~プロローグ~ そして互いの気持ち。
姫南乃は小説を書こうと頭を悩ませていた。
「うーん…わかんないよお!!><。」
だけど、お話なんて全然浮かばないし…
何!? みんなは何を求めてるの!?
純愛!? ひねくれてる系!? それとも…R15??;;
そんな時は、妄想… じゃなくて、空想世界
に入り込むのがいちばんだった!!
彼女の空想世界は、
自分の思い出を交えるのが得意だった。
――小説は難しいけど、空想世界に入ると
入ると、お話がぼんぼん浮かぶのよねっ♪
姫南乃はどんどん書き始めた。
「恋愛小説なんて空想がなんぼのもんよ!!」
舞台は基本は学校で。
これが姫南乃の定番になっていた。
「半フィクションのほうがやっぱり面白いよねっ」
姫南乃は、最近の出来事を振り返った。
そして、出来上がった。
「結構、今回は大作になりそうだわ…^^;」
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
あたし、田中美玖は
佐藤勇太という子に恋をした。
あたしたちは同じ、今年で小学6年生。
勇太はいかにもドSで、ぶっちゃけ
あたしのタイプかな。
なのに打たれ弱いっていうか、結構傷つくらしいw
彼とあたしは、2年間同じクラスだった。
それもそのはず、クラス替えはしていないから。
正直、1年目はなんとも思ってなかった。
と、思っていたけど…機転が起きた。
委員会、そう。放送委員で一緒になったとき、
本当の性格を知った。今までは弱い奴、
ましてや恋愛対象だとも思ってなかった。
でも、今ではコンビみたいな関係になっちゃったけど、
大切なツッコミ。面白い。そして… いざとなると
助けてくれる。そのギャップに惚れ込んだのかもしれない。
今でも好きになった本当の理由は分からないし、
あたしが思いを寄せていることを知っている親友は、
「なんであいつを好きになったの?」って
いつもきいてくる。ましてや
彼の気持ちは全然わからない。
そして、もうすぐ新学期が始まる。
このままでいいのかな…。
待ってるだけでいいのかな…。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
俺… 佐藤勇太は
田中美玖が気になっている。
だから、毎日自分から話しかけている。
あいつはボケをかますタイプというか…
天然っぽいけど、お笑い系という変な奴だよ。
最初のころは無口で不愛想な奴だと思ってた。
だけど、放送委員会で一緒になって、性格がわかった。
それは、自分の考えとはまったく正反対で、
困っている人がいれば助けてやる、
そこに道がなければ道を作る、 そんなやつで、
なんとも男気があってカッコよかった。
だけど、あいつも女っぽいところもあって、
そーいうところに惚れたのかも。(ツンデレ…?)
俺が好きだってこと、知っているのは
同じ放送委員の田村茜と、志保田佳佑なんだけど…;
田村茜が冗談半分で、言いふらしたっていうか…
1人に話したらどんどん広まったというか…
そんなこんなで、今ではクラスが薄ら薄ら
気づいているようで;;; (くそっ田村の野郎!!)
幸い、本人には気づかれてないっぽいけど。
でも…あいつにも好きな人がいるらしいし、
迷惑掛けて、その上断られたら嫌だから、
告白なんて考えられなかった。
だから、せめて彼女の親友になれたらいいって
思ってる。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
――どうしよう…。ホントに新学期だ…。
今日は始業式。あまりみんな変わらないなか、
変わっているのは先生や先生の髪型だけ。
美玖は、焦っていた。
片思いの彼といっしょのクラスになれるか…。
校庭に集まっていた生徒たちにクラス表が配られた。
――ふむふむ…アタシは1組ね…。
出席番号がいちばん最初なのは…
また、(相川)紗希ちゃんね…。
そして、本命は…!?
「いたぁ!?」
大声を出してしまい、頬を真っ赤に染めた美玖に
勇太が笑いながらツッコんだ。
勇「おまっ…w なんだ? 好きな人でも居たかぁ?」
美「へ!?/// アタシに好きな人居ると思う!?」
勇「6年にもなっていないやつなんているの?」
美「あたしの心の中も知らないくせによく言えるわー?」
勇「なんだよ!!
そんなお前見てぇな変人の脳の中なんて
分かる訳ねぇだろ?^^」
美「変人とは酷いわね…。せめて天然で可愛い
乙女にしなさいよぉ?!」
勇「まぁまぁ落ち付いて? ね? ほこりまみれちゃんっ」
そう。俺は片思いの子にほこりまみれなんて
あだ名をつけた。前に、靴を盗んだときに、
彼女は「あたしのシンデレラの靴を返しなさい」
て言ったから
「【シンデレラ】というのは、ほこりまみれって意味なんだよ?」
って俺が変な雑学でつけたあだ名。
本当はなんて呼ぼうか困ったからつけたけど…;
案の定、それがクラスに広まり…
好きな人に最低な事をして、後悔している。
勇「ってかさぁ…去年と同じメンバーじゃねっ?」
美「そうだね…。
でも、1人知らない名前の仔がいるよ?
去年もこんなことで騒いで
結局、由梨ちゃんの親御さんが離婚して
お母様の苗字に変えただけだったけど。」
勇「でも…今回は…名前…知らないよ?」
美「お前…どんだけ動揺してんだよ…。
まぁ、見てからのお楽しみって事じゃない?
その子も色々勘づかれても可哀想だし。」
先生「みなさ~んっ☆
ちょっと良いムードになってるけど、
ってか邪魔する気はないけど、
そろそろ並ばないと、学年主任が
起こりますよっ!!^^」
――なんだよぉ…塚、先生知ってるでしょ?
あたしが勇太のこと好きって。
悩みごとだから、相談してるのにっ><
男性教師ながらも、信頼のできる河原先生には
相談事や悩みなどは打ち明けていた。
勇「(もう…面倒臭い…始業式かよ…。)」
背の順に並ぶと、
背の小さい勇太は前から2番目、
背の大きい美玖はいちばん後ろとなり、
お喋りができず、
この時間だけはつまらないのだ。
すると突然…。
?「貴方…いい雰囲気ぢゃない?
あの子の事、好きなの?」
見ず知らずの女の子が美玖に耳打ちをして
こういった。その指をさす方には…
美「勇太…のこと?
あんなヤツ…どうって
ことないですよ^^」
?「そう…。アタシにはそう思えないけどね。」
美玖は何も言えないまま、彼女はそう吐き捨て、
朝礼台の近くまで走っていってしまった。
すると、仲のいい田村茜がやってきた。
茜「どうしたの? 呆然と立って。
まさか、亡霊でも見えた?^^」
美「そんなわけないぢゃんっ…行こうっ」
美玖は、まさかと思ったが
そのまさかが思いもよらぬことになってしまう…。
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※登場人物、場所、団体名はすべて実在のものとは関係ありません。