お互いに償い合いなさい
「何と言うかね、それだけ血の気が余ってるなら、もう、おまいらで戦えば良いんじゃなかな?」
相容れない的な事はスターリンが言ってたけど、これはもう異種格闘戦で決着を付けるって方向の方が良いかもしれん。嫌だって言ってもやらせるけど。強制的に。
スターリンの興行が罪滅ぼしに成るなら、アレゴロウも参加すれば罪滅ぼしに成るだろうさ。こんな地下牢で、口げんかしてる位なら、いっそ派手にぶつかり合う方が良いんじゃないかな? ほら、内に溜めてストレスになるよりは、何ぼかマシだし。
「フッ、成る程。流石はコーチだ。衆目の面前で叩きのめされるなら、丁度良い罰と成るだろう」
「何を言ってるのかな? 実力的に叩きのめされるのは君の方だろう? その、興行とやらが、罪滅ぼしに成ると言うなら、スーリ、君を叩きのめせる上に、罪滅ぼしも出来る。まさに一石二鳥だね」
まぁ、二人ともいい加減ヒートアップして居たって事も有ってか、お互いに『やってやんよ!!』て感じだね。成程、コレがライバルってぇ事なのか? こうなると、コイツ等の他にのぼせ上がってたってぇ連中との間柄がちょっと気に成るよね。
それは兎も角、区画整理もそろそろ終わるし、闘技場も出来てきてたんで、そこの披露目の時のイベントって感じで良いかな?
試合形式としてはバリトゥードで、ただし、凶器、噛みつき、引っ掻き、目つぶし、金的は無しってぇ所かねぇ?
ただ、アイツ等の一試合だけじゃアレなんで、他にも何試合か組んで……
まぁ、詳細はプロレス騎士と厨二レスラーに詰めて貰おう。そうしよう。
「つまり僕もそのプロレスとやらを覚えなけりゃいけないって事? まぁ、確かに罰って事だし、その為の罪滅ぼしの為だって言う事なんだし、確かに、僕が君達の流儀に合わせるってのが正しいんだろう……だが、断る!!」
「はぁ? 自分の立場、分かってるのか!! アッシュゥ!!!!」
「僕は!! こんな見世物の様に、衆目の中で一方的に断罪されるなんて許容できない!!」
……おまいら、衆人環視の中で悪役令嬢って事にされた人間を弾劾したんじゃ無いんかい。自分がやられて嫌だと思う事は、やるなや。もう、遅いけど。
「いや、その辺は異種格闘技戦って事でやらせるぞ? 当然ルールで色々と制限はかけさせてもらうけど」
「コーチ!?」
「話が早くて良いよね。 君のそう言う所、とても良いと思うよ?」
何と言うか謎の上から目線だよなコイツ。まぁ、良いけど。
取り敢えず、コイツとスターリンは衆人環視の中で戦って貰う。それは決定事項だ。スターリンが『何故ですか!?』的な事を言い募ってるけど、おまい、一方的になぶる心算だったんかい!!
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「家の領地に来る時に、俺が偽物だとかって、誰が言ってたんだ?」
そう言えば、と思い出しアレゴロウに聞いてみる。
「ええと、誰だったかな? 最初の商人では無かったけれど、この領地に入る辺りだったかな?」
成程? つまりは曖昧って事か。
「フッ、忘却の精霊に抱かれた愚物は、やはり記憶し続ける事も儘成らん様だなっ!」
「あぁ!?」
「はぁ!?」
いや、本当に仲良いな? おまい等。




