駅構内の間違い探し
カランカラン
どこの時代 どこの子どもであろうとも貴方を受け入れ時を売る
そんなお店怪奇屋が貴方をいつでもお待ちしております。
「……おー……おーい……おーい…おっ起きましたね。大丈夫ですか?」
うーん…あれ?さっきまで何してたってけ?
いつの間にか店内のソファに寝かされていた…店主が心配そうな顔でこちらを見ている。
「起きることが良かった。あっお茶でも飲みます?これなら問題ないですし。」
出されたのは湯呑みだった。どうやら何かあったとき用に買いだめしているらしい。
ズズッ…あれ…?味が無いな?ちょっと薄めにいれる人なのかな?
「何かお体に変わったことは無いですか?」
あー…特に変わったとこはないが強いて言うならなーんか頭が痛いんだよな。
どこかでぶつけたっけな?そういや寝る前の記憶ないな。寝る前何したっ「頭が痛いのは幻覚なので気にしないでください。それとお疲れだったのでしょう。急に寝てしまって…そのまま置いておくのも忍びないのでソファに寝かしておきました。」
最近疲れてたし急に寝てもおかしくはないか。
それにしても急に寝たからって起こさず寝かしといてもらえるのすごい優しいな。ほんとありがたい。
「さて、起きたことですし早速怪奇話に参りますか。」
僕達はトコトコとカウンターに戻りいつもの定位置に戻った。
そういやお店をちゃんと見たこと無かったな。どうやらいつものカウンターテーブルとさっきのソファの他に、本棚やどこの物か分からない骨董品なんかが所狭しと置いてある。大体6畳間ぐらいかな。少し狭い気がするが不思議と落ち着ける空間だ。
「ふふっ、お褒めにあずかり光栄です。」
あっやべ、店主を待たせてた。ん…?僕、声に出してたのか。なんか恥ずかしいな。
「それではお話させていただきますね。」
今回の話は何かな。この時間が最近一番落ち着けるから長めの話がいいな。
「えー本日お話いたしますのはある駅構内のお話です。それでは参ります。」
?『んもー!いつになったら出れるのよ!景色も変わらないし…』
「私があたりを見渡すと友達の明がそう嘆いていた。その隣で腐れ縁の優花が」
優花『まぁまぁ落ち着け。あっほら葵もボーッとしてないで動け、動け。』
「まったく優花は人使いが荒い。改めてなにかないか見渡すと…」
[異変を見逃さないこと 異変を見つけたら引き返すこと]
「と、書かれた看板を見つけた。他にも1と描かれた看板もあった。」
葵『おーい!優花!明!なんかあったぞー!こっちこーい!』
明『おっ!葵〜お手柄じゃん。てことはこのまま進んで行けば出られるってことだよね。』
優花『おし、このままじゃ埒が明かねぇしいっちょ進んでみますか!』
「こうして私たち三人の間違い探しが始まった。途中緑の水に押し戻されそうになったり扉から落ちそうになったりしたがなんとか全員生き残っていた。」
優花『あーー!いつになった出れんだよ!やっと半分の4だよ!なんで何回も0に戻るんだよ!』
明『…?あっほんとにそうだよね…あーあこのままじゃ電車に間に合わないよ。』
葵『ほんとだよ。せっかくちょっと遠い花見に行く予定だったのに…台無しじゃねぇか。どうしてこんなことになったのやら。』
優花『だがようやく半分に行ったんだ。このまま見逃さずに進むぞ。』
明『もちろん!』
「そんなこんなで間違いと死闘を繰り広げているうちにようやく8番にたどり着いた。そうすると上に登る階段が現れた。」
葵『あっ!やっと出口だぁ〜長かった〜!!ようやくだー!』
優花『ここまで長かった…もう電車も終わっただろうがでれてよかった…さぁ明、葵ここから出るぞ。』
明『………ねぇやっぱり二人ともおかしいよ…』
葵『んお?急にどうした?そんなの当たり前じゃないか。ずぅーーとおんなじ景色が続く駅なんておかしくないわけないじゃないか。』
優花『そうだぞー。ささ、はよ行くぞ。』
明『そうじゃないよ!なんで二人とも8番から出ようとしてるの?出るのは“10番”だよ!』
葵『……っ、あぁそうだったよなーいやーずっと同じ景色が続くからおかしくなってたのかね?すまんかったね。』
優花『あぁ…そうだったな。このまま行くとまた0番に戻されちまうしさっさと戻って花見行こうぜ!』
明『それだけじゃない!!私たちは花見から帰る途中だったんだよ!電車は帰るための電車だよ!ねぇ…?貴方たちは誰…?』
???『あーあ…もう少しだったのに…』
????『本当に惜しいことをしましたね。まったく貴方のせいですよ。8番なんて言うから…あーあ…せっかく面白いことになると思ってたのに…』
???『あっ、すまねぇな優花ほっといちまって。まぁこのことが知られたらめんどくせぇし消すか。』
????『うむ、そうですね〜それではこの体も一緒にやってしまいますか。』
優花『……ひっ…嫌だ近づかないで…明と葵を返して…』
????『大丈夫ですよ。すぐに会えますからね。』
「これにてとある駅構内のお話を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。」
えっ…終わり?その人たちはどうなったんだ?
「あっ、もちろんこの話は創作ですよ。たまにはこんな話もいいかなと思いまして…私の体験からお話させていただきました。」
あっ、なんだ創作か。まったく店主もお人が悪い。急に創作なんて珍しいな。
「いやはやあの後ちゃんと記憶を消し駅に返しましたしちょっと誇張してるだけなのでご勘弁を…」
えっ…あの?それってつまり…?
「いやー…あのときはまだまだ新参者でしたし世間を知らぬただの小僧でしたのであまり話したくないのですが…他に面白い話があまりなくてですね…あれは明治頃でしたっけ?異国の文化で浮かれて駅で人を捕まえるなど言語道断、今となっては恥ずかしい。おや?なにか質問でも?」
あっ、これ突っ込んだら駄目なやつだ。
「うむ、何も質問は無いようですので今回はお開きにしましょう。そろそろ疲れたでしょう。どうです?さっきそこで買っておいた水菓子があるのですが一緒に食べませんか?ずっと聞いてばかりで大変でしょう。」
えっ!お菓子あるのか!あまりお腹は空いてないがどうせなら食べたい…でも流石に迷惑じゃないかな?
「では切って来ますね。どうせなら買っておいたお茶がまだあるのでそれも入れて持ってきますね。」
あっ、行っちゃった。というかカウンターの奥側、扉があったんだな。
まぁ黙って帰るのもあれだし待っておくか…食べたら帰ろう、それにしても今回も疲れたな。目が痒い…いや、これただ眠いだけ…だな…寝るわけにはいかな……いが…眠…
皆様お疲れ様でした。猫烏でございます。今回の話で少し店主の過去が知れましたねー。いやはや店主は一体何者なのか…まぁそんなことは置いといて!ここで前回の小話を。前回の手遊びはちゃんと元ネタがありましてある歌から着想を得ております。これは実際に暇つぶしや指の体操で使えるので、もしよければ使ってみてくださいねー。