夏休み計画。
「はぁはぁ⋯」
身体が無意識のうちに走っていた。
急いでいたわけでもないのに。
美「あれ? ゴミないじゃん⋯
もしかして⋯」
ゴミ収集車は既に行ってしまったようだ。
美「はぁ⋯またかよ⋯」
美玖は、ゴミをそこにおいて帰ってきた。
ロビーにはまだ勇太がいた。
勇「おっせーよ」
美「え?」
美玖が来るまで本当に待ってくれていたと知ると、
なんだか美玖は嬉しさがこみ上げてきた。
美「べ⋯べつに⋯待っててほしかったわけじゃないし!」
――なんであたし⋯本当のこと言えばいいじゃない!
どうしても素直な気持ちが言葉にできない。
勇「俺だって⋯暇だっただけだし」
どうやら向こうも同類のようだった。
なぜだか恥ずかしさも込み上げてきた。
目が合うと、体が熱くなる。
すると、思わず目を下に向けてしまう。
美「⋯」
勇「⋯」
そして、沈黙が続いてしまう。
その沈黙を破ってくれたのは
勇「⋯そ、そういえば、
9月の盆踊り⋯行く?」
勇太だった。
美「⋯今年も屋台のお手伝いを頼まれてるの^^
そういえば、男子があと二人足りないって
言ってたけどよかったら⋯あんたも⋯」
勇「まじでか! その日⋯俺も暇だし、
行こうかなって思ってたけど」
美「ソースせんべい食べ放題だし!!
あーんど、ジュースも飲み放題♥」
勇「じゃあ俺もやる!」
ようやく、沈黙も破られ、いつの間にか盛り上がっていた。
美「OK! あと1人は?」
勇「⋯⋯圭介とかは?」
美「おーいいね!! 茜もいるから、
あの2人はなかなかお似合いだしっ♪」
勇「OK! その日が楽しみだなーっ」
恋バナにも花が咲く。
美「そーいや、もうすぐ夏休みじゃん⋯」
勇「夏休みは⋯何にもないなー」
美「そう! 暇!! まぁ暇でいいんだけどさ」
勇「お前はいつも暇だもんな^^」
美「余計なこと言うなっ!」
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
そんなこんなでロビーでずっとくっちゃべってたら
いつの間にか10時を過ぎていた。
美「あれ? ちょ、え? 2時間もたってる!」
勇「あー、タイムスリップでもした気分だ。」
美「お前は勝手にしてろ。
あー、いい加減、帰んないと陸に
怒られるかもしれない!」
勇「へぇー、兄ちゃん怖いのか」
美「飛鳥におこられても怖くないけどね⋯
ってか飛鳥ってあんまり怒んないなー」
するとその時、勇太はびっくりしたような顔をした。
しかし、それは一瞬のことでよくわからなかった。
勇「後ろ。」
美「え? なに? 何が後ろ?」
美玖は後ろを振り向くと、
そこには陸がいた。
美「Σ(◉д◉!!)」
勇「噂をすれば」
すると、陸は笑顔で近寄ってきた。
美「うわわわわ!」
陸「え? 何?^^
俺のこと噂してたの?」
笑顔が妙に怖い。
勇「うんっ^^ こいつが、
陸のこと怒ると怖いとか
なんだとか言ってたっ♪」
美「(おまえなぁ⋯余計なこと⋯)」
陸「ダイジョブ♪ 後でお説教だから^^」
美「え? 何!? あたしなんか悪いことした!?」
勇「俺に聞かれても知らん。」
陸「あ、じゃ、俺、ちょっといってくるわ^^」
勇「ばいばーい」
美「説教って何よ⋯」
相変わらず笑顔のまま、陸は駅へ向かった。
勇「兄ちゃんどこ行くの?」
美「バイトだよバイト。前は生活費が苦しいから
ってやってたけど、今じゃ普通なんだよね⋯
なんだかんだいって、そーいうのが好きなんだよね」
勇「ほぉ⋯」