亀裂、裏切り。
茜「で、どうしたのよ?」
聞かれると、遥は満面の笑みで
遥「俺、美玖に大好きって言われちゃった♥」
と、嬉しさがあふれ出ている声で言った。
その衝撃の言葉に、
「「「「「えぇぇぇぇぇ?!?!?!」」」」」
皆、驚いた。
勇「おい、ちょっと待てぇぇぇ!?!?!」
勇太は美玖の前に立ちはだかる。
一方、圭介は美玖を肘で突く。
圭「おいおいーお姫様? 浮気ですかぁ?」
明らかにからかうような口調だ。
美「ちっ、違うよ! あたしはただ、
[親友としては大好き]って言ったのっ。ねぇ?」
美玖は遥に問いかける。が、
遥「え? そうだったの!?Σ」
どうやら遥は本気で勘違いをしていたようだ。
勇「へっへ、これはどういうことですか。」
苦笑いしながら勇太は言う。
美「へ? 勇太まで信じてんの?
この遥の言うこと。」
遥「え、俺バカ!?」
美「ハルは黙っとけ。」
遥は言葉が返せずにいた。
勇「そーいわれると⋯なぁ⋯」
遥「お前まで!!」
本気で落ち込んでいるようだった。
勇「ま、ドンマイ★」
勇太は遥に、憎たらしく、ピースをしていた。
その行動に、遥は頭を抱え、
「あぁダメだぁ」と連呼していた。
すると、圭介がぼそりと呟いた。
圭「やっぱり大好きなんだな」
その一言をきくと、勇太は席へと戻ってしまった。
その行動に、美玖は少しばかり心の傷を負った。
そのことに察したのか、
圭「照れてるだけだから、ダイジョブっ」
圭介は美玖の肩をポンと叩いた。
美「うん⋯。」
しかし、このことがきっかけに
二人に亀裂が入るとはだれも予想はしなかった。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
席替えしてから3週間。
最近、なぜか勇太は美玖から離れていっているような気がしていた。
それに、理央と妙に仲がいい。最近では、二人で仲良く
笑顔で話している様子も見受けられる。
茜「このままじゃまずいんじゃないんですかっ?」
美「なにが?」
休み時間、教室でだるそうにしていた美玖に話しかける。
茜「(勇太のことだよ! 勇太!!
最近全然話してないし!!)」
美「うん⋯」
最近のテンションはやけに低いと
悟っていた茜は、助け船を出してくれた。
茜「理央ちゃんは勇太君と仲がいいし!! ⋯⋯
あのコはまだ私でもよく読めないんだよなぁ」
美「はぁ⋯」
美玖はため息交じりに聞いていた。
茜「ため息なんかついてる場合かよっ!
攻めで行こう!!
攻めなきゃ取られる、奪われる!!」
美「そんなこといってもねえ⋯」
今の状態では、美玖に何を言っても駄目だ。
それでも、親友だからこそ助けたいと思った茜は、
茜「ほらっ、修学旅行があるよ? 理央ちゃんと勇太が
行動班一緒になってもいいのかな?」
と、やきもちを妬かせるようなことをわざといい、
彼女としての自覚をして欲しいと思った。
が、
美「もういいや⋯どうせあたしは嫌われたし。
離れて行ったのは勇太のほうだし。」
美玖の悪いところは、ネガティブになると
極端にネガティブに突っ走るところだった。
そんな美玖のやる気のなさにに、茜は怒りだす。
茜「⋯もういい!! 私、理央ちゃんと
一緒の班になって勇太を誘うから!
後悔しても知らないから!!」
美「⋯⋯ん」
茜は涙を浮かべながら、もう一言付け加えた。
茜「裏切り者だって言われてもいいから⋯。」
そう言うと、茜は足早に自分の席に戻り、
勇太と楽しそうに話していた。茜は、
美玖に最後のチャンスを与えたつもりだった。
美玖は、その様子を見受け、しばらく考え込んでいた。