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ロケットマラソンとか菜の花マラソンとかそういうの思いだしますね

「うん、この辺りならいいか」




沢木なんとかさんに引かれてやってきたのは、校舎の屋上でありやした。今日は天気の良いポカポカ陽気です。雲量は6といった所でしょうか?




「いやぁー青天の霹靂ですねぇ!」




伸びをしながらこう言うと沢木さんは訝しげな表情で俺を見つめた後、小さく溜め息をつきました。




「お前……普通に馬鹿なんだな」




えっ!? 何!! なんか変なこと言いましたか、俺!?




「月極駐車場をゲッキョク駐車場って読むぐらい恥ずかしいやつだな……まぁお前の馬鹿さは置いておいて、今日はお前に頼みがあってここまで来た訳だ」




あれ……ゲッキョク駐車場って読むんじゃないんですか?




今まで信じてきたものを根底から覆され、絶望に打ちひしがれる俺を余所に沢木なんとかさんは腕を組み、高圧的な態度で俺を見下ろしています。




「結衣の依頼でだな、お、お前と一緒に二人三脚に出ることになった! あくまでも結衣の依頼だ! いいか、私個人の意見は含まれていない。勘違いするなよ!?」




チラチラ横目で沢木さんは俺の様子を伺っています。




「えっー! なんでですかー?(棒読み)」






クックックッ……。ここまでは……。










計   画   通   り




ここまで予想通りだと……フェアじゃない。




沢木さんはツンと横を見て、さらに言葉を続けました。




「お前の意志など関係ない! とにかくこれからは一週間後の本番に向けて猛練習だ! 放課後は私と毎日10kmのロードワークだからな」




フフフ……これも計画ど……。






えっ?






「今…………なんと?」



沢木さんはさも当たり前であるかのように不思議そうに俺の顔を覗き込み、悠然と言い放ちました。



「うん? 10kmのロードワークを体育祭まで毎日と言ったんだが?」





















( ゜д゜ )





「な、なんでたかだか二人三脚如きにそこまでやる必要があるんですかね?」




俺は笑顔をひきつらせながら、沢木さんに尋ねます。沢木なんとかさんサイドは相変わらず当たり前じゃん? 的強硬姿勢を崩しません。




「別にたかが10kmじゃないか……なんでそんな嫌そうな顔をするんだ?」




いやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいや!!!!!!




ちょちょちょちょ!! 沢木さんちょちょちょちょ!!




10kmって!! 10000mって!! 10000000mmって!!




あほかと!? 馬鹿かと!? 問い詰めたい、小一時間ほど問い詰めたい。




10kmって!! ど田舎の方の高校生の通学路の距離ぐらいあるやないかーい!!




てめぇ月に変わって性的イタズラしてやろうか? ああん?、と。





「……いやぁ少し長いんじゃないんかなぁ……なんて思っちゃったり、してみちゃったり的なです?」



まぁ、現実の俺が言えるのこれが限界ですね。性的イタズラなんてしようものならたちまち俺のプリチーマイサンは根元からへし折られ、文字通り再起不能になってしまうでしょう。これ結構上手いこと言ってないっすか?




沢木なんとかさんは俺のことをしばらくじっと見つめていました。相変わらず強気な表情を崩していませんよ。




「これは単に二人三脚だけを目的とした鍛錬ではない。軟弱なお前自身を鍛える鍛錬でもあるのだ」




鍛錬って……。




俺はシャナの坂井悠二かっての!?




「沢木さん!! 俺はトーチでもなければミステスでもない!! ましてや、銀でも祭礼の蛇でもないんです!! 存在の力なんて扱えません!!」




「……何を言っているんだ、お前は」




フフフ……よくわかんないこと言っちゃって、沢木なんとかさんを困惑させちゃう作戦成功!




そして止めには、古代エジプトより伝わる教え、目には目を!! 歯には歯を!! はぐれメタルには魔神斬りを!! ゾンビ系にはフェニックスの尾を!! ツンデレにはツンデレを!!




「と、とにかく! 10kmなんて全然走りたくないんだから!! ツン!」




俺は沢木さんに背を向け、屋上を後にしました。





我ながら快勝ッッッッ!!











