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DEAD MAN´S EVOLUTION  作者: 江上 那智
異世界冒険編
13/22

緊急依頼

評価してくださった方、ブックマークされてる皆さま。

感謝です。

物凄くはげみになりますね。

頑張ります。

ヒュムリスの東に位置している山にて。

現在2人は全力で逃げていた。


「だぁぁ、しつこい! ソニア、急いで!」


「分かってるけど足場が悪くて!」


「くっそ! なんだってこんな事に、ガンドルフのやろう!」


「あ、シビトくんそこの洞窟!」


「!? でかした、飛び込め!」


なんとか人が通れる程度の洞窟に飛び込み難を逃れる。


「地竜が硬いってのは聞いていたがあれほどとは、こんな場所じゃボムも使えないし」


「アタシの戦斧も全然効いてなかったよ……」


なぜこのような事態に陥っているかと言うと、話は3日前に遡る。



――――――――――――――――――――――――



「おう、急に呼び出して悪かったな」

少しも悪かったとは思っていないガンドルフ。


「急ぎの用件だって聞いたが何があったんだ?」

少々不機嫌なのが声に出る。


「ああ、それなんだがな。ここから東に行ったところに山があるんだが、最近そこの魔物の様子がおかしいらしいんだよ」

ガンドルフは声を潜めて、さも恐ろし気にいう。


「魔物の様子が?」

訝し気に至人が聞く。


「あそこは一応本来Cランクで大丈夫な場所なんだが、どうもBランクの魔物が居座ってるらしい」


「なるほどね、それで調査して来て欲しいんだ」

合点が言ったとソニアが言う。


「早え話しがそういうこった。普段あの山の魔物は滅多な事じゃ降りてこねえ。明らかに各上の奴が住み着いたと思われる」


「その各上の魔物がなんなのかを調査して来いと」



魔物には基本、なわばりがある。

至人が最初に居た森にゴブリン以外の魔物が居なかったのもそういう理由だ。


何らかの事情でなわばりから外れたはぐれモンスターが山に居ついてしまった。

この魔物がなんなのかを調査することが今回の緊急依頼の内容である。



「なんで俺らだけなんだ?」

当然の疑問。


「今王都の方がキナ臭くてな、高ランクの奴らはそっちに回してる」

大げさに頭をふるガンドルフ。


「それでアタシたちだけなんだね」


「ああ、先日Bに上がったばかりなのにすまんな」


「上げられたんだけどな。わかった、その依頼受けるよ」


「そう言ってくれると助かる」


「その問題の魔物、別に倒しちゃってもいいんだよね?」


「ソニア、そのセリフはいけない」


「?」



――――――――――――――――――――――――



「ソニア、地竜ってランクなんぼだったっけ」


「……最低でもA」


「だよな……」


別段、倒せると踏んでこちらから仕掛けた訳ではない。

普通に見つかっただけなのだ。この山に居るはずのない相手、その調査対象である『地竜』に。

地竜は好戦的かつ食欲旺盛で、しかも一度獲物認定されるとしつこく追い回される。

(アース)の名を冠してるだけあって、他の竜と比べて格段に硬いのも特徴だ。

フォルムは地球でいうT-REXをイメージしてくれると分かり易い。

つまり、俊足。


(なに、あのチートを地で行くスタイル……)

