お見舞い、雑談。
1時間ほど経っただろうか。
勇太は退屈だった。
なんせ異性の部屋だし、無駄に動けない。
美玖の兄達には夕飯ももってくると告げられ、
そのままリビングに戻ってはいけない気がした。
ふと、美玖を見ると、すやすや寝ていた。
その寝顔は、こちらまでも自然と笑顔に
なってしまうような、天使の寝顔だった。
起こしては悪いと、勇太はそのまま部屋を出た。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
部屋を出ると、すぐに陸あった。
陸「様子はどう??」
勇「すやすや眠ってます^^」
陸「そらよかったっ」
すると、後ろのほうで、飛鳥が机に手招きしてくれた。
そこには3つのコップに、コーラとお菓子が置いてあった。
飛「腹もすいただろ^^」
陸「いつもは美玖に、
[こんな時間におやつなんか食べちゃ
夕飯が食べれなくなるよ!?]
って怒られるけど、今日は特別♪」
勇太はその椅子にかけた。
陸「美玖があんなに笑顔を見せるなんて、
君が初めてじゃないかな??^^」
勇「え? 学校じゃいつも笑ってますよ??」
飛「でもあれは、特別な笑顔って感じだったよな⋯」
陸「あれでも、幼いころは人が嫌いで、
親にも寄りつかなかったし。」
勇「え!?」
びっくりするのは当然だろう。
今では誰にでも話しかける美玖に
そんな過去があったなんて。
陸「幼稚園の頃は、先生もあまり声を
聞いたことがないっていってたしねぇ」
飛「家に帰っても、話すのは俺たちだけで⋯
あと、動物が大好きでw」
陸「でも、中学年に上がって、
急に喋るようになったんだよな^^」
飛「あいつの素顔なんて俺にだって
知ったこっちゃないさ。
どっちが裏だかわかりやしねぇ」
陸「でも、学校のことを話す美玖も、
すごい嬉しそうで⋯」
――あいつ⋯そんなやつだったのか⋯
飛「今のあいつはどうだ??」
勇「あっ、すごい、人気者ですよ^^
クラスのムードメーカーって感じです!」
飛「ほほー、意外だなw」
陸「これからも、美玖のことよろしくね^^」
勇「はいっ★」
飛「それで、君たちの関係は??」
勇「ふごっ!!」
飲んでいたコーラを吹き出しそうになった。
陸「いきなり際どい質問はやめろっつったろ?w」
勇「いや、そんな、お兄さんたちが考えてるよーな⋯」
飛「兄さんじゃないぞっ 俺は飛鳥だっ」
勇「えっでも⋯」
陸「俺たちのことは、フツーに名前で呼んでいいよっ」
勇「そーですかっ^^」
親近感のある人だと、勇太は思った。
飛「あ、そろそろ夕飯作んねーと!!
今日当番だから⋯;」
勇「当番??」
陸「そう^^ 毎日入れ替わりで作ってるんだよっ
今日はホントは美玖だったんだけど⋯。
でも、飛鳥はなかなかの腕前さっ」
そう言われた瞬間、飛鳥は腕を腰に添え、
胸を張って、いかにも自信満々だった。
陸「でも、美玖にはかなわないねっ」
すると、飛鳥がガクッと崩れた。
勇「流石、ギャグ家庭!」
飛「そんな風に思われてたのか!!」
そんな風にして、仲を深めていくのであった。