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ブルマとかになるともう逆にエロくなくなっちゃうんですよね、不思議です


沢木なんとかさんにほっぺにキスされてから早六日。あれから沢木なんとかさんはまるで何事もなかったかのように普通に接してくるので、俺もその話題には触れないように日々の鍛錬をこなしてきました。きっと月がとても青かったから変な気を起しちゃっただけなんだ!




石ころ避けに10kmロードワーク、組み手、そう言えば各種筋トレも追加されましたね。それらを精力的にこなしてきた結果、俺の体は以前とは見違える程屈強に……………たかが一週間でなる訳もなく、代わりに全身にかなり凶悪な筋肉痛を残しているという結果です。




かくして今日は体育祭。コンディションは前述したように最悪であります。おまけに今日の天気はうんざりする程の快晴。

お日様がガンガンにUV混じりの危険な太陽光線を地球に撒き散らしています。




「うぇ……あちぃ……」




只今二年生の応援テントで日差しを避け、適当に祐一とだべりながら体育祭のスケジュール表を見て自分たちの出る種目を確認したりしてます。




「俺は借り物競争と騎馬戦、二人三脚。祐一は何にでんだっけ?」




「俺は1500mと二人三脚だけ。もうすぐで始まるみたいだからちょっくら1500のためのアップに行ってくるぜ」




すると祐一はやたら張り切って、テントの外の炎天下灼熱地獄の世界へと自らその身を投じました。




祐一は部活はサッカー部なんですが長距離は陸上部より速いとかいうよくいるタイプの走り馬鹿です。地区の大会や駅伝大会なんかの時は、陸上部として駆り出されたりしてます。死ねばいいのに。




あぁ……一人です。友人はみんな体育祭の運営やらなんちゃらのために出払ってしまって、俺はひたすらロンリーチャップリンです。おまけに俺の出る競技は一番最初のでも昼の部からです。暇です。学年の応援なんざ知りません、面倒くさい。




ちょっくら寝ますか。俺は椅子に腰掛けたままそっと目を瞑りました。




ちょっくらコックリ、コックリし始めた時でした。急に両瞼に冷たいひんやりとした手が当てられてきました。そしてどっかで聞いたことのある、楽しそうな可愛らしい声が後ろから聞こえてきました。




「あぅ! 誰だと予想なさると言うのですかー?」




「えぇー? ガトーかな?」




「来夢はソロモンの悪夢なんかじゃありません!!」




電波野郎でした。




「来夢か。どしたの?」




「祐亜が暇そうだったから来てやったんです。さぁ、来夢と一緒に地球と他惑星との外交関係について討論しましょう」




そう言うと来夢は嬉々とした表情で俺の横の席に座り、キラキラした目で見つめてきました。今日の来夢は背中にかかるその綺麗で艶やかな淡い桃色の髪を上にあげ、ポニーテールのようにしています。




なぜ体操服というものは健康的な服装であるにも関わらず、着る人によってこうも女性の魅力を高めるというかクッソエロイ服装になり得るのでありましょうか?

ちらっと見える軽く汗ばんでいる首もと! 黒いソックスと短パンから覗かせる白い太ももの絶妙なコラボレーション! けしからん、実にけしからん!! ありがとう!!!




こいつ、黙ってたら、電波じゃなかったら、ロボットオタクじゃなかったらめちゃめちゃタイプなんですけど……。てか条件多すぎか。




「来夢の顔に何かついてますか?」




うっかり見とれていたのか、来夢は首をかしげてキョトンな顔をしています。なので俺は慌てて体裁を繕いました。




「あははは!! なんでもないっすよ、それより他惑星の話よりロボについて語ろうぜ? 最近ので一番のヒットは?」




すると来夢は顎に手を当てて少し考えてから、顔をうーんとしかめ始めました。




「やはりグレンラガンなんじゃないですかねぇ……あの作品は、近年スタイリッシュを追い求めるあまり失われがちであった、ロボアニメにおいて欠かせない熱血さを全面に押し出した傑作ですからね。カミナとキタンのラストギガドリルブレイクは思わず目頭が熱くなりました。それに最終回はもう……神回でしたし(※2009年時点での感想です)」




