バケモノ店のお客様
カランカラン
その扉を開けるとそこに居たのは狼の頭を持ったバケモノでした。
「おや、ようこそお越しくださいました。」
彼はどうやら人ではないらしい。
狼の頭と尻尾を持ちその尻尾は小刻みに揺れている。黒の学ランを身にまといカウンターの向こう側の椅子にゆったりと腰かけていた。
「うむ…本当はもう少し遅くに来るはずだったのですが…まぁ大丈夫です。ささ、こちらにおかけなってください。」
彼は僕に椅子を差し出した。
僕がそれに腰掛けると彼は急に立ち上がり
「さぁさぁ!ようこそお越しくださいました!ここはさ迷う者に《かえる》までの時を売る怪奇屋でございます!古今東西様々な怪奇、つまり摩訶不思議な話を取り揃えております!」
彼は腕を広げそう言ってきた。どうやら歓迎はしているみたいだ。
それにどうやら帰れるらしいし少し安心した。
「彼…?あ、そういえば自己紹介がまだでしたね。これは失礼しました。私はこの店の店主である《おおがみ》と申します。以後お見知りおきを。まぁ気軽に店主とでもお呼びください。」
狼…?それとも大狼か?まぁどちらにしても彼にピッタリの名前だ。
すると店主はさっきまで座っていた椅子に座り直し
「どうやらある程度落ち着いたようですし早速怪奇話に参りましょう。うむ、そうですね〜あまり時間もないですし短めでよろしいでしょうか?」
僕が頷くと店主は、こう前置きをし語りだした。
「これはとある昔の学生たちのお話です。」
「どうやら学生たちは真夜中に川の畔まで来ているようでした。えー…何人でしたっけ…?そうそう三人でした。坊主のよく焦げた男の子、蹴鞠用の球を持った男の子、珍しい赤毛を持った女の子、短髪の背の高い男の子でした。彼らはどんどん道を進んでいきどうやら帰れないところまで進んでしまったようでした。そこで彼らは二手に別れて道を探し始めました。坊主の子と赤毛の子、蹴鞠の子と背の高い男の子だったはずです。途中ガサガサっと林がなってしまい女の子が泣き出してしまったんですよ。それを坊主の子が慰めていました。自分も泣きたいはずなのに、ぐっとこらえた様子で。いやはやあればかりはこちらも涙が出そうになりましたね。失礼自分語りが過ぎました。その時背の高い男の子が出てきて道を見つけたと言うのです。そのまま彼らは仲良く三人で帰りました。これにてとある昔の学生たちのお話は以上になります。ありがとうございました。」
なんなんだこの話は?矛盾点もあるしなにより終わりが軽すぎる…
そのことについて店主に話そうとすると店主は
「今、この話はなんなんだ?そう思いましたね。私も何も聞かされてない状態ならそう思うことでしょう。この話はちゃんと解説がございます。」
それならまぁ…人数のことについて話してくれるといいが
「えぇ…それが一番の謎でしょう。なぜ三人で来たのに紹介では四人おり最後は三人になったのか。この話をする前にこれはいつの時代なのかを話す必要があります。これは戦時中の話です。まぁ戦時中と言ってももうだいぶ終盤の頃でしたが。さて問題です。この四人の中で消えてもバレにくい人は誰でしょうか?」
うーん…バレにくい人か全員何かしらの特徴を言ってるし店主が話した中では情報が少ない。
ん…?いや待てよ一人だけいるじゃないか!身体的特徴を何も言ってない人が!
「おや!分かったようですね。そう、蹴鞠用の球を持った男の子です。彼は持ち物だけ言いましたが他の特徴は言っていません。ではいつ消えたのか。私も坊主の子の方を見ていたので詳しくは語れませんが…おそらく背の高い男の子と一緒になった時でしょう。まぁ知らなくていいコトもありますし見なくて良かった気がします。」
でもその背の高い男の子はどこから来たんだろうか
「これは私の推測ですが戦時中だったこともありどこかしらで亡くなられたその子達の声に誘われ来てしまったのではないかなと思います。どうやらかなり恨みを持って逝かれたようですし、呪いの一つや二つ使えてもおかしくありません。大方そこら周辺に記憶改ざんでもかけたのでしょう。解説も済みましたしこれにて話を終わります。お疲れ様でした。」
はぁ…なんかどっと疲れたな…体が重い…
「おや、もうそろそろ終わりですね〜まぁ初日ですしそんなものでしょう。では扉の前までお送りいたします。」
僕は眠い目をこすり扉の前まで行き扉を開けようとしたところで店主がふと何かをつぶやいた気がした。
「……今回は……かな…楽し………それで…オツカレ…で…た」
皆様初めまして!未来から来た人はこんにちは!今回から小説を書かせていただく猫烏兼おおがみでございます。初書きでしたが楽しんでいただけたでしょうか?まだまだ至らぬ点があると思いますが面白かったよーって方はぜひとも次の話を楽しみにしててください。
これは独り言ですがなぜ店主は周辺にかけた記憶改ざんを逃れることができたのでしょうね?
それではありがとうございました。