自信のチカラ。
一方そのころ⋯
茜に、話したいことがあるといわれ、
勇太はマンションの屋上に来ていた。
勇「なんだよ⋯大事な話って」
しばらくすると、コツ⋯コツ⋯コツと階段を上る音がした。
するとそこには、茜と圭介が立っていた。
勇「お前ら⋯⋯何しに来たんだ?」
茜「このままでいいのかなーって。」
圭「今日なんか、お前のせいで田中に睨まれたぜ?
相当追い詰めてるようだな。」
勇太は黙り込んでしまう。
勇「それくらい⋯わかってる。でも―――」
茜「じゃあなんで何もしないのよ!!!」
茜は勢い余って、手を振りかぶったが、
圭「やっやめろ!!」
圭介に後ろから手を組まれ、止められた。
勇「わかってる。自分が悪いことぐらい。
だけど⋯」
圭「だけど⋯⋯?」
勇「本当に好きなのは俺じゃなくて
他のやつなんじゃないかって⋯」
長い前髪を掻きあげ、口を食いしばっていた。
茜「そんなの⋯」
圭「彼女を信じられないか!?」
勇「そうじゃない、でも―――」
圭「彼女を苦しめて!! それでも知らんぷりで!!
⋯⋯それでも彼氏か?」
圭介の表情は険しく、怒りをぶつけた。
圭「お前がそんな中途半端な気持ちなら⋯
俺が田中を奪う!!!
圭介の目はしっかり勇太を見つめていた。
すると勇太は顔をあげ
勇「⋯上等だ。」
と呟き、不気味に微笑んだ。
圭「勝負は修学旅行だ。」
圭介は勇太の耳元で囁き、
階段を下りて行った。
茜「これ以上、美玖を悲しませたら、
親友としてあたしが許さないから。」
すると、
勇「大丈夫。彼女を悲しませたりゃしない。」
勇太は自信に充ち溢れた笑顔を見せ、階段を下りて行った。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
美玖はすっかり元気を取り戻していた。
――なんで修学旅行なのに校長先生の話長いの⋯
そう、今日は修学旅行の日。
出発式が行われていた。
やっと校長先生の話が終わり、いよいよバスに乗る。
美「はぁー、3日間もこの景色が見れなくなっちゃうよ」
修学旅行は、3泊4日だった。
茜「でも⋯楽しみだね^^」
美「うんっ!!」
美玖は満面の笑みで、元気よく返事した。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
バスが揺れて、寝心地がいい。
前夜は、楽しみで眠れなかったせいもあった。
席は勇太と隣だった。それもそのはず、
二人が彼氏と彼女と知っている限り、
誰もその二人の隣を選ばず、
最後に残った席に強制的に座らされたような感じだった。
しかし、久しぶりに隣の席になったものの、
会話は生まれず、時が長く感じる。
しかも、勇太はバスで酔っているのか、
ずぅっと外を見ている。
先生「もうすぐ、昼食でーす
いやぁ、それにしても、
3時間のバスはきついね!!><」
――3時間も乗ってたんだぁ⋯
3時間でも十分長いのだが、
美玖の体感時間は5時間ぐらいあった。
しかも、乗り物酔いにより、頭痛がしていたため、
ちょうど外の空気が吸いたいと思った頃だった。