心の壁、少しずつ。
美玖は、給食も食べ終わり、席を立とうとした瞬間、
遥「どこに行くの?」
と遥が聞いてきた。というより、毎週聞いてくる。
美「だからいつも言ってるでしょ?
火曜日は勇太と放送室まで競争するの。」
そう言いさり、逃げようと思ったが、
遥がしつこく、競争どころか放送室にも行けなかった。
美玖が放送室についたころは、勇太が放送室についてから
5分程経ったときだった。
美「はぁ⋯はぁ⋯」
勇「今日は俺がかったぜ?」
勇太はのんきに椅子に座っていた。
美「いや⋯だって、遥が⋯」
勇「言い訳無用!! っていったのは
誰でしたっけ?^^」
美「もうっ、だからハルの隣は嫌だって⋯」
その時、ついに勇太は話を切り出した。
勇「お前は⋯木下のこと、どう思ってる?」
美「え?」
美玖は最初、唖然だった。
勇「いや⋯好きなのかな⋯って。」
その言葉を聞くと、美玖は笑顔になった。
美「そんな馬鹿な~!!w あんな奴⋯むしろ嫌いよっ><」
勇太は、美玖の言葉を聞いてほっとした。
勇「でも⋯幼馴染なんだろ?」
美「まぁ⋯幼馴染だけど、それ以上の関係にはなれないかな⋯
友達としては好きだよ? あいつだってあー見えても
真面目になればすごいし。だけど⋯やっぱり幼馴染だな。
これぞ、友達以上恋人未満ってやつだよねっ^^」
勇「ふーん」
勇太も納得していた。
美「それにしても、なんで?」
勇「だって⋯あいつはお前よりも背も高いし、
頭もいいだろ? それに⋯」
と、言いかけた時、
美「あんたは知ってるでしょ?
あたしの本命ぐらい。」
勇「⋯まぁ。」
それはだれかと言えなかったが、
お互いに誰の事なのかは分かっていた。
美「あたしは⋯一途だから」
そして、美玖は再び笑顔を見せた。
すると、勇太はこんなことでもやもやしていた
自分が馬鹿らしくなってきた。
勇「俺も⋯」
その続きはあえて言わなかった。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
美「そーいえば、来週は秋祭りだよ?」
勇「もうそんな時期かー」
美「9月3日と9月4日。2日も連続なんて結構きついね;」
勇「でも、ジュースとか飲み放題だろ??^^」
美「残ったあんず飴とかも食べれるよっ♪」
勇「じゃあ焼きそばとかも??」
美「うんっ★ 紅ショウガだけって時もあるけどw」
食べ物の話になると、いつも以上に盛り上がった。
勇「当日は、5時に集合でいいんだよな?」
美「そんなに心配なら一緒に行く??」
勇「あ⋯うん。」
美「OK! じゃあ、ロビーに4時40分に来て★」
勇「了解っ」
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
再び始動した恋の作戦は成功に終わった。
こうして、知らぬ間にできていた心の壁が
少しずつ消えていた。
そして、席が離れ離れになったと共に、
お互いの大切さ、そして、自分の気持ちを改めてを知った。