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DEAD MAN´S EVOLUTION  作者: 江上 那智
異世界修行編
1/22

目覚めたら異世界

初投稿です。

勢いでやりました、後悔はしていない。

至らないところはかなりあるかと思いますが、温かい目で見ていただけると幸いです。

更新ペースは最低でも週に一回を予定しています。

(これはいったいどういうことだ?)


男は自分が置かれている状況にとまどっていた。


(まず状況を整理しようか)


ゆっくりと思考を回らせる。


(名前は赤羽 至人(あかばねしびと)、28歳サラリーマン。昨晩は会社の飲み会でかなり呑んだ記憶はある、家に帰った記憶は……ないな)


酔っぱらって家に帰らずに外で寝てしまったんだろう。

そのため、風邪でも引いたのか声が出ず、身体は思うように動かない。

至人の思考はハッキリしているが、やはり状況は読めない。


(なんで森にいるんだろうか?)


記憶に無いとはいえ、とんでもない場所で寝ていたもんだと苦笑して空を仰ぐ。

太陽は真上にある、平日なら確実に遅刻だ。

今日が休日でよかったと安堵する。


(じっとしててもしょうがない、取り敢えず家に帰ろう)


ふぅと溜め息をつき、立ち上がろうと目線を下げた時に至人はショックを受けた。

見馴れたスーツに所々穴があき、土で汚れてボロボロになっていたのだ。


(うわ、一張羅なのに最悪……がーんだな……)


こんなとこで寝ていたなら自業自得だな。

そう思い、仕方ないかと土を払おうとした自分の手に目が止まる。


(なんだよコレ……)


そこには、全く血の気のない少し骨が見えた手があった。

ゆっくりと手を握り、確かめるように開く。

間違いなく自身の意思で動く、至人の手だった。


(……取り敢えず森を抜けよう……)


彼は見なかったことにした。


――――――――――――――――――――――



歩くこと数時間、日は傾きはじめてうっすらと暗くなってくる。

ここで夜を明かすのはちょっと嫌だな、と思いながらも一向に森を抜ける気配はない。

少し休憩しようと側にあった岩に腰を下ろす。


(今どの辺りなんだろう……もう少しで抜けれたらいいな……)


そう心のなかで呟き、辺りを見回す。

少し離れた位置で何かが動いた。

野性動物か? 熊だったら不味いなと思い、座っていた岩から降りて身を潜め様子を窺う。


(!? あれは……)


現れたのは見たことのない生物だった。

緑色の体色、尖った耳、醜悪な顔つき、腰に布を巻き、右手には棍棒を持っている……。

正確には全く見たことがないわけではない、あれは


(……ゴブリン……まさか……)


間違いなくその生物はゴブリン。

ファンタジーの代名詞とも呼べるスライムと並ぶほど有名なモンスター。

自分はゲームの中にでも来てしまったのだろうか? 確証は無いが否定する材料も無い。

今見ているものが幻でも無い限りは


(はは……まるでゲームかファンタジーだ、ステータスなんて言ったら出たりして)


異世界転移、好きだったネット小説のジャンルが思い浮かぶ。

ステータス、冗談めかしながらそう考えた途端に目の前にウインドゥが現れた


――――――――――――――――――――――

ステータス


赤羽 至人(あかばねしびと)


種族:不死族・ゾンビ

職業:なし

魔力:1243

攻:32

耐:8

体:error

器:4

速:2

運:3


パッシブスキル

声帯破損 筋硬縮 関節硬化 痛覚鈍化Lv3 腐敗Lv2

再生Lv1


アクティブスキル

噛みつきLv1 握撃(クロー)Lv1 偽装Lv1


称号

黄泉返り

――――――――――――――――――――――


(ほんとに出ちゃったよ)


異世界転移というよりかはVRMMOものだろうか

現れたステータスウインドウをさらっと確認すると、書いてある種族を見て納得した。


(ゾンビ……)


やっぱり見間違いじゃなかったかともう一度自分の手に目を向ける。

血の気のない、少し朽ちた手。

異世界転移ではなく転生、しかも人外転生。

最悪な気分になりつつ他の項目を確認する。


(声帯破損か……喋れない訳だ、他には……)


筋硬縮:筋肉が硬くなり動きが悪くなる。

関節硬化:関節が硬くなり動きが悪くなる。

痛覚鈍化:Lvが高いほど痛みに鈍くなる。

再生:肉体が破損したときに効果を発揮、高Lvになると欠損も治る。

腐敗:Lvが高いほどより腐ってる。

噛みつき:相手に噛みつく、Lvが上がれば威力が上がる。

握撃:死体故にリミットの掛かってない握力で握り潰す、Lvが低い内は万力で締め上げるようにゆっくりとしか潰せないが高Lvになれば即座に潰せる。

偽装:いろいろ偽る事が出来る、Lvが上がれば高Lvの鑑定すら見破る事は出来ない。ステータスも偽れる。


(デメリットばっかりだな、それに体力がerrorって……いや、確かに死体に体力関係ないけどさ)


これってパッシブなの?と疑問に思うスキルばかりで少しへこむ。


(あとは、魔力がやけに高いな……魔法が使えるのか?)