思わずため息が漏れる。


現在洞窟の入り口では、地竜が絶賛獲物待ちしている。

奥に出口はないかと思ったが、そうそうに旨い話はない。

仮に至人一人だけならモザイクアートで簡単に逃げられただろう。

だからと言ってソニアを置き去りには絶対したくない。

結果として、奴を撃破する以外に2人が助かる道はないようだ。


「ソニア……」


「何? シビトくん」


実は至人に手が無いわけではなかった。

それに気が付いたのは、何か手はないかとステータスを見ていたとき。

有効打を与えられそうなモノが本当にアーティスティックボムだけしかないのかと念のために説明欄をお浚いしていたときに閃いたのだ。


やはり、使うのはボム。それは変わらない。

説明にはこう書かれている。『生物以外』と。


キネティックで生み出したゴーレムには使えた。

「魔法生物」は「生物」にカテゴライズされていない。


では無機物なら?と至人は考える。石、岩、武器、防具、服、靴、アクセサリー……間違いなく行けるだろう。

加えて爆破属性「付与」の性質を考えると、魔力が通りやすいものであればあるほど威力を上げられる筈。

ならばきっとアレにボムを使えば、討伐は出来なくとも撃退はできるかもしれない。


だがそれはあまりに分が悪く、試したこともないので上手くいく保証がない。

それでも現状を打破するには、この閃きに賭けるしかないと至人は決意する。


「ソニア、お願いがある」


「なに? 出来ることならなんでもするよ」


「なんでもしてくれるんだな」


「え? う、うん……」

心なしかソニアの顔が赤くなる。


「……俺が今からアイツに突撃する。隙をみて逃げるんだ」

意を決して伝えるとほんのり赤かったソニアの顔色がみるみる青くなる。


「そんな……だめだよ! シビトくんを置いていけない!」


「手はある、だけど保証がない。だからソニアだけでも逃げてガンドルフに伝えることが出来ればAランクを寄越してくれるはずだ」


「でも……」


「このままだと2人ともここで死ぬしかない、だから頼む……」

至人が寿命以外で死ぬことはまずない。もしここで二人とも残る選択をした場合、衰弱していくソニアを何もできずに眺めていることになる。至人はそれだけは何としても避けたかった。


「……わかった……でも一つ約束して、絶対に死なないで」


「ああ、約束する」



――――――――――――――――――――――――



「こっちだ、トカゲ野郎!」

至人は洞窟から飛び出し、声を張り上げて山の上に向かって走り出す。


「まんまと釣られやがったな、おら! ついて来い!」

洞窟からの距離が開き、幾分かの余裕が生まれる。


「今だ、ソニア! 走れ!!」

至人の合図を受けてソニアが街に向けて走り出す。もう一匹の獲物が逃げ出したのを感じ取り地竜が振り返った。

ソニアに気を取られた地竜の横顔に小さな爆発が起きる。


「お前の相手はこっちだ、トカゲ!」(ち、石ころ爆弾じゃ傷にもならねえか!)

傷はつかなかったが、怒らせるには充分な効果があったようだ。地竜は至人に目を向けると真っすぐに向かってきた。


(ソニア、頼んだ)

願いを託し、改めて地竜と対峙する。



「これで心置きなくやれるな、覚悟しろ!」

即座にモザイクアートを発動させ、身体を作り変える。

部分変化の応用で、背中の筋肉を使い触手を創った。

背中から生えた触手。至人はそれを巧みに使い、壁や岩を足場に立体的に空中を飛び回りながら攻撃を繰り出す。


「硬ってぇな! くそ!」

生物ならば自らの肉体を破壊しまいと自然とかかっているリミッター。

それを無視した至人の攻撃は、一撃ごとに自分のダメージとなって返ってくる。

骨が折れ、肉に亀裂が入り、再生スキルで無理やり治す。

攻撃すればするほど自分が傷ついていくが、相手は虫が飛んでいる程度でしかない。


(そろそろソニアは山を下りれただろうか)

ソニアの事がほんの一瞬頭をよぎる。その瞬間に触手をひっかけた岩が崩れ、至人は空中でバランスを失ってしまった。


「―っ!? しまった!」

あわてて別の触手を飛ばすも間に合わない。勢いを失った至人には、迫りくる地竜の口を躱すことはできなかった。


「くあ! 痛みはねえけど圧迫感がとんでもねぇな……」

腰から下に噛みつかれ、そのまま地竜は犬のようにブンブンと頭を左右に振り回す。


遠心力により上半身が千切れ飛び、至人は岩壁に叩き付けられる。


(いつぞやみたいな状態だなコレ)

下半身の無くなった身体を眺め、そんな感想を抱く。


「結局こうなっちまうんだな……使わずに何とかしたかったんだけどなぁ」

旨そうに咀嚼する地竜をみて、不死族って旨いのか?と思いながら奴の腹にある身体(・・・・・・)に意識を集中する。


(ターゲット、俺の下半身すべて、最大魔力消費、起爆方法、任意起爆)

「爆破!」



瞬間、地竜の腹がボコンと膨れ上がり口から光が迸った。

体内で巻き起こった強烈な爆発は、さしもの地竜も耐えきれるものでは無かったらしく、その身体を四散させるに至った。

まるで隕石が衝突したようなクレーター内に、頭部と無数の肉片を残して地竜は活動を停止した。


「やっぱり出来たか……自分のパーツの爆弾化……あまり、いい気分じゃ……ない、な」


魔力を限界までつぎ込んだ至人の意識はそこで途絶えた。

読んでいただきありがとうございます。


並行して王道(?)ゾンビものもやり始めましたので、良かったらそちらも気にしてもらえると……


http://ncode.syosetu.com/n1358dn/

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