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DEAD MAN´S EVOLUTION  作者: 江上 那智
異世界修行編
5/22

芸術神アーティス

更新が遅くなりました。

いつも読んでいただいてありがとうございます。

もうそろそろ話を動かしたいです。

「いやー、今回も大変だったなぁ」

前回の探索から暫くたち、帰りに遭遇する危険性を下げるためにセーフエリアからあまり離れず少し戦っては帰るを至人は繰り返していた。

もはや家である。

結局魔力消費で再生Lvは上げられなかったので声帯破損を解除し、声を取り戻した。

パラメータも大分上昇して、一対一ならば危なげなく戦うことはできるようになったが複数相手は負けることはないけれどやはり厳しい。


変わった事といえば、毎回少なくない傷を負っていたために再生Lvが5に上り欠損も治るようになったので念願だった人間の見た目を手に入れることが出来ていた。

走ったり跳ねたりも容易にできるのは最初から見ればかなりの進化だ。

例えるなら『ナイト・○ブ・ザ・リビングデッド』から『ドーン・オブ・ザ・○ッド』になったようだ。

ただ、現在は身体変化スキルで多脚になっている。

前の下半身がスキュラだとするなら今はアラクネのような状態。

なぜこうなってるかというと、人形態だと下に穿くものがないから丸出しになる。

どっちの形態だろうと見られたら間違いなく襲われるだろうなと苦笑する。


他にはあの赤い液体は予想通りポーションだった。

なんとなく腕に垂らしてみたら肉が溶けた。

自分には使えなかったが、何かの時のためにアイテムボックスの肥やしになってもらっている。


「やることもマンネリ化してきたし、少し探索中心にしようかな」


誰に話しかけるともなく声にだす。

しばらく声が出せなかったので至人は現在リハビリも兼ねて出来るだけしゃべるようにしている。


「ステータスにも状態異常なし、ほんじゃ行きますか」


また無事に戻ってこれますようにとセーフエリアに向けて願いをかけ、ダンジョンへの扉をくぐった。


――――――――――――――――――――――


探索は順調にすすんでいた。

遭遇した敵は確実に一体ずつ処理し、傷を負えば再生が済むまで決して無理はせず慎重に事をすすめる。

途中上に上がる階段を発見したが、現在が何階層なのか不明なのでとりあえず今は無視する。

何度目かわからない行き止まりと戦闘を経て迷宮の最奥と思しき物々しい大扉を発見した。


「ご都合主義な感じで踏破したみたいだけど、これどう見てもボス部屋だよね」


明らかに居ますという雰囲気を放つ大扉の前で至人は物凄い違和感を感じていた。

きょろきょろと辺りを見回すと、思いのほかあっさりと違和感の正体を見つけることができた。


「なんだ? 扉……?」


大扉の隣にうっすらと別の扉が見える気がする。

近づいてみるとやはり扉がある……気がする。

頭の中に靄がかかったような気持ちの悪い感覚を覚えながら、彼にとってここに重要な何かがあるという直感が働く。

意を決して扉をくぐると至人は強烈な眩暈を起こした。

右を見ても左を見ても左右対称、完全なるシンメトリー。

棚や家具、調度品、絵画、石像と様々なものが置いてあるがそのどれもがきれいに部屋の右と左で対称に配置されている。

一部の隙も無い完成された左右対称は見るものに違和感という認識障害を引き起こさせた。

痛覚鈍化のおかげで痛みには強いはずの至人が頭痛に頭を抱えていると部屋の奥から一人の男が歩み寄ってきた。

その男はまるで彫刻のように整った顔をして、見惚れるような美しい金色の髪を肩にそろえ、吸い込まれるような瞳は青く、そして全裸(・・)だった。


「変態だぁぁぁぁ!」


違った意味で強烈な眩暈を起こしかける。


「変態とは心外であるな、裸は一つの芸術である」


男はさも当然のように言い放った。


「見るのである、このしなやかで均整のとれた筋肉。これを隠すのは世界の損失なのである」


そう言いながら男はポージングをとる。

恥じるものは何もないと言わんばかりの堂々とした見事なフロントダブルバイセプス。


