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相方宣言 さだまさし



ちょっと自分のカオスなクオリティーの壁ドン漫才を読んでびっくりしちゃっていると、俺の携帯がけたたましく鳴りました。




画面に表示されているのは登録されていない番号からでした。




早速俺の事を妬む奴からの嫌がらせか……?

そんな事を思いながら、まさに戦々恐々といった感じで電話に出ました。




「はい……もっこりもこみち」




「その電話の出方は、あんまり面白くないかな?」




携帯の向こうから聞こえてきた声は俺の予想に反して、拝聴した瞬間に即座に脳がヘブン状態になってしまう女神の声でありまして。

この世でこんなに男子を悶えさせる事のできる声の持ち主を私は一人しか存じ上げませぬ。




「かかかかかかかかかか、かみむらららゆゆゆゆゆゆいさんだと、あなたは本当にそう言われるのですか!?」




「そうですね」




動揺しまくる俺の声を聞いてか、電話の向こう側から神村結衣は少しはにかんだ感じの笑い声が聞こえてきました。




「携帯の俺番号を知ったのはなんで、どうしたからですね?」




なんか緊張し過ぎて舌が回らないでございます。




「徳永君の携帯番号を知ったのはまぁ、徳永くんのクラスメイトの女の子から教えて貰ったからですよ。本当は今日直接聞きたかったんだけど凄い騒ぎのせいではぐれちゃったから……迷惑だったかな?」




「さ、左様で御座いますか!! 迷惑など滅相も御座いません!! 有り難き幸せであります」




もうなんか自分がまさか現代の救世主(メシア)と電話出来るなどとは……。もうテンションぶっちぎって軽く成層圏(ストラスフィア)に到達しそうな勢いです。




「ふふふ、なんで同級生と電話をするのにそんな緊張してるの? そうそう、それよりも明日土曜日だよね! 徳永君って何か部活に入ってたりする?」




電話の向こう側で神村結衣は楽しそうに笑ってます。と、……とろける。神村結衣の声はチーズやったんたや……。




「いや、絶賛帰宅部でございます」




「なんで敬語なの? じゃあさ……明日大事な話があるの。だから……会えない?」




……なんですって?



リピートアフタミー



『why、どうして敬語なの?じゃあtommorowにvery importantなconvasationがあるの。so……meetできないかな?』




これはつまり……。




「逢い引きでありますか?」




「うん? 逢い引きではないかな。大丈夫みたいだね! それじゃ明日学校の近くに公園あるでしょ? そこに来て下さい。それじゃ」




そう言って電話は切られてしまいました。

かくしていろんな物が全身にみなぎってきた次第でございます。











羊が3452京2546兆7542億8412万1474……。羊が3452京2546兆7542億8412万1475……。




寝れないので羊の数を数えていたら、いつの間にか天文学的数字になってしまいました。眠れません、眠れる訳がないです。

やたらとギラギラしているであろうマイアイズで窓の外を見るとお日様の野郎が地平線の向こうから顔を覗かしていやがりました。枕元の携帯で時間を確認すると、4時半。フライングおはよう日本な時間です。



いよいよキックオフの時間が近づいてきましたね……。俺の鼓動も自然と高まってもー、やばいです。



なんかいっても経っても居られなくなり、朝シャンプー、朝シャンとやらをしてみることにしました。



ベッドから立ち上がり、部屋の電気を付けると寝てないせいか軽く目眩がしました。



クラクラする頭を押さえながら風呂場に向かいます。当然まだ家中寝静まっていてなんだか物寂しい雰囲気です。




風呂場に向かい、俺は生まれたての状態になりました。そんでもって湯を出すべく赤い蛇口を捻ります。湯が出る前の水に危うく殺される所でした。




目が覚めるような暖かなシャワーを浴びながら考えているのは当然昨日の電話口での神村結衣の言葉であります。




なんだろうな……大事な話って……。もしかして……




『神の存在についてどう思う?』




とかかも。怪しい宗教の勧誘? いやそんなネガティブな事じゃなくて……なんていうのかな? その? ラブコメ的な? というかむしろエロゲ的な? そういう万が一の事もあり得るよなぁ……うん。




なんとなくですが俺は局部付近を入念に擦りました。




風呂から出ると、時刻は5時になっていまして大分俺の頭もクリアになってきましたよ。



髪を乾かし、前日準備した勝負服に袖を通し、ワックスで髪を固めながら不意に思います。




そういえば今日待ち合わせの時間決めてねぇよな……。もしかしてもう来てるんじゃ?



