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察
あまおとうるさい
犬の鳴き声をたどった
少しずつ鳴き声がハッキリと聴こえるようになってきた
それだけでない、
他の動物の声にも近づいていた
鳴き声をたどって行くと山に入った
少しずつ大きくなっていく声で頭がガンガンと痛くなる
やっと辿り着いたのは、そこらじゅうにある木の中の一本
その根本である
根の下に隙間があった
そこから、酷く臭い臭いと声がした
死体の山があった
ただの赤黒い山だったが、臭いで嫌にでも分かった
恐怖で体が震えてきて
「逃げよう」
そう思った
逃げようと後ろを振り向いた
そこには黒で塗りつぶしたかのような、存在するはずなのに存在しない、そうなぜか感じられる大きな大人程の何かが居て
「カカカカカカカカッ」
と、笑ったかと思えば…
赤黒い山の一部になりそうな私は、
ギリギリ意識をたもっていたが
もう、そろそろ、げんかいだろう
体はもう、全くと言っていいほど動かない
朧げな意識の中で、感じたのは
「ザーッ」と降る雨音…
少し暖かい
真夏の雨
少しずつ、雨は止む