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正義と暴力のアイラブユー

作者: 藍澤李色

即興小説から。お題は「破天荒な性」で制限時間15分でした。

「君が好きなのよ」

 実にあっけらかんとした告白だった。

 思わず「僕もだよ」とか言いたくなってしまうくらいに。

 こんな状況でなければ。ああ、こんな状況でなければ。


 気が弱くて引っ込み思案な僕は、いかにもなインドア派な貧弱さと友達の少なさに目をつけられて、何かといじめられることが多かった。しかし、悲しきかな、いじめられるのに慣れてしまって、どういう反応をすればすぐに飽きられて解放してもらえるのかもわかっている。だからそこまで酷い目にあうことはそうそうないのだけど。

 ……その日は本当に運が悪くて、ガラの悪い先輩にからまれてしまった。たまたま、本当にたまたま、僕が自分の自転車を先輩の自転車にぶつけて倒してしまった現場を見られたせいで。

 この地域にしては珍しく、一昨日に早い初雪が降った。おかげで自転車置き場に人はこず、僕は先輩の腹いせと小金欲しさの餌食となって、財布を出す羽目になっていた。


 そこに彼女の鮮やかな上段蹴りが。制服のチェックのスカートが翻る。先輩の肩越しに少し見えてしまった。ぱんつは白でした。

「何すんだこのアマ!」

 三流悪役のようなセリフを吐いた先輩に、容赦なくかかと落とし。また見えた。やっぱり白でした。

 僕は呆然と彼女が一方的に先輩をボコボコにする様子をポカンとした顔で眺めてた。

「……どうして」

 助けてくれてありがとうよりも先にその言葉が出てきた。

 だって、いきなり何の脈絡もなく先輩をぼこぼこにして……わけがわからないだろ。

 それでこの返答だ。

「君が好きなのよ」


「……ちょっと意味がわからない」

「好きなのよ。アイラブユー。わかる?」

「何で?」

「私、文学少年って感じの男の子ってイイなーって思うの。君、本よく読んでるよね。隣のクラスなのよ、私。たまにみかけてた」

「そ、そう……」

「でも私、女にしては乱暴者だし、きっと嫌われるって思って……でも」

「でも……?」

「かっこよく助けに入るとかしたら、グッとこないかなーって。ねぇ、グッときた? 私のこと好きになりそう?」

 僕の頭の中は「?」で埋め尽くされた。グッときたというか、不可解なだけだったけど。

 真剣な顔でそんなことをたずねてくる彼女の顔には、正直グッときた。

「いいよ。僕も君が好きだと思うな」

ぱんつは縞ぱんの方がよかったかもしれない。

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