「ほほう……エウレカなんかはどうかね?」




「いや勿論エウレカも傑作です! 二期最終回のモーニング・グローリは最高でした。BGMも秀逸ですし、曲の流れるタイミングもよくわかってらっしゃります。特に三期でニルヴァーシュがレイラインに乗ってきたボードを手にした瞬間に流れたFLOWのDAYSは神がかってました。けど最終回がとんでも過ぎたような……しないようなです」




「ふむふむ……お前、最高!」




気づけば俺は来夢とまたしても固い握手を交わしていました。こんなに気が合うやつに、しかも女の子に出会えるなんて驚きですよ。




「へへへ、当たり前です。来夢は勉強熱心ですから。一体誰のためにこんなにアニメを……おっとと!」




そう言って照れながら人差し指で鼻の下を擦る来夢のほっぺはうっすらと赤らんでいました。こいつ、可愛くなかったら結構アウトな人種だな……。










それからも俺と来夢は競技そっちのけで語りに語りまくってました。




「そろそろスパロボでノノとノリコの共演みたいよな」




「来夢はナデシコとフルメタをまた出して欲しいです!」




どれくらい喋り続けたでしょうか、話のネタは政治家の汚職事件ほど尽きる事を知りません。何時の間にか椅子と椅子とを向かい合わせちゃったりしてね。そんな時でした。後ろから荒い息遣いと聞き慣れた不気味な笑い声が聞こえてきたのです。




「ヘッヘッヘッ……やっと見つけたぜ、来夢ぅ……はぁはぁ……」




振り向くと膝に手を置いて軽く屈み、肩で息をしている南高校のショーンマイケルズこと姉貴の杏華がいました。




「姉貴どしたの? てか来夢と知り合い?」




再び体制を戻して来夢を見ると顔を恐怖で引きつらせ、顎をガクガクさせながら杏華を指さしています。




「あっ……嫌です……来夢は戻りたくありません……あんな場所……もう……あ……」




えっ? 何? 来夢って網走刑務所から脱獄してきたの?




「なぁ、姉貴。姉貴と来夢ってどんな関係?」




すると姉貴は屈んだ姿勢からゆっくりと立ち上がり、目にも留まらぬ早さで来夢の後ろに回り込み、体操服の襟をガッシリと掴みました。




「関係も何もだな……こいつは我が校の生徒会副会長だぞ!? てめぇ知らねぇのか? さぁ……来夢ちゃんよ。お前さんのやる仕事はしこたまあるんだよ。もう逃がさねぇ」




「い・や・で・す!! あんな面倒くさいこと来夢にはできません!! 適当に下っ端にやらせとけばいいんです!! 嫌! 離して……祐亜、ボッーと見てないで早く助けて下さい!! 来夢を蔑ろにするとベヌジェクト星の一斉攻撃が……キャアァァー!!」




