「稲妻。」
「おビールちゃんで即死して、
変な時間に目が覚めた。
煙草を吸いに、外へ。
夜中は、
すげぇ雨だったみたい、、、
知らんけど。
雨上がりの風が強くて、
布とパイプで出来た
ディレクターチェアが
あんな所に転がってるわ。
…稲妻がすごい、
曇り夜空に、
まだ未明の夜空に
何度も 何度も、、、
稲妻がすごい。
俺は何処に行きたいんだろ。
何かを
失ったかも知れない喪失感。
誰しもが、
そんな気分を
抱えながら、生きている。
本当にか???
俺は、
俺の気持ちは
俺にしか、わからん。
俺自身が
わからんけど。
でも、俺は俺の味方。
そう思わないと
やりきれない夜。
…稲妻がすごい。」
仕事中に紛失した工具を
再購入する為に、
ホームセンターに来た。
あの現場に忘れて来たんだな
って予想は付くけど、
そこへ取りに行く時間が無い。
俺の人生はそんな気分。
いつも
何かを失っちまった様な
焦燥感に駆り立てられてる。
…現場仕事してると
指先の
小さな怪我は日常的。
切り傷や血豆、やけど。
いちいち絆創膏もしない。
あんまり血が止まらない時は、
腰袋からビニールテープ出して
ぐるぐる巻いとく。
心にも、
ビニールテープ、
巻けたら いいのに。