願い続ける空の青
澄んだ朝露に屈折する光筋と
探しても探しても見つからない白い雲
見渡してもずっとそこには
青色の世界が広がっている。
秋晴れ、と言ってももう遅いかもしれない
12月の空。
冬の空はどうしても
淀んでくすんでいると思ってしまうけど、
雲のない空が広がるうちは
ほのかな日を浴びながら
まだ秋を振り返ることができるだろうか。
空は曇るといっても
私たちがいる場所からはそう見えるだけで
上の、もっと上の宇宙には
綺麗で深い青の世界が
そこら中から降ってくる光に照らされて
淡く美しく溶けながら輝いているのだろう。
もうすぐこの青が灰色にかすむ日が来る。
それならそれでいいと思うけれど、
やっぱり雲ひとつない空が見たくて
雪曇りに自分の両手をつきだして
搔き分けることはできないだろうけど、
そんな想像に浸りながら
カメラのフラッシュをオンにして
味気ないような空をフィルムに写す。
寂しそうな空絵は消したくなるけど
やっぱり削除ボタンから手を放すことにする。
冬の空は退屈だと思いながら
こたつの上で水色の絵の具と色画用紙を広げながら
冷え切って悴んだ指をさすりながら
私の好きな空の青色を、目をつぶりながら考える。
初夏の空の青、シアン
夏空の青、コバルトブルー
秋晴れの青、ライトブルー
春空の青にはグリーンも入れて
なんて
冬の空とは暇なものだと
分かっていながらも
やっぱり少しでも
少しでもいいから
あの雲の隙間からほんのちょっとだけ
青い空を見たいなと
このまま春が来るまで
初夏の風が来るまで
空の青を拝めなかったら
ちょっと寂しくて悲しくて
私の心の空の青は
涙色に染まってしまうかもしれない。
少しでもいいから
少しでも早く
空の青を見たいと
今年もまた思うのだろうと思って笑った
今日の空は露草色に
どこまでも広く
未だに自由に青く染まっていた。