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あのCMは本当に神がかっていましたね



ベッキャアアアアアア!!





「きゃああ!!」




つねるだけじゃ足りねぇと思い俺は自分の顔におもっいきり左ストレートを喰らわてみました。

神村結衣は短めの悲鳴をあげた後、当然頭がイカれたように見えているであろう俺の方を覗き込みながら恐る恐ると尋ねてきました。




「何してる……の?」




「あはははは……いや、まだひょっとしたら俺不思議の国に居るんじゃないかと思いまして!! あはははは!! 相方ってね!! あははははは!!」




俺は神村結衣に明るく答えました。そして悟ってしまいました。




やっぱりこれ───現実かよ……。




「あの、神村さん……相方って言いますと……」




「まぁまぁ、詳しい話はファミレスでするから」




神村結衣はそうやって言って舌を出して笑い、俺の手を取って颯爽と入店。




こんなシチュエーション、本当は歓喜する場面なのでしょうが……駄目です。なんなんだお笑い芸人って? 頭から離れないです。駄目だ、鬱だ。




中に入るとやはり土曜日のランチタイムということで結構な人が待っていました。駄目だ、鬱だ。




「人多いね……。徳永くんあそこに名前書いてきてよ」




「わかりました………………はっ!!」




まさ……かこれは……!?




俺に名前を書かせることによってその名前のギャグセンス、そしてその名前を呼ばれた時の対応によるとっさのギャグの瞬発性を見ているのか!?




思わずペンを握る手が震えています。脂汗が額にジワリと滲み出るのが自分でもわかります。




俺は……今、試されているんだ。俺のギャグセンスを! 彼女に!




はっ!! 上等!!




やってやろうじゃないの?









「順番まだかなぁ?」




横に座っている神村結衣が信じられない可愛い声を出して俺を誘惑してきます。




ん?こいつ誘ってんのか……? ていうか俺のこと好きなんじゃないかな?




いや、今はそれどころじゃないです。自分のネタが通じるかどうが試されているんです。



俺は額から零れる汗を袖でそっと拭いました。




そしていよいよ女性店員の営業ボイスが店内にこだまします。




「2名でお待ちの……」



いよいよな訳です。



さぁ、ショータイムの始まりだ。




「2名でお待ちのスレッガー・ロウ様」




店内が静まり返ります。誰だよみたいな?




この空気は……






まずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずい




つい初代ガンダムヲタの血が騒いで、マニアックな所をいってしまった。せめてカイ・シデンだったか? いや、初代がまずかったのか? Wか? いや、SEEDだったか!?




何れにせよこれはかなり……まずい。てか、女子高生に対してガンダムというチョイスがまずい。




「……はい」



俺は恥ずかしいのをこらえ手を挙げました。俺に視線が集まります。女性店員の対応は至って冷静です。ダメだ、神村結衣の方を見れない……死のう。




「喫煙席と禁煙席どちらになさいますか?」




行くも地獄、帰るも地獄……。ここはもうあらかじめ用意した台詞を言うしかありませんでした。




「悲しいけど俺、未成年なのよねぇー」




順番待ちしていた数名のおっさんが吹き出しました。コアなガンダム世代か……。女性店員は鼻水飛ばして吹きました。




やったね!




しかし、やはり横にいる神村結衣の顔は見れません。




なぜだ? どうしたんだ20分前の俺!! なんで神村結衣にガンダムネタを持ってきた!! ここは大衆受けするネタだろ俺!! 美少女女子高生が初代ガンダムわかる訳ねぇだろう俺!! バカバカバカバカ!!




席に着席、俺は神村結衣の顔をまともに見ることができませんでした。悔しい……そして感じない!!




ダメだ……今もし目合わせたら俺は石になってしまいます。




しかし、ファミレスの席なんて二人で来たら向かい合わせに座るのがセオリーな訳で、当然席につけば不信な顔を浮かべた神村結衣がいる訳です。




「スレッガーって……誰?」




俺は返答に困りました。考えて考えてこう答えました。




「あっ? あれ? あれは俺の、ぎ、偽名! 勿論デスノート対策だよ。」









誰か練炭をお持ちの方は速やかに俺に提供して下さい。




















 


「ねぇってば!? 話聞いてるの!?」




すいません、聞いてなかったです。ちょっとまだへこませてもらってていいですか?




神村結衣はドリンクバーのコップ一杯当たり原価5円にも満たないジュースを飲みながら(俺は安全且つ無料、そして体に優しい?水を)怒ったようなそれでいて少し困ったよう子猫ちゃんの表情を浮かべて話しかけてきています。




「えっ~と、もう一回御願いします」




俺は申し訳なく思いながら彼女に向かって手を合わせて拝みポーズをとったのでした。

それを見た、神村結衣は仕方ないなぁーと言いながら左頬を軽く膨らましています。




き、貴様!? それは狙っているのか!? 今日日、そんな古臭いブリッコ動作をしたら男女共々に引かれてしまうと言うのに!!



すっ、すごい!! これが学年ナンバーワンの女子の実力!! まったく嫌みがない!! 寧ろ抱きしめたい!!(アムロの声で)




おっと、いけないいけない。またしても神村結衣の話を聞き漏らす所でありました。自分は静かに神村結衣の話に耳を傾けました。




「私ね、徳永くんとなら良いところいくと思うんだよね!! 徳永くん顔も悪くないし、なんかちょっとボケも不思議系な感じで個性的だし。というわけで徳永くんはボケで私はツッコミね? よしと言うわけで今日からは私たちはコンビだから!! ちゃんと名前で呼ぼうね!!」




「それであの昨日のイベントといいますかなんというか……そのようなものを開催されたと?」




「うん? あぁ……そうそうそんな感じ! という訳で君は今日から私の相方だ!!」




「……はい? あの僕の意見はスルー・オブ・ザ・ドライブですか?」




只今俺の頭の中では疑問符がハツカネズミばりに大繁殖しています。話の展開の速さが尋常じゃないですよ、コレ。大体漫才なんて俺ができる訳……。無理無理相方なんて。他のやる気あるプロフェッショナル呼んで勝手にやって下さいな。




神村結衣は困った顔を浮かべています。そして何の悪びれる様子も無くこう俺に言い放ちました。







「だってさ、祐亜は私の事好きでしょう? だったら喜んで相方してくれるかと」




……。




祐亜……だと? 嘘……だろ?


















「地獄の果てまでお供します」




こうして俺はいとも簡単に神村結衣の相方を引き受けてしまった次第です。




俺は最初神村結衣の美女具合から、ついついポッ○キーの新垣☆結衣のようなフルーティーな漫才を予想していましたが……(※注釈 2008年ぐらいに放映されていたような気がします)






甘かった。




はい、甘かったんです。




俺はうかつにも、




女の子はシュガー&スパイス




であることを忘れていました。




『おもしろいねー』




俺は、



俺はせめてそんな身の丈にあった可愛らしい漫才がしたかったのに……。


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