冷淡、誘惑。
「くじ!」
先生「時間がないなぁ⋯;」
「先生が決める!」
先生「あー、面倒くせぇ」
その時、
「好きな人同士ってんは?」
その声の持ち主は、勇太だった。
すると、大樹が冷やかす。
大「え? それは⋯どっちの意味で?」
すると、その声に重なり、
「ひゅ~う♥」「おぉー!」
などの声が飛び散った。
勇「どっちでもいいんじゃねぇの?
なりたい人はなればいいだろ。」
勇太は冷静だった。まるで“ヒトゴト”のように。
茜「つっめたい!!」
茜は頬をふくらませ、まるで自分のことのように
怒っているようだ。
その言葉に、勇太は何も言葉を返せず、
口をへの字に曲げる。
先生「いいんじゃない? 楽だし。
その方がお前らも楽しいだろっ」
「「「賛せーい!!!!!」」」
⋯
ことにより、好きな人同士で組むことになった。
先生「じゃあー、10分ぐらいで決めて?
人数は、2~4な」
「「「はーい」」」
まず最初に、茜は美玖を誘った。
茜「理央ちゃんは違う班に行っちゃったし、
ここぞという時だよ? 頑張んなきゃ!」
美「そっ⋯そっ、そうだけど⋯」
圭「俺も入れてー!
じゃないと、誘いづらいだろ?」
茜「おー! サンキュー!!」
理央が勇太を誘わないといいのだが⋯。
と思った直後、
理「勇太君♥ 一緒になろう♪」
その瞬間を目撃してしまった限り、
美玖はもう1度ひざから崩れ落ちた。
美「もうダメだ⋯」
理「ダメー?」
勇「お、おう。」
嬉しそうな顔も見せず、
嫌そうな顔も見せなかった。
茜「⋯何考えてんのよ。あのコ。」
圭「それは⋯どっちのことよ?」
茜「ど・っ・ち・も」
美「あうあうあうー><。」
美玖はわけのわからないことを言っていた。
圭「これじゃ⋯生活班とほとんど同じじゃ⋯」
すると、歩は茜にこそこそ話をしていた。
茜「あったまイイ~✧
それで行こう!」
すると、歩は理央に近付いていき、
一緒の班になる約束を交わしていた。
茜「名付けてスパイ作せ~ん★
いいでしょっ?」
圭「おおぉー」
美「ふぁい⋯。」
先生「決まったら、自分の部屋に戻っていいからなー」
美玖は修学旅行のテンションが70%だったとしたら、今は2%だ。
圭「残念ですが、この班決定ってことになったっぽい⋯。
じゃ、俺戻るわ。」
美玖も重い足取りで部屋へと入った。
5年生の時も臨界学校に来ており、
その時に泊まったせいか、懐かしかった。
――畳のにおい⋯。
時計を見ると、午後1時だった。
次に集合するのは、風呂までの5時だ。
――あと4時間もある⋯。
バスの疲れや、さきほどのショックのせいか、
寝っ転がっていたら、いつのまにかうとうとしていた。
⋯
「田中ー!!」
圭介は、美玖に伝言しに、203号室に来た。
圭介と勇太の部屋は202号室で、隣同士。
薄い壁のため、耳を澄ませば会話が聞こえるほど。
コンコンコン
ドアをノックし、茜が「どうぞー」と返事する。
圭「あれ? 田中は?」
茜「あー、コレ。」
そこには、静かに寝息を立てて寝ている美玖が居た。
その様子を見て圭介は、
圭「静かにしといてやるか⋯」
と、微笑んだ。
結局、圭介は茜に伝言を伝え、帰って行ってしまった。