心に固まっているのを確認した。

囲んでいる側が武器を手にしていて、一番ゴツイ奴の近くには人が数人血を流して倒れている。

御者台では怯える男と満身創痍といった感じで男を護る女戦士がいた。

どう控えめに見ても仲良し集団ではないのは明らかである。


「これは……お約束イベント!」


異世界ものでは高確率で起こりうる王道ハプニングイベント、商人、第○王女、貴族、eto……様々なパターンがあると至人は記憶している。

ゲームでも序盤で起こる為に難易度は低く、解決すればそのどれもが後々に多大な恩恵となること請け合いの素敵イベントである。


「乗るしかない……このビッグウェーブに!」


至人は即座に盗賊と思われる取り巻きの一人に狙いを定め、滑空を開始する。

滑空し始めると同時にモザイクを解除し、マントを羽織ると即座に衣服が再生する。


(この服、すっごい便利! アーティスに感謝だな。そのうち教会でしっかり祈ってやろう)

心の中でほんの少しアーティスに祈りを捧げておく。


「盗賊野郎ども、お前たちの罪を数えやがれぇぇぇ!」


どこかで聞いたようなセリフを叫びながら飛び込んだ至人の蹴りが取り巻きの一人を見事に捉えた。

時速何十キロかの勢いのついた攻撃は相手の骨をあっさりと砕き地面に叩き付ける。

そのまま至人はバランスをとり、足蹴にした男をまるでサーフボードのようにして地上を滑走する。

ガリガリと音を立てて赤いカーペットを地面に敷きながら数メートル、体積が半分になってミンチよりひどい状態の男から降りて至人は言う。


「俺、参上!」


あまりにも常識外れな光景に、この場にいる全員が状況についていけずに呆けていた。

そんなことはお構いなしと至人は馬車に近づき、ポーションを突き出しながら御者台の男と女戦士に言葉をかける


「さ、これを使って。あとは俺に任せて二人とも休んでるんだ」


「「あ、ありがとう?」」

思考が回復していない二人はコクコクと頷きながらなぜか疑問形で感謝を述べた。


「いや、誰だよお前!」

ここでやっと時間の止まっていた盗賊のボスらしき人物の突っ込みが飛んでくる。


「通りすがりの旅人だ!」

胸を張って堂々と言い放つ。


「いや、なんか色々オカシイだろが! くそっ、仲間をこんな目に遭わせやがって……野郎ども、やっちまえ!」


ボスの怒号に手下の思考が戻り、統率のとれた動きで至人を包囲する。

なかなかに見事な包囲網に、そういえば集団戦って初めてだなと明後日の思考をしながら至人は審美眼を発動させる。

――――――――――――――――――――――


name:ザッコ 美しさ-30

job:盗賊

Lv:15

HP:500/500

MP:0/0

LP:30/30


スキル

軽業師 短剣術 投擲術 シンクロ連携


バトルスキル

シャドウダガー アクロスナイプ


――――――――――――――――――――――


name:カスイ 美しさ-50

job:盗賊

Lv:15

HP:430/430

MP:0/0

LP:40/40


スキル

軽業師 短剣術 投擲術 シンクロ連携


バトルスキル

シャドウダガー アクロスナイプ


――――――――――――――――――――――


name:カマセ 美しさ-15

job:盗賊

Lv:15

HP:560/560

MP:0/0

LP:25/25


スキル

軽業師 短剣術 投擲術 シンクロ連携


バトルスキル

シャドウダガー アクロスナイプ


――――――――――――――――――――――


name:モーヴ 美しさ+-0

job:盗賊

Lv:15

HP:900/900

MP:0/0

LP:10/10


スキル

軽業師 短剣術 投擲術 シンクロ連携


バトルスキル

シャドウダガー アクロスナイプ


――――――――――――――――――――――


name:ハヤック 美しさ+10

job:盗賊

Lv:15

HP:400/400

MP:0/0

LP:70/70


スキル

軽業師 短剣術 投擲術 シンクロ連携


バトルスキル

シャドウダガー アクロスナイプ


――――――――――――――――――――――


(ゴブリンよりはマシな程度か……最初に倒した男(サーフボード)も似たようなもんだったのかね)


さらっと見回しただけだったが、名前と体力、生命力、魔力にスキルが見えた。

見ようと思えばもっと詳しく見れそうだったが、戦闘中の少しのタイミングでここまで見れたら御の字だろうと至人は思った。


(せっかくだし、色々試させて貰いますか)


体術のみでも倒せそうではあったが、ここは敢えてアートマジックの実験台になって貰うことにした。

読んでいただいてありがとうございました。

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