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それから門を飛び越えたあと、彼女と別れた。家までの道が反対方向だ
ったのもあるし、俺が家まで送ろうかと提案してみたが、いい、一人で帰
れる、と言われればそれに従うまでだ。
それに考えることもあるだろうしな。何となく誘って学校に来ただけなのに、どうしてここまで話が発展してしまったのだろう。
会話を洗いざらい振り返ってみると、俺の好奇心から始まっていた。
重い話は好きじゃない。ヴァイオリンだって重く感じてしまったから、レッスンを受けなくなって、自分が聴く分に弾くようになってから気が楽になったこともあるし。
……好奇心で行動するものじゃないな。何もかも全て彼女に投げて、それでいて俺は今更ながら後悔しているんだ。
だからせめて彼女が無事選べるように、ただ夜空を見上げながら祈るしかなかった。