そう思ったらいてもたっても居られず、自分は髪のセットもそこそこに家を光の速さで飛び出ました。



時刻は5:20分。













良かった……まだ来てないみたいだ。




待ち合わせ場所の公園には人っ子一人いませんでした。ジーンズのポケットに入れてあった携帯を取り出し時間を確認すると、5時40分。




修学旅行をはるかに凌駕する集合時間の早さです。




取りあえず俺は水飲み場の横にあったベンチに腰掛けました。公園どころか辺り一体まだ静かで、時折車が通り過ぎていく音と微かな小鳥のさえずりが聞こえてくるばかりです。




ベンチに腰掛けていると、今更なんだかウトウトしてきちゃって首が横に振れてきました。



今寝ては駄目だ……寝たら死ね寝たら死ね寝たら死ね寝たら死ね寝たら死ね寝たら死ね寝たら死ね寝たら死ね寝たら死ね寝ても死にはしない……。




容赦のない眠気が俺に襲いかかってきます。



くそ……これは……コナンくんの仕業だと言うのか……。



俺は暴力的な睡魔に抗うことができず、深いまどろみの中に落ちていってしまったのでした。











「もしもーし?」




ふぇ?




「徳永くん?」




「いかにも、私は徳永くんですが?」



俺は深い眠りの世界から誰かに連れ戻されました。寝ぼけた声で返事をし、重い目蓋を開くとそこには現世に迷い込んだ大天使ガブリエルと名高い神村結衣様がいとうつくしゅうて居たり。




思わず古文になってしまうぐらいそこにいた神村結衣は可憐でありました。制服姿も個人的にはたまらないのですが、私服もやばいですね。ただの薄手の白いワンピースが彼女が纏えばあら不思議天女の羽衣に早変わり。さてはなんきんたますだれ。




「徳永くん電話しても出ないから忘れてるのかと思ったよ。まぁ取りあえずもうお昼だし、あそこのファミレスに入らない?」




「イエスユアハイネス!!」




一気に眠気が覚めて俺はベンチから飛び上がりながら返事をしました。

そして二人で一緒にファミレスに向かって歩いて行きました。




しかし俄かには信じられない……。




俺の横を現代に蘇ったテラ・ゴッドシャイニング楊貴妃が歩いてるだなんて……。




もし俺の脳に海馬という要素がなかったら今にでも、襲いかかって婦女暴行罪でしょっぴかれる所でした。

ありがとう海馬コーポレーション。




「ねぇ徳永くん?」




急に神村結衣が店内の扉に手をかけ、そのまま開けずに歩みを止めました。




「にゃんでしょうか!?」




俺は緊張して相変わらずにゃんちゅう語です。神村結衣はなんだか照れ顔を浮かべています。




なんという破壊力だ……誰かぁああああ!!フェニックスの尾を用意じゃ!!早く!!!! ハリー!! 死んでしまう!!




「実はね……徳永くん」




うん……じれったいです。




俺は今にも暴発寸前です。オッケー来いよ!! 武器なんて捨ててかかってこい!! 俺が全部受け止めてやんよ!!






















「実はいい壷があるんだけど」










……今なんて?

















「つ……つぼぉおおおおおおおおお!?!?」




「きゃ!! ど、どうしたの?」



気づくと自分は絶叫しながらベンチの上に立っていました。その目の前にはキョトン顔の神村結衣が立っていました。



ほう!! こ、これは俗に言う夢ヲチでありましたか!!。



なんとなく気まずい雰囲気が流れてます。辺りにはジャングルジムではしゃぐ子供の声だけがいやに響いていまして。




「つ……壷?」




「いや、あれです……最近壷に凝ってましてね。逸品な壷の夢を見て思わず絶叫してしまいましてな。あれはいい壺でしたよ、ええ」




「そうなの……まぁどうでもいいけど。それよりお腹減ったから近くのファミレスに行かない」




神村結衣はなんかめちゃドライです。




「どこまでもお供します!!」




しかし現代によみがえったテラ・ゴッドシャイニング楊貴妃こと神村結衣とファミレスに行けるなんて夢のよう……はっ!! これは……。




デジャブ……




まさか、このシチュはさっきの夢と同じですか?




さっきと同じ道を、同じリズムで、同じ人と歩いています。もしや、ファミレスの扉を開ける直前になったら……。そう思っていると案の定神村結衣が歩みを止めて俺にこう言ったのです。




「実はね……徳永くん」




な、なななななんだって!!




何かも先ほどの夢と同じであります。まさか、また壷をば……。




「徳永くん!!」




「はっ、はい!?」




俺より少し背の低い神村結衣が俺を少し見上げています。ダイヤモンドが裸足で逃げだすような綺麗な瞳をしています。あぁ……脳が溶けるぅ。




「私と一緒に……」




こ、これには驚きました。さっきと事情が違います。これは期待していいパターンやん!! 期待度アップパターンやん!!




神村結衣の次の言葉に勝手に期待してしまい顔のニヤニヤを抑えるのが大変です。そんな俺に彼女はこう言いました。



















「私と一緒にお笑いの世界を目指さない?」




「………え」




「私の相方になってください!!」




告白のニュージャンルではなさそうです。




ほっぺを軽くつねってみます。




うん、現実。ありがとう。




夢なら覚めて欲しかった。




ここから俺の人生は彼女を中心に大きく変わり始めて行くことになったのでございました。

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