かくして来夢は姉貴に引きずられて本部席まで連行されていきました。つうか……誰だよ、あんな電波を副会長に任命したの。




ちょっくらこの学校のNo.1とNo.2の人間性について疑問を抱いていると、背後からまたしても気配。




「……祐亜、副会長とどんな関係?」



少し怒ったオーラを出している炎髪灼眼でした。








後ろに立っていたのは来夢とは正反対で幼児体型ツルツルペッターンな柳でした。




紅い髪の上に巻いている赤いはちまきが可愛らしい感じです。




「副会長と……どんな関係?」




柳はほんっとぉぉおおおに微々たる変化なんですがね、ちょっと怒ってるみたいな顔してます。




「関係ですか……ただの友達ですよ。ロボアニメについて熱く語れる友達です。それ以上でも以下でもないです」




柳は腕を組んで、ちょびっと眉をしかめて考えるような素振りを見せています。それからしばらくして口を開きました。



「……うん、分かった」




すると柳は怒った顔からいつもの無表情に戻って、さっきまで来夢が座っていた席にちょこんと座りました。




「あれ? 今日は結衣たちと一緒じゃないんですか?」




柳は椅子に座り、足を前後ろにプラプラさせています。




「恋は体育委員。有希は次の競技。亜弥と結衣はあそこ」




そう言って柳は、二年の応援テントの真ん前にある本部席のテントの右奥の方を指差しました。

その場所へ目を凝らして見てみますと、校庭のレーン上にクラウチングスタートの格好をしている女の子らしき人たちがいます。どうやら女子の100mみたいです。




沢木なんとかさんはともかく結衣が走る訳ないと思ったんですが、なるほどレーンの脇に汗臭い男共がゴミのように沸いています。




ちょっとそっちに注目していると、やがて高らかにスタートを知らせる合図が鳴り響き、走者の女の子たちが一斉に駆け出しました。




大歓声(ほとんど男子たちの絶叫)と共に走り出した女の子たちは、当初はさして離れておりませんでしたがやがて二人の女の子が抜きん出ました。




その二人とは沢木なんとかさんと、まさかの結衣でした。




結衣ってなんかこう、運動できなさそうなイメージがあったんですが……めちゃめちゃ早いです。ターミネータ2を彷彿とさせます。いや、あんなにキショくはないか。




50mを突破した辺りからはもう結衣と沢木なんとかさんのデッドヒート。普通女子が全力疾走してる顔って必死な感じになっちゃう系なんですが、二人はそんなものを一切感じさせない爽やかさと可憐さ。そんなものですから歓声(男子9割)はえらいことになっちゃってます。




二人の走る姿はもうなんとも画になると言いますか……たまらないと言いますか……けしからんと言いますか。




結衣と沢木なんとかさんのデッドヒートは80mラインに差し掛かり、その勢いをさらに増しました。




どちらも一歩も譲らず、こちらが息をのむ程の接戦。会場の歓声もいよいよ最高潮、松崎しげるのサビにさしかかる際の盛り上がりにも匹敵する勢いです。




俺と柳も思わず立ち上がり、テントの真ん前で二人のレースの行く末を見守っていました。




ゴールテープ手前、雌雄を決する瞬間。誰もがその瞬間に刮目しています。そして大観衆が見守るなか、2人はその胸を勢いよくゴールテープへと突き出しました。


















「くぅぅうー!! おっぱいの差で亜弥に負けるなんて悔しいっ!!」




「ゆ、結衣!? あんまりそんな恥ずかしいことを大声で言うな!」




只今俺と柳の席の後ろに100m走を終えた結衣と沢木なんとかさんが帰って来ていて、結衣は椅子に座って地団駄を踏んで、沢木なんとかさんがそれを抑えようとしてるって感じです。




レースの結果は沢木なんとかさんが僅かな差で勝利をものにしました。その差は……今結衣が言った通りです。




いやなんというか……目に優しいレースでしたね。ありがとう、最高!




くそ……神様め、まんまとやりやがりました。あいつはとんでもないものを女の子の胸部に付けていきました。



それは……お  っ  ぱ  い  で  す。




結衣は相当悔しかったのか、後ろでまだキーキー言ってます。そして後ろからいきなり俺の肩をガッと掴んできました。




「くぅぅ……私の胸がもう少し大きかったら…… ちょっと祐亜、私のおっぱい揉んでくれない!? 大きくしないと亜弥に勝てないから!」




「なっ!? 正気ですか結衣さん!?」




衝撃の依頼を受けた瞬間、今度は隣から手首をキュッとか弱い力で掴まれました。




「……ダメ……!」




柳が少し泣きそうな上目づかいで俺のことをマジマジと見つめてます。いや、そんなマジにされても……。




「あはは! 冗談だよ、柳。安心していいから?」




「……うん……ぅうん?」




結衣は後ろから柳の頭をクシャクシャしながら笑顔を作ってますが、されている柳の方はなんか煮え切らないというか納得しきってないみたいな表情です。




なんだか非常に惜しかったような、正直……まことに遺憾でございます。




ふと、結衣の横で椅子に座っている沢木なんとかさんがなんだか切ないような、心中複雑ですみたいな視線を柳に送っていることに気づきました。




「沢木さーん? どうしたんっすか?」




「むむむ……いや、なんでもない……うん、なんでもない」




へぇ……俺にはなんでもあるって顔してるように見えますけどね。

まぁ乙女にしつこく詮索するのは趣味じゃないんで、俺は沢木なんとかさんの困り顔をしばらく見た後、また体を前へと向けました。




すると俺の真後ろに座った結衣が、身を乗り出してきて俺の耳元で意地悪く囁きました。




「ぷぷぷ、祐亜? モッテモッテだね?」




すぐ横にある結衣からは凄く女の子の良い匂いがして、あぁ……俺はあんたたった一人からモテたいんだよって危うく言っちゃいそうになるほど頭がクラクラしちゃいました。




なんとかこの体育祭でフラグの一つでも立てたいものですが、やっぱり無理なんだろうなぁーなんて、すぐ横にある眩しすぎる笑顔を見ると思っちゃいますよね。

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