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フェイク  作者: ひなの.com
3/67

歯車、狂う。

もう、クラスのみんなは気付いていた。


(こいつ⋯嫌われるタイプだ)



「いくらフレンドリーっつったって⋯」



学級委員の、天野真帆が少し大きめの声で


技と聞こえるように呟いた。


すると、理央は真帆を睨んだ。



美「ねぇ⋯、さっきの話⋯ホントなんだよね?」


勇「確信はしてないけど、男子はみな、

  そう信じてるっぽい⋯。だけど⋯

  俺はあんなヤツと関わりたくない⋯。」



先生も理央に呆れているようだった。


すると、理央は勝手に黒板に自己紹介を書いた。


名前、誕生日、好き嫌い、特技、


そして、彼氏いない歴までも。



理「私は、ご存じでしょうけど、

  鈴木理央。理央って呼んでね^^

  それと、誕生日は6月26日。

  ちゃんとプレゼント贈るのよ?

  食べものの好き嫌いは多いわ。

  勿論。人の好き嫌いもね! 特技は

  運動、勉強、演技だってできるのよ。

  彼氏いない歴は⋯そうねえ⋯。

  5年よ。小学生に入って

  ずっと居るわ。だけど、今はいないの。

  前の学校に居たのよ。もう⋯どうしよう⋯。」



急に声を変え、泣き始めた理央に、


先生が「まぁまぁ⋯」と、続けさせた。



理「ってなわけ! 貴方達。今の私の

  演技に騙されたでしょう? ふふ♥

  私と釣り合う人間がいればいいけど。」



自己紹介は無事(?)に、終わった。



歩「あの子⋯自慢しかしてない。」


美「まぁまぁ⋯転校生な訳でしょ?

  最初の方は大目に見てあげようよ。」


勇「な、お前も上から目線か。」


先生「ぢゃあ⋯鈴木さんは、そこの席に⋯。

   丁度あいていただけですからね。」



仕方がない。というようなことをつけたし、


先生は座らせた。そこはなんと⋯


――あ⋯あたしの隣!?


そう。美玖の隣は勇太で埋まっているが、


通路を挟んでの隣はあいていたのだ。


そして、気の毒なのは理央の隣。



理「机が高いわ⋯。私、こんなに

  座高高くないわよ? ほら、

  ちょっと貴方、椅子を交換して?」


茜「あ⋯うん⋯。ごめんね⋯。

  気にかけてなかったし⋯。

  かつてはここに座ってた子も

  いたの。だけど、転出していっちゃって」


理「そんなこと聞いてない⋯早く変えてよ。」


真「まぁまぁそう怒らずに!!」



真帆が学級委員の威厳(プライド)として、


注意したが、これが理央に火をつけた。



理「貴方⋯さっきからでしゃばってるけど

  なんなの!? ちょっとは黙ってなさいよ!!」



そこに、圭介も割り込んだ。



圭「あの⋯僕とこの人(真帆)は、学級委員なんです。

  あくまでも、クラスの中では学級委員の

  注意も聞き入れて下さい。 お願いしますよ。」



もう、クラスはあきれ果てていた。


その上、崩壊だと誰もが思っていた。


「なんだよ⋯アイツなんか、怖い学年主任、

 内藤先生が担任の3組に入れよ⋯。」


なんて声も飛び交った。


その日から、理央、いや女王様のおかげで


とんでもなく授業が修羅場になっていく。


先生も、もうすぐある事を実行しようとしていた。


そのある事とは⋯。



 ◆ ◆ ◆ ◆ ◆



後日。


美玖はいつものように登校した。


といっても、吹部の朝練があるために


登校時刻は7時23分なのだが。


勇太もサッカーの朝練がある。だから、


廊下で会うこともしばしば⋯;


そして、朝練が終わると、


疲れた体を時期的には早(すぎ)めの


クーラーで、のほほんと癒すのが


定番だった。


5月と言っても、下旬で、気温は30度を超す夏日。


いつもなら、クーラーの下に集るアリのように


生徒がいるはずだったが


今日はなんだか違った。


いつもは先生が教卓の整理を


していたり、教卓を囲んで、


井戸端会議に先生も巻き込んだりで、


ワイワイやっているのだが


今日は先生も居ないし、黒板には


「速やかに着席するように。」


との文字。まぁ、簡単にいえば


暗い空気ということだ。


それをいち早く察知した生徒たちは


着席し隣同士で、ある噂をするのだった。


勇太と美玖もその中の2人だった。



美「ねぇ⋯。」


勇「何⋯? ってか、言われることは

  ほぼ分かってるんだけどさ⋯w」


美「これって⋯⋯⋯

 ウチらのことなのかな!?!?!」



勇太の予想外の言葉だった。



勇「はぁ!? 俺ら何も悪い事してねーぞ!?

  自分的には⋯な^^;」


美「じゃあ⋯みんな、なんの噂してるの?」


勇「いやあーお前の変人さにはいつも

  驚かされるぜ⋯^^; ってか⋯

  あいつじゃねーの? 鈴木。

  アイツ、いつも授業に文句付けてるし⋯

  誰かが意見いったら、反対して

  討論会みたいになるし⋯。最悪だぜ。」


美「つまり。説教って事ね⋯?」


勇「なんで嬉しそうな顔してんだよ⋯。

  まぁ⋯そーいうことだな。」



その時、いつものように遅刻寸前で


車に乗って送られてきた鈴木理央


が教室に姿を現した。



美「(だって⋯人の不幸って面白いじゃない?^^)」


勇「(はははっ⋯お前⋯腹黒だな!)」


その時、「もうすぐか⋯やだな⋯」


などという声が聞こえた。


理「何がヤなの?」



こんな険悪な空気の中ですら、


理央はけろっとした顔をして、いつものように


乱暴にランドセルを机に置いた。



理「あの意味、なに? 速やかに着席?

  なんで? 支度ができないぢゃない。」



黒板の文字を無視し、だらだらと


朝の支度をしている。


ガラッ!


その瞬間、理央を除く生徒たちは


背筋を伸ばし、待ちかまえるような姿勢になった。


そう、先生が来たのだ。


――え⋯なに!?


理央は、何が何だか分からず


なんとなく座ってしまった。



美「まだ⋯朝の会の時間じゃないから

  説教は始まらないのね⋯。」


勇「あぁ⋯って⋯今日俺たちが

  日直らしいぞ!?」



小声で始まったお喋りだったが、


勇太の指が黒板の右下の端を


さすと、美玖は驚いて唖然としていた



美「(ふんっ⋯アタシが隣で悪かったわねっ)」



キーンコーンカーンコーン~♪*.+


チャイムが鳴った。


とうとう来た。朝の会だ⋯。


2人は同時に立ち、黒板の前にたった。



 ◆ ◆ ◆ ◆ ◆



※登場人物、場所、団体名などはすべて実在のものと関係ありません。

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