魔法、アニメやゲーム、小説なんかのファンタジー作品なら当たり前の技能。

一度は憧れるし妄想もする。


(人間じゃないのはアレだけど、なんかワクワクしてきたかも)


魔法が使えるかもしれない、物語の主人公みたいな派手なものでなくてもいい。なにに適正があるのだろうか、覚え方はやっぱり魔導書なのだろうか。

アレコレ妄想を膨らませていると不意に左腕に鈍い衝撃がきた。

突然の出来事に踏ん張る事も出来ず側の岩に叩きつけられる。

何事かとステータスを閉じて顔を向けるとそこには先程のゴブリンがニヤニヤと下卑た笑いを顔に浮かべながら目の前に立っていた。


(しまった! すっかり忘れてた!)


痛覚鈍化のお陰でそれほどダメージを受けた体感はないが、この状況は不味い。

ゾンビだからなのかステータスにHPのような表記は無かったが、攻撃を食らい続ければどうなるかはわからない。

再び棍棒を振りかぶったのが目に入る、緩慢な動きしか出来ないこの身体では防御する事すら困難。


(ええい、ままよ!)


覚悟を決め、腕を突き出しゴブリンに向かって突き進む。

左肩に食らったがそのまま構わずにゴブリンの右腕を掴み、もろとも倒れ込んだ。


(掴まえたらこっちのもんだ!ゾンビが俺の知識と同じなら!)


人間に備わっている無意識の制限はないはず。

そう信じて掴んでいる右腕に握力を込める。

じわじわと指が肉に食い込み、骨が軋みをあげる。

ゆっくりと握り潰されていく痛みに耐えきれず、ゴブリンはギィギィと悲鳴を上げて振りほどこうと暴れる。

しかし、いくら暴れようとも振りほどく事は敵わず、程無くミキっという嫌な音とともに肉ごと骨を砕かれた腕はちぎれ落ちた。


(まだだ! 臓物(はらわた)を……ぶちまけろ!)


痛みに悶えるゴブリンの腹に指を突き立て、力を込める。

ブツっという音がして腹が裂け、内臓が腹圧で押し出され勢いよく飛び出す。

中身を引きずり出し、そのまま心臓を掴み出すとほどなくゴブリンは力尽きた。


(な、なんとかなった……ジョ○ジ監督ありがとう)


元いた世界で好きだったゾンビ映画さながらの凄惨な状態にはなったが、無事危機を脱出出来たことに安堵し、スプラッタなゴブリンに目を向ける。


(夢じゃ……ないんだなぁ……)


目の前に広がる光景、うっすらと感じる痛み、それら全てが今の状況を現実だと訴えてくる。

そういえば心臓を握りっぱなしだと思い出し手を見る。

握りしめていたのは心臓ではなく不思議な光を放つ石。

なんだこれ?と眺めているとその石が突如光を強める。

石から溢れた光は、自分の身体に吸い込まれていった。


(なんだったんだ?)


やや混乱しつつも体調に異変はない。

石は最初と同じように不思議な光を放っている。


(これ、魔石ってやつかな?)


魔物は心臓じゃなく魔石で生きているのだろうか。

もう一度眺めてみる。

よく見れば最初より少し光が弱くなった感じがするが、持っていて問題はないだろうと思いポケットに押し込んだ。


(さっき俺に吸い込まれた光、なんか意味があったのかな?)


取り敢えず何かしらの変化があるかもと当たりをつけ、ステータスを開く。



――――――――――――――――――――――

魔力:1300

攻:38

耐:12

体:error

器:8

速:5

運:3


パッシブスキル

声帯破損 筋硬縮 関節硬化 痛覚鈍化Lv3 腐敗Lv1

再生Lv1


――――――――――――――――――――――



(パラメーターが少し上がってるのと……腐敗レベルが下がってる?)


見た目に何か変化はないかと自分の身体を調べる。


(変化ありだな)


『少し骨が見えた血色の悪い』手が、『血色の悪い』手になっていた。


(どういう理屈かはわからないけど、デメリットスキルを無くせるかもな)


取り敢えず当面の目標は、デメリットスキルを無くす方向で行く。

やることが決まった。

まず見た目だけでもなんとかしよう、そう思い立ち上がる。


(どうしてこうなったか答えなんて考えたって出ないし、少し怖いけどせっかく異世界に来たんだから堪能しよう)


至人は意気込んでゴブリンを探しに歩き出した。

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