只今放課後です。




お約束と言うかなんというか、沢木さんにフルボッコにあったうえ、只今ジャージに着替えて学校を飛び出しロードワークしております。




あー!! ちょー目腫れたしぃ♪♪




「いち、に! いち、に! 頑張れ、祐亜!」




高宮さんの運転する自転車の後部座席に乗った結衣は、メガホンで楽しそうに声だししてます。くそ、この謀反ものめ! 小早川秀秋め!! しかし、その体操服ッッッッ!! あえて言おう!! 可愛いでございますわとッッッッ!!




その横にはこれまた自転車に二人乗りしてる祐一と樋口さん。




「ちょ……祐一さん! スピード出しすぎですよ?」




「あははは、それだったら!」




ギュッ




「もう! 怖いですよ! いじわるな祐一さん、うふふ」





祐一め……貴様、まさか……あの禁じられし高等テクニックを。わざとスピードを上げることによって樋口さんの体の密着具合を自発的に強めさせることにより生じる、樋口さんの胸部の背中への圧迫……曰わく、祝福されし白銀の天使達の渓谷の触感を楽しむという高等テクニックッッッッ!!




一見このドラマチック過ぎる技、実在しないように思われるが、筆者の知り合いにその技を可能な高名なリア充がいる!!本人の強い希望により名前は伏せるが、自身を発狂寸前にまで追い込む鍛錬を条件にこの高等テクニックは存在するッッッツ!!





「法律により、自転車の二人乗りは禁止されていまぁぁぁぁぁぁっっす!!」




二人に向かって叫んでみるものの、二人の心の壁に俺の声は阻まれてしまいました。無力です……俺はあまりにも無力。




その時、後ろから背中を軽く小突かれました。




「祐亜、集中」




「そうだ、私たちもわざわざ付き合ってやっているのだからちゃんと走れ!」




俺の後ろには、体操服姿の沢木なんとかさんに上杉さん。沢木なんとかさんはまぁ、分かるとして、上杉さんはなんで一緒に走ってくれてるんでしょうか?




いやはや、しかし沢木なんとかさん……薄い体操服で隠しきれない体の各所アピールポイントってやつ? それら?




グッジョッブ!!




こうとだけ言っておきましょう。















「はぁ……はぁ……いつまで走るんすか!?」



30分ぐらい走り続けたんでしょうか。俺はヘロヘロになりながら前を走る沢木さんに声をかけます。



息一つ切らしてない沢木なんとかさんは俺を『なんだこいつ? 情けないな、死ねばいいのに』みたいな顔で見つめてます。




「男のくせにだらしのないやつだな。もう少しだから黙って走れ」




くそっ……!? 今はジェンダフリーの時代だろうが!!





「もう少しってどれくらいなんすかぁ?」




これまた息一つ切らしてない上杉さんがさらっと答えてくれました。




「3km」




えっ? 少し? 3kmって後少しなの? 俺陸上部じゃないよ?




またしても足取りが重くなるのを感じます。てかよく考えたらまずこのシチュエーションが意味がわからない。なんだよこれ? ラブコメですよね? ラブ&コメディーですよね?




聞いたことねぇよ、美少女と10kmのロードワークするラブコメとか。




俺が考えるラブコメってのはさ!! もっとこうハラハラドキドキのさ!! いきなり異星人なのに人間の姿した美少女と同棲生活が始まったりとかさ! イチゴパンツ履いた美少女と運命的な出会いしてそれが漫画のタイトルなのにも関わらず他の女の子とくっついちゃうみたいなさ! 祐亜、一緒にお風呂入ろみたいなさ!




そんな感じな訳ですよ、俺のイメージとしては。ところがどっこい!!




どんだけスポーティーなんだよと!!




ロードワーク? 鍛錬? はっ! あんたばかぁ?




俺はただ普通の恋愛がしたいだけなのに……。




そんな俺を尻目に祐一と樋口さんが、交通法規を無視して二人乗りでうら若い恋愛をしております。



「ねぇ、恋さん……恋って呼んでいい?」



「えっ!? そんな! いや……えっと…………ぜ、全然いいですよ。えへ」







俺を差し置いて何、甘酸っぱい恋愛してんだゴルァアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!


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