憂い、変動。
勇太は夜も眠れなかった。
[彼女を見捨てたお前に言う必要ねーだろ⋯]
この言葉が何度も頭の中で繰り返された。
すると突然、
「なぁ、勇太。起きてるか?」
圭介が口を開いた。
圭「あんなに自信満々だったのにどうしたんだよ。」
勇「俺⋯ダメだな」
圭介が勇太のほうを見ると、勇太の瞳から涙が零れていた。
圭「田中もそれぐらい苦労したんだよ。
なんだかんだいって、田中も大事なことは
表に出さねぇからな。とくに、お前のことになると。」
勇「恥ずかしいんだろ⋯」
圭「ちげーよ。お前に心配かけたくないだけだろ。
それに比べて⋯ お前はかけてばっかだろ。」
勇「そう⋯だな。」
圭「お前、明日、ちゃんと自分の気持ち伝えろよ。」
勇「うん。」
すると、勇太は安心したのか、
寝息を立てていた。
圭「うまくやれよ⋯」
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
2日目:午後6時 .▼
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
全クラスの生徒がレクレーションホールに集まった。
吹き抜けになっていて、声がよく通る。
すると、レク係が舞台に立った。
「これから、レクレーション大会を始めます!!」
「いえ~い!!!」
拍手が湧きあがった。
「では、まず最初に初めの言葉です。
○○さんお願いします。」
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
無事、レク大会は終わった。
優勝は1組だった。リレーの時に、
大差をつけたのが大きかった。
歩「いやぁ~ 優勝できてよかった♥」
茜「でも疲れたぁ!!」
茜はぐんと、手を組んで上に伸ばした。
理「じゃあ帰ろっか」
美「あ、でも、ちょっと、用事があるから、
先に行っててっ」
すると、美玖は階段を駆け足で登っていった。
202号室の扉を、トントントン と、ノックすると
勇太が出てきた。
勇「あ、じゃあ⋯こっちきて」
すると、勇太は美玖の手を引いて、
階段の少し奥の人目のつかないところにしゃがんだ。
勇「ここならだれにもバレないで済むだろ?」
美「バレちゃいけない話なの?」
勇「いや⋯その⋯⋯
悪かったなぁ⋯って⋯」
美「え?」
何の話かわからず、美玖は吃驚した。
勇「お前に心配ばっか掛けてるだろ⋯」
美「⋯なんで?」
勇「最近お前が泣きっぱなしだって、
歩とか田村とか志保田が⋯」
美「あぁ⋯でも⋯全部あたしのせいだし」
勇「俺のせいだってある⋯」
美「⋯。」
その言葉には、何も返せなかった。
勇「でも俺が好きなのは、彼女だけだし⋯
鈴木とは、お前の話をしてただけなんだ。
だから、勘違いはしないで⋯」
美「理央⋯⋯ちゃんと?」
勇「ん、ちょっとな。
田村に言うと、厄介になりそうだったから」
勇太は理央にいろいろと相談していた。
理央も、二人が幸せになってくれるように。と、
ちゃんとしたアドバイスをくれたという。
その話を聞くと、美玖は拗ねたような顔をし、
美「⋯そりゃ、ちょっとは勘違いしたけどさぁ⋯」
といった。
すると、勇太も美玖の反応を見て安心したのか
勇「ワリィワリィ」
と、笑っていた。
美「でも⋯安心したなぁ⋯。
理央ちゃんが好きじゃなくてっ」
そういい、美玖は勇太のほうを見た。
すると、勇太と目が合う。
勇太は美玖の肩をつかみ、美玖は目を瞑り、
二人はお互い顔を近づけ⋯唇を重ねる。