「ぐあぁ! 目が、目がぁぁぁぁ!」


滅びの言葉を受けた誰かのように至人は目を抑えて転げまわる。

彼のSAN値はすでに限界だ。


――――――――――――――――――――――


「さて、おふざけはこれくらいにして。おぬし、なかなか良い身体をしておるな」


「くっ、そっちの世界の住人か!」


「いやいや、おぬしの造形のことである。上半身は人の身、下半身は異形と吾輩のインスピレーションをビンビンに刺激するのである」


この言葉に至人はしまったという表情を浮かべた。


「別にどうこうするつもりはないのである。おぬしは……ふむ、転生者であるか。これはまた珍しいであるな」


「な! どうしてそれを!? あんたいったい……」


「吾輩であるか? 転生者ならば知らないのも無理はないであるな」


そういうと男は背中を向け、おもむろにポージングをとる。

これまた見事なバックダブルバイセプスだ。



「吾輩は!!」


振り返ってアブドミナル&サイ


「芸!」


力強くモストマスキュラー


「術!」


恥ずかし気にサイドトライセプス


「神!」


堂々たるオリバーポーズ


「アーーーーティスであぁぁぁる!」


最後にサイドチェストで胸筋をアピールする。

正直に言って暑苦しいの一言。


「ぐあぁ! 目が、目がぁぁ!」


「天丼は面白くないのである」


「そう思うなら気色悪いもん見せないでくれ!」


「いつの時代も美は理解されにくいモノであるな……」


「理解したくない……で、なんで神様がこんなダンジョンに?」


「神様と知ってなおその態度であるか」


「正直敬えない」


「……であるか……」


「そんなにしょげないでくれ、俺が悪いことしてる気分になる」


「まあ、いつものことであるから気にしないのである。吾輩の話も良いであるが、今度はおぬしの事を聞きたいのである」


「転生者って見抜いたからわかってるもんだと思ってた」


「神といえど名前や素性まではゴニョゴニョしないと解らないのである」


「ゴニョゴニョってなんだよ……まあいいや、俺は……」


至人はこれまでの経緯を事細かに説明した。本当に神かどうか疑わしすぎる存在になぜここまで話す気になったかは本人ですらわからなかったが、すべての説明が終わるとアーティスは


「ふむ……おかしいであるな」


「おかしいってなんだよ」


「おぬしのステータスである」


「ステータス?」


「聞いてる限りではどうにも不完全な形で動いてるのである、気になるので見てもいいであるか?」


「見るってどうするんだ? 見せれるもんなら構わないが」


「言質はとったのである」


アーティスはそう言うと至人の頭を両手でしっかりと掴まえた。


「いったい何……あっ」


突然の出来事に驚いた至人がそう声を上げたとき、アーティスの指が頭蓋骨を傷つけずに(・・・・・・・・・)ズブっと頭の中に入り込んだ。

アーティスはそのまま至人の脳をグチャグチャとかき回す。


「あっ、あっ、あっ、あっ」


「ふーむ、ここがこうなって、あれがここに繋がって……ん? なぜこうなってるであるか……?」


「なにを、あっ、やってるあっ、んだ? あっ、んたあっ」


「ちょっと静かにしてるである。ほうほう、なるほど……ということはこうすると……ふむ、治ったのである」


そういってアーティスは何事もなかったかのように手を離す。


「いきなり何すんだアンタは!」


「見てもいいと許可はとったはずである。それと、アンタじゃなくてアーちゃんと呼んでほしいのである」


「う、確かに見てもいいとは言ったけどさ……んで、何がわかったんだ?」


「ふむ、おぬしにわかりやすく言うならばおぬしのステータスはベータ版だったのである」


「へ?」


「言わばテスト時代のステータステーブルをおぬしは使っていたのである」


「つまり?」


「長くなりそうなので次回にまとめとくのである」


「メタぁい!」

こういうキャラ結構すきです。

主人公の性格が変わってきてるような気がします。

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