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蜘蛛の糸の神様は心底性格が悪いってエアギアの雷パパも言っておりました

「あひゃははははぁあはぁはあぃはははー!!」




「そんな笑うなよぉ……」




どうも、翼の折れたエンジェルこと俺です。昨日のショックが抜けないまま俺は、今机に垂れています。たれぱんだでございます。友人の田中祐一は俺の話を聞いて腹筋を鍛えています。この鬼畜生め……。あなたの血は一体何色だっていうのですか!?




「ごめんごめん。でも、いくら祐亜がそっーこそこイケメンでも神村結衣は無理だって!! だってこの南高校創立以来至上最強の美少女って言われてんだよ? 知らなかったのか?」



祐一は笑い過ぎて出た涙を拭きながら俺に尋ねて来ました。そんなん知る訳ないです……。




「森山章吾って知ってる?」




「うん」




森山章吾ってのは二週間前、某有名芸能プロダクションにスカウトされて学校を辞めて行った奴です。超絶的な甘いマスクに加え、気取らないその性格から女子は無論、男からもモテていた最強のモテモテ男。俺もつまるところ、奴になら抱かれていいと思ってました。




「その森山章吾が五回告って、全部拒否した唯一の女なんだよ? しかも何件もの芸能プロダクションからスカウトも来てるし、他校の男子もわざわざ見に来るぐらい。そんな人に祐亜が……ぶわはははははは!!」




祐一はしまいにはくりぃーむなしちゅーの上田みたいな笑い方をして壊れてしまいました。無知な自分が情けないです……。




「まぁ、神村結衣は男子の間では天然記念物的な扱いだから。鑑賞だけ楽しめって? な?」




「うううぅ……わかったよぉ……。自分に似合う恋を探します」




俺はすっかりとろけてしまいました。神村ちゃわぁあああん……あなたの事しばらく忘れられなさそうです。




そんな時、廊下から一人の男子生徒の怒号にも聞こえる声が聞こえて来ました。






「伝令!!」




突然隣のクラスの男子が教室に息を切らせて入って来ました。なんだなんだよなんですか!!雨の中に敵伏兵出現か!?




「神村結衣が……俺達に宣戦布告してきたんだ!! とりあえずこの紙を見てくれ!! うわぁああああああ!!」




見知らぬ男子は黒板に一枚の紙を貼って、また猛スピードで教室を出て行き別のクラスへと走って行ってしまいました。当然うちのクラスの男子連中達はその紙に群がる訳でございます。件の紙にはこう書かれていました。



『いえーい! 面白い男子集まれー♪ 


こんにちわ、神村です。実は私面白い男子が大好きなんです。ですのでこの学校で一番面白い男の子と仲良くなりたいなーと思ってこんな企画を考えてみました。いろんな人の参加待ってます。私のお気に入りのネタを考えてくれた人とは……へへへ、選ばれたらのお楽しみです♡ 提出日は明後日ですよ、張り切って考えてきてね!



神村結衣から皆様への課題


・鳴かぬなら、の続きを愉快に書け


・『壁ドン』をテーマに漫才のネタを書け』





な、なんとな……!!






姉さん、事件です。




これはやるしかない!! 他の男子もみんな目をギラギラにしております……ハンターの目!! さながらモンスターボックスに挑む池谷選手のような眼光!!





戦じゃぁあああ!! 俺自身の存在価値をかけた、天下分け目の大戦じゃああああ!!





時は平成。

こうして一人の姫君を巡った汗臭き猛者(もののふ)共の血で血を争う戦の火蓋が切って落とされたのです。




しかしこの紙に一つだけ分からないことがありました。




「なぁ、祐一。壁ドンって何?」




ニヤリ、と。




祐一は俺の言葉を聞き意地の悪い黒い笑みを浮かべ、突然教室を飛び出していきました。



おのれぇ……!! 田中殿の謀反か!!



こうしてはおれん!!

