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第8話「年上年下」

「久しぶり…」


 俺は目の前に現れた少女に再開の言葉を口にする。


「ねぇねぇなぎにぃ、私来年なぎにぃの高校に行くことにした!」


 すると透織は早速そんな話題を話し出した。


「え?なんで…」


 俺の事を嫌いなはずの透織がわざわざ俺のいる高校を選ぶはずなどないはず。


「なんでって…そりゃなぎにぃと同じ高校に行きたいからに決まってるじゃん!」


 俺がいるというデメリットを中和するほどの良さに出会ったのかと思っていた俺の予想とは真逆の解答を透織は発した。


「なんで…俺の事嫌いだったんじゃないのかよ…」

「え?いつそんなこと言った??」


 俺の呟きを聞き逃さず心外、といった表情をしている。


「私はずっとずっとなぎにぃのこと好きだよ」


 そうやって透織は"また"俺に優しい言葉をかけてくれる。


「あぁ、ありがとな。俺の勘違いだったみたいだ」


 いつも辛い時にそばに居てくれる幼なじみには感謝してもしきれない。


 もしかしたら他の幼なじみ達も俺の事を嫌ってないのではないかという考えも頭をよぎってしまうくらいには今の俺は星那、透織に救われていた。


「それよりも!なんで私を差し置いてせなねぇとデートしてるの?」


 可愛いい顔をぷくぷくと膨らませて少し強く怒ってくる。


 犬みたいで可愛いな、一生眺めてたいこの生き物。


「いやー、その、さっきも言った通りずっと嫌われてたと思ってたからさ…」


 バツが悪そうに少し頭を掻きながら言った。


「……ああ、そういうことか、だからなぎにぃが中3の途中の時あたりからあんま話してくれなくなったんだ」

「うん、そういうことかな」


 透織には勘違いしてた申し訳なさで顔を向けられない。


「なぎにぃ」

「ん?なに?」

「そんな暗い顔しないでよ、確かに話せなかったのは寂しかったけどさ、怒ってはないから」


 そう優しい言葉をかけて頭をぽんぽんと叩いてくれる。


 もうどっちが年上でどっちが年下かも分からない。


 でも今はその温かさが心地よかった。


「うん、ありがとう」

「なぎにぃなんか丸くなった」


 感謝の言葉を口にすると不意に透織がそんなことを言った。


「なったって…元々尖ってはなかっただろ?」

「ううん、少し尖ってた」

「え、ほんとに?」

「えへへ、冗談ー」

「なんだよ、冗談かよ」


 いたずらっぽい笑みを浮かべる透織、そして俺らは顔を見合せて抑えきれずに2人は少しの間笑っていた———


♢♢


「遅いね、せなねぇ」

「そうだな、探しに行くか」

「うん」


 星那が飲み物を買いに行ってから15分くらい経っても帰ってこなく、LINEの返信も無いため2人で探しに行くことにした。


「とりあえず近くの自販機周り探してみるか」


 どこにいるかも検討がつかないため手当り次第探してみることにした。


♢♢♢♢


「はぁ、見つからない…心配すぎる」


 あれから10分、透織と星那を探し続けていたが見つからなかった。


「なぎにぃ、あれ」


 見つからず焦っていたとき、ふと透織がショッピングモール内でもあまり人気がないところを指さした。



「やめてくださいっ、戻らなきゃ行けないので…」

「だからぁ、有栖星那でしょ?握手してくれるだけでいいんだって!」



 そこには2人の男に握手をせがまれていた星那の姿があった—————

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