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愛のままに我儘に、結果あなただけが私を傷つける結果になってるんですよねぇ

なんとか体調を崩して学校を休みたかったので、戦時中に徴兵から逃れれるために用いられたという醤油を飲んで強制定期に体調を追い込む手段も脳裏を過りましたが(※良い子のみんなは真似しないでアホなyoutuber辺りにでもやらせておこうね)、ここはオーソドックスに冷え込むこの冬の深夜に上裸でがっつり筋トレしてそのまま寝ればいいだろうとの結論に至り、実際その通りに行動を起こしました所、予想以上の倦怠感に包まれた目覚めを迎え、わたくしの今朝の体温はがっつり39度付近をマークしておりました。

やりすぎぃ!!



理想は微熱で軽く横になりながらゲームしたり某局の子供向け教育TVを見て小学生の頃に風邪をひいた際のあのノスタルジーな感じに浸ってやろうかと考えていたのですが、無理です。起きてるのがしんどい。きつい。死ぬやーつ。




「ここに風邪薬と水とスポーツドリンク置いとくから絶対飲め。それからキッチンの鍋に昼飯の分のお粥作ってあるから無理してでも食え。絶対安静にしとけ。それで熱が全然引かないようだったら病院連れていくから」




普段は寝坊助で朝は弱い姉貴ですが、俺の体調がマジで悪いことを察してくれたのかこれでもかってぐらい気を使ってくれたとです。

学校にわざわざ遅れる連絡をしている辺り、なんだかんだしっかりものなんだよなぁ。


いやー、非常に心苦しいよね。完全に自爆ですから。おかんもおとんも今日の夜中まで帰ってこないから姉貴いなかったら死んじゃう。


心底不安そうな表情で冷却シートを俺の額に張ってくれた姉貴に、とてもじゃないですが目線を合わせることができません。普通に自爆だなんて口が裂けても……。

神よ、罪深き我を許したもーれ……。




「とにかく今日はまっすぐ帰ってくるから大人しく寝てろよ」




姉貴はそういうとめちゃめちゃ心配してくれた様子で俺の部屋を後にしました。

だんだんと姉貴に返事を返せないぐらい頭がぐらんぐらんしておりてまして、姉貴の気配がいなくなった瞬間に俺の意識もブラックアウトしました。




風邪引いた時ってなんかこう頭の上をでっかい丸い何かが通過したり、のしかかってきたり、やけに妙な感覚が冴えますよね。頭を掴まれてぐわんぐわんされてるようなそんな感じで。

夢も見ないぐらいに俺は深い眠りに落ちました。







何時間意識を失っていたでしょうか、不意に頭にひんやりとした気持ちのいい感触がして目が覚めました。




「ありゃ……もう夕方? 」




「うん? お昼ですよ。体調はどんな感じですか? 熱はいまどれくらい?」




ベッドの横に誰かいる気配がしたので、姉貴かと思って寝ぼけまなこを擦りながら話しかけてみると明らかに姉貴の声じゃなくて、少し霞んだ視界に写ったのは制服姿の葵。

俺の顔を覗き込んでなんだかとても優しい表情を浮かべています。どうして葵がここに。 




「熱計ろっか! あ、汗もかいてるから一旦着替えた方がいいね! 体拭いてあげます!」




「……学校は?」




「いても経ってもいられなくて早退してきました、仮病で。杏華には内緒ね? うわ、すごい汗」




何の悪びれもせずにさらっとそう言うと、葵は俺の上体をベットから起こすと俺の着ていた部屋着のパーカーを剥ぎ取り、流れるような動作で中に着ていたTシャツとインナーにまで手をかけてきました。


体勢としては俺の背後に回り込んでベッドの上で立て膝ついてる感じでなんだお前これ! お姉ショタでよく見るようなスタイルじゃん!




「いやいやいやいや……ゴホッゴホッ!! マジで大丈夫だから! 一人で着替えられますから!」




「いやいや大丈夫じゃない大丈夫じゃない、今の祐亜は全然大丈夫じゃないですねー」




馬耳東風、暖簾に腕押し、馬の耳にサイコキネシス。

葵は抵抗出来ない俺のシャツとインナーをするりと脱がせあっという間に上裸になってしまったあてくし。

お前これ!! 逆の立場だったらえらい物議を醸すことになるぞ!!




悲しいことに衰弱した俺には恥じらう体力も無く、タオルで汗ばんだ体を拭きだした葵に特に文句を言う気力もなく完全にされるがまま。どうなんだ男として、いや人として!!




脱がされてそこから何かセクハラでもされるものかと思ったのですが、存外に葵は真面目だったようでいったって普通でした。いや、普通にされても普通に恥ずかしいですけどね。可愛い女の子に体拭いてもらうって。これ後6,70年しないと起きないイベントじゃん。




一人どきまぎしながらされるがままに身を任せていると、葵が不思議そうな感じで話しかけてきました。




「祐亜ってもうずっと帰宅部でしょ?」




「知っての通り……」




「なのにやけに体ががっしりしてるよね。筋トレしてるの?」




「運動部の連中と比べたらあれだけど、成長期だからじゃないっすか?」




「ふーん、そうなんですねぇ」




それからしばらく沈黙がございまして。葵が急に




「うーん……ムラムラする」




とボソッと呟いたので俺は近くにあった毛布で自身の上半身を隠すという、合コンなどで泥酔状態で持ち帰りされて気づいたら自分が裸だった時に女の子が必ずやる(※ソースはエロ漫画)あれを勢いよくやるはめに。




「私が言うのもなんだけど、それ私がやるやつじゃない?」




「ごほっ! お前が……けほっ! 変なこと言うからだ!」




葵はこれっぽっちも慌てる様子を見せず、柔らかな表情で笑いながら俺に新しいシャツを手渡してきました。

何故俺の服のある場所と部屋着を把握しているのかはもういいや。きっとそういうことなんだろう。




「変なことって……好きな男の子の裸を見て何を思わなかったら逆に怖くない? 今までの私の祐亜好き好きアピールは何だったのかと。女の子だって性欲ありますし……」




あれ? 何これ……俺が悪いの? 