クラスの男子と言う男子は我先にと一斉に教室を飛び出して行きました。

さながら底なし地獄の暗闇の中、神村結衣と言う本来手が届くはずのなかった天上人が、気まぐれで垂らした蜘蛛の糸にすがりつくカンダタのよう。

無論次の日、どの二年の教室にも男の姿はありませんでした。













今日は神村結衣にネタを提出する日です。只今、一限目の始まる前ですが緊張がやばいです。

俺はあれから家に帰ってから寝ずにひたすらおもしろい事考えてました。初めて面白いこと考えすぎて鬱になりこれはもう死ぬのではないかと思った程です。




問題の壁ドンの方も頑張って俺なりに頑張って解釈して書いてきましたよ。なかなかの超大作ですな、これは。




「祐亜、書いてきた?」




自分のネタを机に座って誤字脱字などないかと読み返していると、謀反者の田中殿が登校してきました。俺はそんな彼に対して投げキッスをした後に天を仰いだ後に言ってやったんです。




「完璧過ぎる自分が怖いぜ……エクスタスィー」




「ふーん。そんで壁ドンの意味わかったの?」




俺はこの質問にはやっぱり少し首を傾けてしまいました。本来の意味は未だにわからなかったんですよね。お母さんに聞いても知らないって言ってました。




「ふふん。その調子だとわかってないな。壁ドンっていうのは女の子を壁際に追い込んで女の子の頭の横の壁に片手をつきドヤ顔で何か気の利いたことを言う様のことを指すのだよ! 世俗や流行に疎い貴様は知らないであろうな!! そしてこれが!! 壁ドンを上手く組み込んだ!! 完璧な漫才のネタだ!!」




そういって祐一は自身満々にネタが書かれた紙を俺に手渡してきました。俺はそれに興味津津で視線を下ろしました。



A「はいどうもーこんにちわ!」


B「どうもー」


A「いやー最近世の中には『壁ドン』っていうのが流行ってるみたいでね、いいなーやってみたいな。俺もああいうのやって女の子にキャーキャー言われたいなー!」


B「じゃあちょっとやってみる?」


A「ほんまですか!? じゃあ俺男役やるからお前壁やってよ!」


B「なんでやねん! 痛いだけやん! 普通女の子役やろ!」


A「あ、そっか! じゃあ女の子役で!ごめんね……急にこんなところに呼びだしたりして」


B「ううん、大丈夫。それで今日はどうしたの?」


A「どん!」


B「きゃ!」


A「貸してた一億とんで500万……お前いつになったら返すねん?」


B「取り立てじゃねぇか! 違うよ! 壁をドンってやったら甘い台詞を吐くんだよ!」


A「ほーん、どん!」


B「きゃ!」


A「安納いも」


B「すごい甘いけどね! もういいわ!」


AB「ありがとうございました!!」





「これが……壁ドンだと……?」



俺は自分が書いたネタとの違いに心底驚きました。というかなんだこの小慣れた感じのネタは……。

まずい、俺の解釈では確実に選考から落とされてしまう……。



今はまだ早朝だ……。祐一のを参考に書き直せばなんとかなるかも知れません。俺はそう思い立ち、早速ペンを握ろうとした時のことです。




……悪魔は俺の背後で残酷に微笑んでいました。




「ククククク……」




祐一の不気味な笑いが聞こえ振り返ったその刹那、祐一は俺のネタを書いたノートをひったくりやがりました。




「……何を!?」




「悪いけど、これって戦争なのよねー」




何だと……!? まさかこいつ




「お前!? まさかその不完全なネタをそのまままま提出して俺を蹴落とそうと!! 貴様の好きにさせるか!! ぬぁっ!? なんだお前等!?」



気づけばクラスの男子の連中が俺の事を羽交い締めにし、取り囲んでいたのです。どいつもこいつもその顔には邪悪な笑みを携えております。




「フハハハハハハ!!!! イケメン枠が一つ減るのは我々にとっても好都合で有り、且つ我々モテない男たちが共有すべき財産なのだよ!!!!ワトソン君!!!! 」




祐一は絶叫しながら教室から走り去って行きました。奴はまたしても俺を裏切り……。




駄目だ……あのままのネタを神村さんに出しては……。




俺と彼女を繋ぐ微かな……蜘蛛の糸がぁあああああああああッッッッ!!!!

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