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月夜譚 【No.301~】

夏の夜空と祭りの熱 【月夜譚No.366】

作者: 夏月七葉

 久し振りに外出をしたら、近所で縁日をやっていた。賑やかな祭囃子と人の声、夜に映えた提灯の灯りに日が暮れようと衰えない熱気。

 すぐ脇を浴衣を着た子ども達が駆け抜けていって、彼は驚くと同時にその無邪気な様子に笑みを零した。

 そういえば、毎年この日には地元の神社で祭りをやっていた。子どもの頃はよく遊びに行っていたというのに、大人になってからは忙しさに存在すらも忘れかけていた。

 折角だからと、屋台が並ぶ参道へサンダルの足を向ける。香ばしいソースの香りが鼻を擽り、それが欲しいと腹が鳴る。どうにも我慢ができなくて、近くにあった焼きそばを買って道端で頬張った。

 きっとこれと同じものを家で食べても、特別美味しいとは感じないのだろう。しかし今はこの空気感が味覚に作用して、今まで食べたどんな焼きそばよりも美味しいと思う。

 今年から独立して自宅での仕事が主になり、数日家を出ないことも多くなった。仕事上の通話はするものの、実家が近くにありながら家族にも連絡するのは稀で、誰かと他愛無い話をする機会もめっきり減ってしまった。

 けれどこうやって、普段とは違う空気を感じるのも悪くはない。偶には用事がなくとも散歩くらいはしようかと思いながら、祭りの空気を吸い込む夏の夜空をそっと見上げた。

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