本当に、仲良しだな
大変遅くなりました。
申し訳ない。
事情聴取と称してアレゴロウに色々と話を聞いた所、勘当され、自分の国からの追放を言い渡されて、さて、どうしようと思ってた所、旅の商人の話で、家の国の辺境伯領が今一番熱いと言う話を聞き、俺の領地へと向かったのだそうな。
この所、色々とやってたからな。イベント。区画整理とか大会とか。そうか、隣国で噂される位に話題に成ってたか。
プロモーションとしては正しく広がってたって事だな。その辺、さすがだよなエクスシーア。長年、商会を率いてたのは、伊達じゃねぇわ。
で、この時の、自国から家の国への旅費とかはどうしたのかと思ったんだが、流石にそこは無一文で家を放り出された訳でもなかったそうで、家の領地に来る位の旅費は充分にあったらしい。
まぁ、不祥事起こしたって言っても、そこは自身の息子だしなぁ。普通の感性してれば、その位の情はあるわな。
……俺の時はなぁ。色々となぁ。
まぁ、良いや。俺の時とは事情も背景も違ってる訳だしさ。
そんな風に思ってアレゴロウの顔をまじまじと見ていたら、事情聴取に同席していたスターリンが唐突に俺とアレゴロウの間に身を乗り出し宣言をした。
「オレとアッシュは、言わば運命の敵対者! 決して交わる事の無い宿命の旅人!!」
「うん、意味分からん」
まぁ、言いたい事は理解出来るが、分かりたくはない。
お国元じゃあ、一人の女取り合ってたっぽいから、ライバル関係だっただろうし、『ここで顔つき合わせてる時点で、交わっちまってるやん』って正論をされたい訳じゃ無かろう。
それ以前に『アッシュ』ってぇ愛称で呼んでるじゃん。仲良いよね、君たち。
「ああ、僕もスーリとはいつか決着を付けなきゃいけないとは思ってたんだよね」
と思ってたら、アレゴロウの方も何か言い出すし。いや、おまいも愛称で呼んでるやん。それは良いんだけど、コイツの罪を確定させんとあかんのよ。
自国の人間じゃ無いけど他国と言って良いかどうか。どっちかって言うと流民に近いのか?
行った事はギルドでの喧嘩と貴族に対する不敬かぁ。
喧嘩に関しては、被害者側からの訴えは出ちゃ居ないが、ぶっちゃけ現行犯だし、それは不敬罪も同じ。ただ、不敬罪については乗っ取りとも取れる発言もしてるってのがな。
「残念だがアッシュ、オレは以前のオレの次元を超えてしまった。そう、この領地に来てからな!!」
「なん、だって……」
もう捕まえては居るし、散々いたぶったから、もう、百叩きの上、市中引き回しで良いかな?
「いや、それ程変わった様には見えないな。それに聞いたよ? 君、妹さんに乱暴を働いたんだって? 許されないよね? 許されないだろ? そんな罪人は、僕に叩きのめされるべきなんだ!!」
「クッ、確かにそれは許されざる罪だった。そう、罪人たるオレは、だがっ!! リーンカネーションしたのだ!! そう、シン・スターリンとしてっ!! そして、だからこそ手に入れられた力でもある!! 生まれ変われたからこそ、新たなる力を身に付け、今は、その罪を興行して居るんだ!!」
「は!! 新たな力を手に入れたのは僕だってそうさ、その力は君にだって負けていないよ!」
「フッ! その割には、アッサリ負けたって聞いたよ? トールさんに」
「少し、油断していただけさ。確かに彼は、少しはやるようだけれど、僕は、ほら、長旅で疲れていたし? その前に冒険者連中とやっていて体力も使い果たしていたし?」
「ハッ! 口だけは立派だな、相変わらず」
「何をっ!!」
「何だよっ!!」
「は?」
「ああ?」
煩いよ!! おまいらっ!!




