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プロロロロロロロロロロロロ

恋はするものじゃない、落ちるものだ




どこぞのイケメン達がクッソむかつく得意げな表情で、そんな別段うまくもない使い古された言葉を言っておられました。




初めて俺が恋をした時、気付いたらその子のことを好きになっていて、いつの間にかその子を見るとドキドキするようになっていて、いつの間にかその子の側にいたいと思うようになっていて。

だから俺は恋は落ちるなんてそんな地獄や投身自殺みたいなものじゃなくて、気付いたらしていると言いますか、ある感情の変化の過程やそれの結果のことを指すのではないかと思っていたのです。




その子に会うまで俺は本当にそう思っていたのです。








ある日の夕暮れの教室で、一人窓際に佇むその女の子を俺は見つけてしまいました。

少し冷たい夕暮れの風に髪を揺らして、窓枠に腰掛けて彼女は物憂げな表情で眼下を眺めていました。

風にあてられ柔らかに膨らむ白いカーテン、寂しげなオレンジ色の教室の風景の中で彼女のその姿はとても神秘的で幻想的で超越的で。




俺の17年の人生の中で一度も経験したことがないような衝撃とか電撃とかそういうものに形容されるであろう脳内物質が全身を光速で駆け巡って、認めたくないけど、イケメンの使い古された言葉なんて肯定なんかしたくないけれど、




俺は確かにその時、一瞬にして恋に落ちてしまったのです。




もうそれからはいてもたってもいられなくなって寝てても起きても想うのは彼女のことばかり。

彼女の名前が神村結衣って知るのはそんなに時間がかからなくて。そしてその子が難攻不落の超要塞ナヴァロンも真っ青なガードの硬さで有名だと聞くのもそんなには時間がかからなくて。何人もの男たちが玉砕し、散っていたと。




けれど恋する俺は、恋する徳永祐亜くん17歳はそんな言葉じゃ止まれない訳です。この胸の想いの丈を1ミリもあますことなく伝えなければ爆発してしまうのではないかとそう本気で思っていたのです。




だから俺は今こうして放課後、この胸のときめきを一つ残らずバーニングさせるため神村結衣の教室に単騎特攻をしかけようとしている次第なのであります。




やめておけ

心に傷を負うだけ

絶対無理

出すぎだぞ!! 自重せよ!!



友人からかけられたのはそんなネガティブな言葉ばかり。




なんなの……馬鹿なのッッッッッ!!?? 

あのさぁぁああああ……………………やってみなくちゃわからないだろう!!??

 宝くじだって買わなきゃ当たらないし、アイドルなマスターやラブなライブのチケットだってどんなに競争率が高かろうが応募しなきゃあたらねぇんだよ!!




はははははははは!! モブキャラ共め!! そこで指をくわえて見ているがいい!! 一歩踏み出したものにだけ明日が来る!! 美しいそのバラを摘むには、まずその強烈な茨を突破せねばならない!! 傷つくのを恐れていてはいつまでもその高嶺のフラワーに触れることはできやしないのだとな!!

できない無理だとやりもしないくせにそうなげくから貴様らはいつまでも脇役なのだふわはははははははははははははは!! 主人公の主人公たる器を魅せてしんぜましょう的な!!?? どわははははははははははははははは!!!!




「たのもぉぉぉおおおおおおおおおおお!!!!」




一度も入ったことのない他のクラスの扉をぶっ壊す勢いで開きます。教室に残っていた数名の生徒たちが何事かと俺の方へ視線を向けてきます。

その視線の中に、俺は彼女を見つけました。




「すいません神村結衣様いらっしゃいますか!? 好きです!!」




「私ですけど……は?」




しまった……神村結衣が反応して席から立ち上がろうとしている段階で勢いあまってフライング告白してしまった。このクラスにいる誰もが鳩がツインサテライトキャノンを喰らったような顔をしています。




ええい!!ままよ!!




「好きです結婚して下さい第一印象から決めてました一緒のお墓に入って毎日味噌汁作って僕よりも一日でも長く長生きして徳永祐亜は世界中で誰よりも神村結衣を愛して誰か助けて下さい!!好きだバカ!!」




押して!!   




押して押して押して!!




押しまくるッッッッッ!! これっきゃないでしょッッッッッ!?




こんな告白をするやつはいなかったはずだ……こういう男をガンガン振ってきた美女は今までにないパターンの男子に惹かれるパターンがラブコメの王道!! 定石!! テンプレ!! お約束!!




『今までこんなタイプの人いなかった……! 何この気持ち……クビンクビン!!』




女の子、意外性に弱い!! 漫画とかラノベに書いてあった!! 僕知ってるよ!!こういう意外性のあるアプローチで始まる恋っていうのもですね!!




「ごめんなさい」




…………。




「」




…………ん?




神村結衣は俺の前まで来ると非常にお上品な動作でペコリと頭を下げて、傍から見ても完全によそ行きの圧倒的距離感を感じる笑みを浮かべなされたのです。




「名前も知らない方とお付き合いなんてできません」




え? 正論?




「そもそもあなた誰ですか?」 




「」




「お引き取り下さい」




斜め上を行きすぎた……?




俺がその事実に気付いたのは神村結衣の絶対零度の凍え死にそうな冷たい笑みを確認した時と、それからクラスの好奇の視線に気づいた時のことでした。










俺こと徳永祐亜と神村結衣はこんな最悪な感じで出会ってしまったのでございました。

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