「まぁ流石に弱ってる祐亜に手は出しません。出してもらいたいので。あ、何か作ってきましょうか? 薬も飲まないといけないし。ん、隠れブラコンの杏華だったら何か作ってあるかな」




そして葵は独り言をぶつぶつ言いながら俺の部屋を後にしていきます。

今朝より確実に熱が上がった気がする。そうか、あいつきっと俺を殺しに来たんだ。




気づけば俺は葵がキッチンに降りたわずかの間も寝ていて、お盆にお粥を乗せてもってきた葵に起こされて当然の如くあーんで食べさせられて。

きっとお粥にバイアグラか体が敏感になる薬を仕込まれているに違いないと思いながら食べたのですが、意外にも普通に美味しいお粥でございまして。




食事を終わった後はなんだかんだで両手の自由を奪われて犯されるに違いないと思っていたのですが、俺に薬を飲ませると葵はベッドを背もたれにして座り込んで、本棚から取り出した漫画を読み始めました。

帰らんのかーい! 




「ここにいたら風邪うつるぞ?」




「うん? ふふ、うつしていいですよー」




「うつれぇ……っっ! うつれぃ……っ!!」




俺が冗談っぽく恨み言を言うと、葵は読みかけていた漫画をぱたんと閉じて立て膝ついてこちらに向き直りました。

そして大きくて綺麗な瞳で俺のことをまっすぐに見つめてきて急にマジな顔してなんだこいつと思ったら、肩までかかる長い髪をかき上げて何のためらいもなく、まるで当たり前みたいにキスしてきやがりました。




「っむぐ!!?? ごほっごほっ!! お、おま!!」




「っぷはぁ! あは! これならうつるでしょ?」




「舌を……お前!! げほっげほっ! 」




「最近の祐亜には刺激が足りないかなぁーと思って。じゃあね、早く治さないとまた明日来るからね!」




俺の熱と心拍数を爆発的に引き上げた葵は涼し気な表情で、でも頬には少し紅くなっていて、手を振って部屋を後にしていきました。

風邪ひけぇ……猛烈な風邪をひいて苦しめぇ!!




看病しに来たのかテロしに来たのか分からない葵のせいで、また体調が悪化した私の意識は澱んだ深淵の中に深く沈んでいったのです。







さっきまでは夢を見なかったですが今回は夢を見ました。

きっと葵のせいでしょうね、すごくエッチな夢でした。

しかし悲しいかな。さぁいざとなった時に恐らく俺の脳内の情報が足りないせいか有耶無耶になってしまうのです。あな、口惜しき。相手が誰だったかはよく思い出せません。





寝汗の不快感に目が覚めて体を起こしてみると、外の景色は真っ暗になっていまして。

部屋の時計に目をやると時刻は夜7時前ぐらいでした。

かれこれ6時間ぐらい寝てたのか……葵のせいで俺はただの風邪をこじらせて複数の合併症を併発してなんやかんやで死ぬんじゃないかと思ったのですが意外と頭はすっきりしていて、体も今朝に比べたらだいぶ楽になってます。

これは葵に移ったんじゃないか!? あはは! ざまぁみやがれ!!




とりあえず汗拭いて着替えるかと思い立ち上がると、部屋のドアが開いてそこから顔を出したのはマイラブリーエンジェルこと神村結衣。ここでまさかの神村結衣だったのです。




「あ! 祐亜起きたんだ! 体調はどう?」




「おかげさまで。お見舞いに来てくれたんですか?」




「うん。みんな来ようとしてたんだけどあんまり大勢で押しかけてもってことで私が代表を勝ち取りました! あ、杏華は今買い物行ったからもう少ししたら帰ってくるよ」




なんという慎ましい慎ましみ……どっかのエッチな女の子に結衣の爪の垢を煎じて俺が飲みたい。




「すいません。こんな大事な時期に風邪引いちゃって。昨日も練習できなかったし……」




まぁ色々自分が招いたということを伏せて謝ると、クレオパトラと楊貴妃と小野小町が思わずその座を返上することを考えさせられるのではないかと思うような、大変に尊いを笑みをお浮かべになられました。




「全然いいよ! まだ時間はあるし、今までちゃんとやってきたから今さら慌てなくても大丈夫だよ」




な!?

この余裕よ!!

これがまさにメインヒロインの余裕ってやつじゃないですか!? 女の子はがっついちゃ、ダメ! 待つの! 

もう最近ぐいぐい来る人しかいないからこの結衣さんのこの優しさとかがもうすごく自然で素敵で……。

最高やな!




「その代わり今週の土曜日、泊まりにきていい?」




もう本当みんな見習って欲しいっていうか、なんていうか……な!!



え!!   ふぁっ!!??

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